核心解説
この問題は、
輸血療法 (Blood Transfusion Therapy)における患者安全のための必須手順である
交差適合試験 (Cross-matching Test)の知識を問うています。輸血は医療事故(ABO不適合輸血など)に直結する危険な治療であり、投与前にドナーとレシピエントの血液の適合性を必ず確認する必要があります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 交差適合試験 (Cross-matching Test)は、輸血直前に行う最終確認試験です。患者血清とドナー血球(主試験:Major Cross-match)およびドナー血清と患者血球(副試験:Minor Cross-match)を反応させ、凝集や溶血が起こらないかを確認します。これにより、ABO血液型の確認だけでなく、他の血液型(Rh, Kell, Duffyなど)や
不規則抗体 (Irregular Antibody)による不適合を検出し、
溶血性副作用 (Hemolytic Transfusion Reaction)を予防するために必須の手順です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①
血液型検査 (Blood Typing): 輸血開始の前提となる重要な検査ですが、患者と血液製剤の血液型を個別に判定するのみで、両者の適合性を直接確認する試験ではありません。交差適合試験の前に実施する準備段階の検査です。
②
抗体スクリーニング (Antibody Screening): 患者血清中の不規則抗体の有無を調べる検査です。陽性の場合は交差適合試験でより慎重な確認が必要ですが、これ単独では適合性を証明できません。
③
間接抗グロブリン試験 (Indirect Antiglobulin Test, IAT): 主に不規則抗体の検出や同定に用いられます。抗体スクリーニングの一部として行われますが、輸血前の適合性最終確認としては交差適合試験の一部(間接抗グロブリン法によるクロスマッチ)として組み込まれることが多いです。単独で「適合性確認試験」とは呼びません。
⑤
直接抗グロブリン試験 (Direct Antiglobulin Test, DAT):
混同注意! これは、患者の赤血球にすでに結合している抗体(自己抗体や薬剤起因性抗体など)を検出する試験で、主に
自己免疫性溶血性貧血 (AIHA)や
新生児溶血性疾患 (HDN)の診断に用います。輸血前の適合性確認には使用しません。
概念整理: 輸血検査の流れは「血液型検査(ABO・Rh)→ 不規則抗体スクリーニング → 交差適合試験」の順に進みます。交差適合試験が最終関門であり、これに合格した血液製剤のみが患者に投与されます。
一目で比較!:
| 試験名 | 目的 | 輸血前の位置づけ |
|---|
| 血液型検査 | ABO・Rh血液型の決定 | 基本情報収集 |
| 抗体スクリーニング | 不規則抗体の有無を確認 | リスク評価 |
| 交差適合試験 | 患者と血液製剤の適合性最終確認 | 必須の最終確認 |
看護過程ポイント:
アセスメントでは、患者の輸血歴・妊娠歴を確認し不規則抗体のリスクを評価します。
看護計画では、交差適合試験の実施と結果確認を確実に行うことを含めます。
実施では、患者確認(本人確認、リストバンド照合)と同時に、血液製剤のラベルと交差適合試験結果が一致しているかをダブルチェックします。
暗記のコツ: 「交差(クロス)=患者とドナーをクロスさせて適合性を確かめる」と覚えましょう。Major(患者血清×ドナー血球)が最も重要で、もし不適合なら
急激な溶血反応を引き起こします。
国試頻出ポイント: この問題は毎年のように出題される「基本中の基本」です。選択肢に「交差適合試験」と「血液型検査」の区別を問う問題が頻出です。また、交差適合試験の「主試験」と「副試験」の違い、不規則抗体のスクリーニングとの関係も合わせて学習しておくと確実です。