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血液
問題

血液型不適合輸血が行われた際に、最も重篤な症状を引き起こすのはどれか。

解説
ABO式血液型不適合輸血では、受血者の体内でドナー赤血球が急速に溶血する急性溶血性副作用が最も重篤であり、DICや急性腎障害を引き起こす可能性がある。
同じテーマの次の問題ABO式血液型において、A型の赤血球表面に存在する抗原はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、血液型不適合輸血 (Blood Transfusion Incompatibility) における最重篤な合併症を問うています。輸血療法 (Fluid Therapy / Transfusion Therapy) における最大のリスクは、免疫学的反応による 急性溶血性副作用 (Acute Hemolytic Transfusion Reaction, AHTR) です。ABO式血液型不適合輸血では、受血者の体内にすでに存在する抗A抗体または抗B抗体が、輸血されたドナー赤血球に結合し、急速に補体を活性化させて血管内溶血を引き起こします。この溶血反応により、遊離ヘモグロビンが腎臓を傷害し、さらに凝固系を活性化して 播種性血管内凝固症候群 (DIC) を誘発するため、最も生命を脅かす重篤な症状となります。 正解の根拠 (Answer Rationale): ④番の 急性溶血性副作用 (Acute Hemolytic Reaction) が正解です。これは、ABO式血液型不適合輸血において最も頻度は低いものの、致命的となりうる反応です。症状は輸血開始直後(数分~数十分)に出現し、腰背部痛、発熱、悪寒、血圧低下、ヘモグロビン尿(赤ワイン色尿)などが特徴的です。治療は直ちに輸血を中止し、生理食塩液でルートを確保、医師へ報告し、急性腎障害やDICへの対応を開始します。 誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 輸血後感染症 (Post-transfusion Infection) は、血液製剤を介したウイルス(HIV、B型肝炎など)や細菌の感染ですが、発症までに時間がかかり(数週間~数年)、急性の重篤症状ではありません。
② 蕁麻疹 (Urticaria) は 軽度のアレルギー反応 であり、抗ヒスタミン薬投与で改善するため、生命を脅かすものではありません。
混同注意! アナフィラキシーショック (Anaphylactic Shock) は主に血漿成分に対するアレルギー反応であり、気道浮腫や血圧低下を起こしますが、ABO不適合による血管内溶血とは機序が異なり、頻度も低いです。
⑤ 発熱 (Febrile Non-Hemolytic Reaction) は最も頻度の高い副作用で、白血球抗体による反応ですが、通常は生命に危険を及ぼしません。 関連概念の整理 (Related Concepts): 血液型不適合輸血の防止には、輸血前の交差試験 (Cross-matching Test)患者照合 (Patient Identification) が必須です。看護師は、輸血開始前・開始後15分・終了時の3回、バイタルサイン (Vital Signs) を測定し、異常がないか観察します。また、輸血開始後5分以内は最も反応が出現しやすいため、患者から目を離さないことが 最重要! です。 概念整理:
急性溶血性副作用 (AHTR): 即時型(数分~数時間)、血管内溶血、DIC・急性腎障害リスク。
遅発性溶血性副作用 (DHTR): 遅発型(数日~2週間)、血管外溶血、症状は軽度。
アレルギー反応: 蕁麻疹(軽度)からアナフィラキシー(重度)まで。頻度は高いが、溶血性反応より重篤度は低い。 一目で比較!:
副作用発症時期原因重篤度
急性溶血性副作用輸血開始後数分~数時間ABO不適合 (IgM抗体)致命的
アナフィラキシーショック輸血開始後数分血漿成分 (IgE抗体)重篤
発熱性非溶血性反応輸血中~終了後数時間白血球抗体軽度~中等度
蕁麻疹輸血中血漿成分 (IgE抗体)軽度
看護過程ポイント:
アセスメント: 輸血開始前の患者ID・血液製剤・交差試験結果のダブルチェック。開始後はバイタルサイン測定(開始前・開始後15分・終了時)と患者の訴え(腰背部痛、悪寒、呼吸苦)の聴取。
