看護学のコア解説
この問題は、小児期に発熱と咽頭痛を伴う発疹性疾患の鑑別、特に
猩紅熱 (Scarlet fever)の特徴的な身体所見について問うています。猩紅熱は、
A群β溶血性連鎖球菌 (Group A Streptococcus, GAS)による咽頭炎に、菌が産生する
発疹毒素 (Erythrogenic toxin)が加わって発症します。
重要概念の分析 (Key Concept)
猩紅熱の診断において、
身体所見 (Physical assessment)は極めて重要です。特徴的な発疹は、毒素による毛細血管の拡張と炎症反応によって生じます。発疹は通常、発熱と咽頭痛に続いて出現し、体幹から始まり四肢へと広がります。また、咽頭所見として
「イチゴ舌 (Strawberry tongue)」(初期は白苔に覆われた舌、その後赤くブツブツとした舌)も重要な所見です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
ここがポイント! 選択肢①の「圧迫で退色する紙やすり様の発疹」は、猩紅熱の皮疹を最も的確に表現しています。「紙やすり様 (Sandpaper-like)」という触感と、「圧迫で退色する (Blanches with pressure)」という血管性発疹の特徴を合わせ持っています。この発疹は、わずかな隆起があり、触るとざらざらした感じがします。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②の「体幹と四肢のレース状、網状皮疹」は、
伝染性紅斑 (Erythema infectiosum、通称「りんご病」)(ヒトパルボウイルスB19感染)の特徴です。頬の紅斑(りんごほっぺ)に続いて出現します。
③の「頬粘膜のコプリック斑」は、
麻疹 (Measles)に特異的な所見です。発疹出現前に見られる小さな白い斑点で、診断的価値が極めて高いです。
④の「痂皮を形成する水疱性発疹」は、
水痘 (Varicella、Chickenpox)の経過を表しています。様々な段階(紅斑、丘疹、水疱、痂皮)の発疹が混在する「新旧不同」が特徴です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
猩紅熱の合併症に注意が必要です。急性期には
中耳炎 (Otitis media)や
副鼻腔炎 (Sinusitis)、回復期以降には
リウマチ熱 (Acute rheumatic fever)や
急性糸球体腎炎 (Acute glomerulonephritis)といった非化膿性合併症が起こる可能性があります。そのため、抗菌薬(通常はペニシリン系)による十分な治療が不可欠です。
概念のまとめ
猩紅熱:A群溶連菌感染+発疹毒素 → 発熱・咽頭痛+「紙やすり様で圧迫退色する発疹」+「イチゴ舌」
一目で比較!
| 疾患 | 原因微生物 | 特徴的な発疹・所見 |
|---|
| 猩紅熱 | A群β溶血性連鎖球菌 | 紙やすり様、圧迫で退色する発疹、イチゴ舌 |
| 麻疹 | 麻疹ウイルス | コプリック斑(頬粘膜)、頭部から体幹・四肢へ広がる融合性紅斑 |
| 水痘 | 水痘・帯状疱疹ウイルス | 新旧不同の水疱、痂皮、強い掻痒感 |
| 伝染性紅斑 | ヒトパルボウイルスB19 | 両頬の紅斑(りんごほっぺ)、体幹・四肢のレース状紅斑 |
解剖生理と薬理のポイント
A群溶連菌は咽頭扁桃に感染し、外毒素(発疹毒素)を産生。この毒素が全身の毛細血管に作用して発疹を生じさせる。治療の第一選択は
ペニシリン系抗菌薬 (Penicillin antibiotics)(例:アモキシシリン)の10日間内服。合併症予防のために服薬コンプライアンスの徹底が重要。
暗記のコツとゴロ合わせ
猩紅熱の特徴は「
サンドペーパー・ストロベリー」!「サンド(紙やすり)ペーパー様発疹」と「ストロベリー(イチゴ)舌」でセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント
猩紅熱の「発疹の性状」「イチゴ舌」「原因菌と合併症(リウマチ熱、糸球体腎炎)」「看護(隔離、服薬指導、合併症観察)」は頻出です。発疹性疾患の鑑別表は必須知識です。
国試出題パターンの変化に注意!
単に「猩紅熱の発疹は?」と問うだけでなく、「抗菌薬内服指導のポイントは?」「合併症予防のために観察すべき症状は?」「登校(園)の基準は?」といった、治療・看護・感染管理に結びついた応用問題が出題される傾向があります。