核心解説
この問題は、日本の公的年金制度における
遺族基礎年金 (Survivor's Basic Pension)の受給対象者を問う、社会保障制度の基本知識を確認する内容です。
遺族基礎年金は、国民年金 (National Pension) の被保険者または被保険者であった者が死亡した場合に、その遺族に支給される年金で、受給権者は法律で厳密に定められています。
2014年の法改正により、従来は「子のある妻」に限定されていた対象が拡大され、現在は「子のある配偶者(夫・妻の両方)」または「子」となりました。この「子」とは、
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子を指します。この制度の趣旨は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた「子のいる配偶者」と「子」自身の生活を保障することにあります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
③番「子のある配偶者または子」が正解です。遺族基礎年金の受給権者は、
最重要! 死亡した被保険者に「子」がいる場合に限り、その「子のある配偶者」が受給権を持ちます。そして、
その「子」自身も受給権者となります。ただし、配偶者と子の両方に支給されるわけではなく、
混同注意! 実際の年金額は「子のある配偶者」が受給する場合は「子の加算額」が上乗せされた形で支給され、配偶者がいない場合は「子」が受給権者となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①番「配偶者・子・父母・孫・祖父母」は誤りです。これは
遺族厚生年金 (Survivor's Welfare Pension)の受給権者の範囲と混同しやすいパターンです。遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」に限定されるため、父母・孫・祖父母は対象外です。
②番「配偶者のみ(子の有無を問わない)」は誤りです。遺族基礎年金では
子のいない配偶者には支給されません。このような配偶者には、遺族厚生年金のみが支給される可能性があります。
④番「子・父母・孫・祖父母(配偶者を除く)」は誤りです。父母・孫・祖父母は遺族基礎年金の対象外です。また、配偶者がいても子がいなければ受給権は発生しません。
⑤番「子のない配偶者および直系尊属」は誤りです。子のない配偶者と直系尊属(父母・祖父母)は、いずれも遺族基礎年金の受給対象ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts):
遺族年金には、
遺族基礎年金と
遺族厚生年金の2階建て構造があります。遺族基礎年金は全国民共通の
国民年金から、遺族厚生年金は会社員等が加入する
厚生年金保険から支給されます。遺族厚生年金の受給権者は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた「配偶者、子、父母、孫、祖父母」と範囲が広く、
混同注意! 特に「子のいない配偶者」でも受給可能であり、この点が遺族基礎年金との大きな違いです。また、
寡婦年金や
死亡一時金といった他の遺族給付との違いも併せて整理しておきましょう。
概念整理: 遺族基礎年金の受給権者は「子のある配偶者」または「子」に限定。2014年改正で父子家庭も対象に。子の定義は「18歳到達年度末まで」または「20歳未満で障害1・2級」。
一目で比較!:
| 制度 | 受給権者 | 備考 |
|---|
| 遺族基礎年金 | 子のある配偶者 または 子 | 子のいない配偶者は対象外 |
| 遺族厚生年金 | 配偶者・子・父母・孫・祖父母 | 範囲が広い。子のいない配偶者も対象 |
| 寡婦年金 | 10年以上婚姻関係にあった妻 | 夫死亡時に一定期間経過していること |
| 死亡一時金 | 遺族基礎年金受給権のない遺族 | 保険料納付済期間が一定以上ある場合 |
看護過程ポイント: 看護師は患者・家族の社会経済的背景をアセスメントする際、遺族年金の制度知識が必要です。特に、
遺族基礎年金の受給資格の有無は、患者死亡後の家族の生活設計に直結します。退院支援や終末期ケアにおいて、ソーシャルワーカー (MSW) と連携し、適切な情報提供と手続き支援ができるよう、制度の基礎を理解しておきましょう。
暗記のコツ: 「
子のいない配偶者は基礎年金×、厚生年金○」と覚えましょう。「基礎年金は子どもがキー!子なしはもらえない!」という語呂合わせも有効です。また、「子の定義は18歳年度末(高校卒業相当)」をセットで暗記すると、試験で問われた時に迷いません。
国試頻出ポイント: このテーマは、
国民年金法からの出題で、特に「受給権者の範囲」が繰り返し問われます。選択肢の中に「子のある配偶者または子」という正解肢と、「配偶者」や「父母」といった誤答肢が混在するパターンが頻出です。
最重要! 遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権者の違いを比較して問う問題もよく出るので、両者をセットで暗記しましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題だけでなく、「被保険者Aさんが死亡した。Aさんには妻Bさんと子C(17歳)がいる。この場合の遺族基礎年金の受給権者は誰か。」といった事例形式の問題にも対応できるよう、具体的な人物をイメージして整理しておきましょう。