核心解説
この問題は、
Rh式血液型 (Rh Blood Group System) における各抗原の特徴、特に臨床的に最も重要な「抗原性 (Antigenicity)」の強さを問う基礎知識問題です。
最重要! Rh式血液型の中で、
D抗原 (D Antigen) は他のC、c、E、e抗原と比較して圧倒的に抗原性が強く、輸血医療や周産期医療(新生児溶血性疾患)において最も重要な因子とされています。
D抗原の有無によって「Rh陽性 (Rh-positive)」と「Rh陰性 (Rh-negative)」が定義されます。Rh陰性の患者さんにRh陽性の血液を輸血すると、
抗D抗体 (Anti-D Antibody) が産生され、次回の輸血時に重篤な溶血性輸血副作用 (Hemolytic Transfusion Reaction) を引き起こす可能性があります。また、Rh陰性の母体がRh陽性の胎児を妊娠した場合、母体に抗D抗体が産生され、次回以降の妊娠で新生児溶血性疾患 (Hemolytic Disease of the Newborn, HDN) を発症するリスクがあります。
したがって、最も抗原性が強い因子は
D抗原であり、正解は⑤番です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
D抗原は、Rh血液型システムにおいて約50種類以上存在する抗原の中で最も免疫原性が高く、臨床的に最も頻繁に問題となる抗原です。そのため、輸血前の血液型検査では、ABO式血液型と並んで必ずD抗原の有無を確認します。D抗原が陽性であればRh陽性、陰性であればRh陰性と判定します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①~④番は、いずれもRh式血液型を構成する抗原ですが、D抗原と比較すると抗原性は低く、臨床的に問題となる頻度も少ないです。特に、
混同注意! C抗原とc抗原、E抗原とe抗原は対立遺伝子の関係にありますが、D抗原のように「有無」で血液型を大きく二分するほどの重要性はありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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ABO式血液型 (ABO Blood Group System): こちらはA抗原、B抗原の有無と、それに対する自然抗体(抗A抗体、抗B抗体)が存在する点がRh式との大きな違いです。Rh式では、D抗原に対する抗体(抗D抗体)は自然には産生されず、輸血や妊娠をきっかけに産生される「免疫抗体」です。
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Rh陰性妊婦の管理: Rh陰性の妊婦さんには、妊娠28週前後や分娩後72時間以内に
抗Dヒト免疫グロブリン (Anti-D Immunoglobulin) を投与することで、抗D抗体の産生を予防し、次回以降の妊娠での新生児溶血性疾患を予防します。
概念整理: Rh式血液型において、D抗原の有無が「Rh陽性・陰性」を決定し、その抗原性の強さゆえに輸血や妊娠管理で最も注意を要する。他のC/c、E/e抗原は補助的に分類される。
一目で比較!:
| 血液型システム | 主要抗原 | 抗体の種類 | 臨床的意義 |
| ABO式 | A抗原, B抗原 | 自然抗体(抗A, 抗B) | 輸血不適合の即時型反応 |
| Rh式 | D抗原 | 免疫抗体(抗D) | 溶血性輸血副作用, 新生児溶血性疾患 |
看護過程ポイント: 輸血療法の看護では、ABO式とRh式の両方を確認し、患者さんの血液型を正しく把握することが第一歩。Rh陰性の患者さんには、Rh陽性の血液が誤って投与されないよう、ダブルチェックを徹底する。
暗記のコツ: 「DはDominant(優性)」と覚えましょう。D抗原が他の抗原より「圧倒的に強い(Dominant)」というイメージです。Dの有無でRhが決まる、と単純化して記憶すると良いでしょう。
国試頻出ポイント: 「Rh式血液型で最も抗原性が強いのはどれか」という単純知識問題としてだけでなく、「Rh陰性妊婦の看護」「輸血時の副作用予防」などの事例問題の前提知識として頻出します。