核心解説
この問題は、
精神保健福祉法 (Act on Mental Health and Welfare for the Mentally Disabled) に規定される
措置入院 (Involuntary Admission by Prefectural Governor) の正しい要件を問うています。措置入院は、
最重要! 精神障害のために
自傷他害のおそれ (Risk of Self-harm or Harm to Others) があると認められる者に対して、本人の同意なしに強制的に入院を命じる制度です。この制度の最大のポイントは、
精神保健指定医 (Designated Psychiatrist) による厳格な診察と、
都道府県知事 (Prefectural Governor) の命令権です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ③「精神保健指定医2名以上が自傷他害のおそれがあると診察し、都道府県知事が入院を命じる」が正解です。法律では、精神保健指定医2名以上が、それぞれ独立して診察を行い、その結果が一致して「自傷他害のおそれがある」と認めた場合に、都道府県知事が措置入院を命じることができます。これは、
本人の人権を制限する強い強制力を持つ制度であるため、複数の専門医による慎重な判断と、行政の長である都道府県知事の権限が必須とされています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番:精神保健指定医1名での診察と本人の同意が必要なのは、
医療保護入院 (Medical Protection Admission) の要件です。措置入院では本人の同意は不要です。
②番:市町村長が入院を命じることはありません。入院命令は都道府県知事の権限です。
④番:家族等の同意のもとで入院を行うのは
医療保護入院 の特徴です。措置入院は同意不要で強制的です。
⑤番:主治医1名の判断のみで措置入院を命じることは絶対にできません。必ず精神保健指定医2名以上の診察が必要です。この点は
絶対に誤り!
関連概念の整理 (Related Concepts)
| 入院形態 | 診察医 | 同意 | 命令権者 | 対象 |
|---|
| 措置入院 | 精神保健指定医 2名以上 | 不要 | 都道府県知事 | 自傷他害のおそれ |
| 医療保護入院 | 精神保健指定医 1名 | 家族等の同意 | 病院長 | 医療・保護のため任意入院が困難 |
| 任意入院 | 主治医 | 本人の同意 | 病院長 | 自ら入院を希望 |
| 緊急措置入院 | 精神保健指定医 1名 | 不要 | 都道府県知事 | 緊急やむを得ない場合(72時間まで) |
概念整理
この問題の核心は、
精神保健福祉法における強制入院の厳格な要件です。措置入院は、
個人の自由(身体の自由)を制限する行政処分であるため、その判断には「精神保健指定医2名以上」というダブルチェックと、「都道府県知事」という行政のトップの命令が必要です。
一目で比較!
- 措置入院:
国(行政)が主導 → 2名の指定医 + 知事命令 + 同意不要
- 医療保護入院:
医療機関が主導 → 1名の指定医 + 家族同意 + 病院長権限
この2つを確実に区別しましょう!
看護過程ポイント
-
アセスメント:措置入院で搬送されてきた患者は、興奮・混乱状態にあることが多く、
自傷他害のリスクアセスメントを最優先に行う。バイタルサイン測定とともに、安全な環境を確保する。
-
看護診断:暴力リスク状態、非効果的対処、不安などが挙げられる。
-
計画・実施:患者の安全を守るため、隔離・身体拘束の適応を医師と協議する。患者の意思に反しているため、
治療的コミュニケーション (Therapeutic Communication) を用いて不安を軽減するよう努める。
-
評価:自傷他害のリスクが軽減したか、患者の状態に変化はないかを継続的に評価する。
暗記のコツ
「
2人の先生(指定医)が『危ない!』と言って、知事さんが『入院させろ!』と命令する」とイメージすると覚えやすいです。
国試頻出ポイント
この問題は、
精神保健福祉法からの頻出テーマです。特に「措置入院」「医療保護入院」「任意入院」の3つの違いと、それぞれに必要な「医師の人数」「同意の有無」「命令権者」は、事例問題として出題されることが多いので、確実に区別できるようにしておきましょう。
出題パターン注意!
「〇〇さんは、自宅で大声を出し、近隣住民に危害を加えようとしています。警察官が保護しました。精神保健指定医2名が診察した結果、自傷他害のおそれがあると認められました。この場合の入院形態はどれか?」というように、実際の臨床場面を想定した事例問題として出題されます。