看護学のコア解説
この問題は、
優先順位付け (Priority setting)、特に
小児病棟 (Pediatric unit)における緊急度の高い患者のアセスメントについて問うています。看護師は常に
ここがポイント! ABC(気道・呼吸・循環)の安定性と、生命や臓器機能に直ちに脅威を与える可能性のある状態を最優先で評価する必要があります。
重要概念の分析 (Key Concept)
優先順位付けの基本原則は、
緊急性 (Urgency)と
重症度 (Severity)に基づきます。具体的には、
急性腹症 (Acute abdomen)の症状は、
腸閉塞 (Ileus)、
吻合部離開 (Anastomotic leak)、
腹膜炎 (Peritonitis)などの重篤な術後合併症を示唆する可能性があり、迅速な対応を必要とします。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解の選択肢③の患者(28歳、虫垂切除術後6時間、激しい腹痛(8/10)、悪心・嘔吐)は、
ここがポイント! 術後早期に出現した「激しい腹痛」「悪心・嘔吐」という急性腹症の症状を示しています。虫垂切除術後は、出血、感染、腸管損傷などによる合併症のリスクがあります。特に、
術後イレウス (Postoperative ileus)や
腹膜炎は、放置すると敗血症やショックに進行する可能性があり、
緊急の医学的評価と介入が必要です。したがって、この患者のアセスメントが最優先となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 他の選択肢は、いずれも安定した状態または緊急性の低いニーズを示しています。
① 喘息の10歳児:退院準備は計画的なケアであり、状態は安定していると判断できます。
② 嚢胞性線維症の12歳児:酸素投与下で安静にしている安定した状態です。酸素流量も低く、呼吸苦などの急性増悪の所見はありません。
④ 片頭痛の14歳児:疼痛スコア4/10は中等度であり、生命の危険はありません。鎮痛薬の要求は重要ですが、急性腹症の患者に比べ緊急性は低いです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
優先順位付けでは、「緊急度の高い患者」だけでなく、「状態が急変するリスクの高い患者」も考慮します。しかし、この問題では明らかな急性症状を示す患者がいるため、それが最優先となります。小児病棟では、年齢や発達段階に応じた疼痛評価とコミュニケーションが重要です。
概念のまとめ
優先順位付けの基本:ABCの安定性の脅威 > 激しい疼痛や急性症状 > 安定した状態での計画的なケア。
術後合併症の危険信号:術後早期の激しい腹痛、持続する嘔吐、発熱、バイタルサインの変化(頻脈、血圧低下など)。
小児の疼痛評価:年齢に適したスケール(例:フェイススケール、数値評価スケール)を使用する。
一目で比較!
| 患者 | 状態/症状 | 緊急性の判断 | 理由 |
|---|
| ③ 虫垂切除術後 | 激痛(8/10)、悪心・嘔吐 | 緊急度高 | 術後合併症(腹膜炎、イレウス)の可能性。生命の危険があり得る。 |
| ④ 片頭痛 | 頭痛(4/10) | 緊急度低 | 慢性疾患の急性増悪。疼痛は中等度で、生命の危険はない。 |
| ① 喘息(退院予定) | 退院準備の援助要請 | 緊急度低 | 状態は安定。計画的な看護業務の範囲内。 |
| ② 嚢胞性線維症 | 酸素投与中、安静 | 緊急度低 | バイタルサイン安定。急性呼吸不全の所見なし。 |
解剖生理と薬理のポイント
虫垂炎 (Appendicitis)は虫垂の閉塞と細菌感染により起こります。切除術後、縫合部からの細菌漏出や腸管運動の麻痺が起こると、
腹膜炎や
麻痺性イレウス (Paralytic ileus)を引き起こします。腹膜炎では、腹膜刺激症状(反跳痛、筋性防御)が出現し、炎症反応により全身状態が急速に悪化します。
暗記のコツとゴロ合わせ
優先順位の原則「
ABCデー」:
Airway(気道)、
Breathing(呼吸)、
Circulation(循環)の障害は最優先!その次に
Disability(意識障害)、
Exposure(全身観察)です。
急性腹症の覚え方「
痛吐熱」:
痛み(腹痛)、
吐気・嘔吐、発
熱は、重篤な腹部疾患の三大症状です。
国試頻出ポイント
「最初にアセスメントすべき患者は?」という優先順位問題は超頻出です。常に「生命の危険または重篤な合併症のリスクが最も高い患者」を選びましょう。術後患者の急変サイン(疼痛コントロール不能の疼痛、出血、呼吸苦)は特に重要です。
国試出題パターンの変化に注意!
同じ「術後腹痛」でも、
症状の記述から問うパターン(今回)と、
看護師が取るべき最初の行動(例:「医師に報告する」「バイタルサインを測定する」「創部を観察する」)を問うパターンがあります。後者の場合も、アセスメント(バイタルサイン測定と全身状態の観察)が最初の行動であることが多いです。