看護診断: 血液型不適合による組織灌流障害のリスク (Risk for Ineffective Tissue Perfusion)。
計画・実施: 異常時は直ちに輸血を中止し、生理食塩液でルート確保、医師報告、輸血バッグ・輸血セットは必ず保管(原因究明のため)。
評価: バイタルサイン安定、尿量確保、DIC・腎障害の兆候がないか確認。 暗記のコツ: 「アボ(ABO)が合わないと、(急性)に溶血して(重篤)くなる」と覚えましょう。最重要! 輸血開始後5分間は「ゴールデンタイム」、この間に異常を発見できれば命を救えます! 国試頻出ポイント: 輸血副作用の中で「最も重篤」「最も頻度が高い」「最も早く出現する」などの最上級のキーワードで出題されます。急性溶血性副作用とアナフィラキシーショックの違い(溶血 vs アレルギー)を必ず区別してください。また、看護師の最初の対応は「輸血を中止する」です。この一連の手順(中止 → ルート確保 → 報告)は国試でも頻出です。 出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「輸血中に患者が腰背部痛を訴えた場合の看護師の優先対応は?」という状況設定問題(事例問題)に発展します。この場合、最初に行うのはバイタルサイン測定ではなく、輸血を中止することです。この優先順位を間違えないようにしましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 70代女性、貧血 (Anemia) のため濃厚赤血球輸血が開始されました。開始後10分で、「腰がすごく痛い」「寒気がする」と訴え、血圧が90/60 mmHg(開始前は120/70 mmHg)に低下し、体温が37.5℃から39.0℃に上昇しました。尿の色が濃い赤色(ヘモグロビン尿)になっていることに気づきました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 最重要! まず 輸血を直ちに中止 し、輸血ラインは生食に切り替えてルートを確保します。
2. バイタルサインを測定し、同時に医師へ報告(SBAR形式:Situation「輸血開始10分後、患者が腰背部痛と悪寒を訴え、血圧低下と発熱あり」、Background「貧血に対して輸血中」、Assessment「急性溶血性副作用の可能性が高い」、Recommendation「輸血中止、今後の指示が必要」)。
3. 尿量を確認し、導尿を検討。輸血バッグ・輸血セットは絶対に廃棄せず保管(血液センターでの検査に必要)。
4. 医師の指示で、昇圧薬、利尿薬、ステロイド投与を準備。DIC発症に備えて凝固系検査(PT、APTT、FDP)をオーダー。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
最重要! 輸血開始時の ダブルチェック(患者本人の確認、IDバンド、血液製剤ラベル、交差試験結果)が予防の基本。
輸血バッグは廃棄しない:原因究明と法的証拠となるため、事故が発生した場合も必ず病院指定の場所へ保管する。
特定集団の注意:高齢者では心機能や腎機能が低下しているため、急性腎障害がより重篤化しやすい。小児では循環血液量が少なく、急変が急速に進行する。 看護プロトコル:
・観察項目:バイタルサイン(輸血開始前・開始後15分・終了時)、尿量・尿色、患者の訴え(腰背部痛、頭痛、呼吸苦、痒み)。
・報告基準(SBAR):異常症状出現時は即時報告。特に腰背部痛・血圧低下・ヘモグロビン尿は急性溶血のサイン。
・記録のポイント:輸血開始時刻、血液製剤番号、患者の反応、バイタルサイン、行った処置(中止・生食切り替え)、医師への報告時刻・指示内容。
・家族への説明:重篤な副作用が発生した場合、家族にも状況と今後の治療方針を説明する。 先輩看護師の一言: 「輸血の開始時は、たとえ忙しくても絶対に5分間は患者さんのそばを離れないでください!『腰が痛い』『なんか変』という患者さんの言葉が、致命的な反応の最初のサインです。『様子を見ましょう』ではなく、すぐに中止する勇気を持ってください。それが患者さんの命を救う看護です。」
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