地震発生後、病院職員が負傷者を診療する際に、最も優先して確認すべきことはどれか。 | MyMerci
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災害と看護
問題

地震発生後、病院職員が負傷者を診療する際に、最も優先して確認すべきことはどれか。

病院は停電しており、一部の照明のみが非常用電源で稼働している。余震の可能性もある。
解説
災害時でも、医療の基本はABCDアプローチである。まず気道(Airway)、呼吸(Breathing)、循環(Circulation)の状態を評価し、生命の危険がある場合は直ちに処置を開始する必要がある。
同じテーマの次の問題災害発生直後、病院の災害対策本部が最初に行うべき対応はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、災害時医療におけるトリアージと初期対応の基本原則を問うています。状況設定から、病院は停電し余震の可能性もあるという不安全な環境下であることが読み取れます。このような緊急時・災害時においても、医療の原点は普遍的であり、一次救命処置 (Basic Life Support, BLS) の考え方が最優先されることを理解する必要があります。

正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 災害の種類や規模、病院の機能状況にかかわらず、傷病者を診療する際の最優先事項は生命の危機的状態の有無を評価し、緊急度を判断することです。そのための体系的なアプローチが ABCDアプローチ (Airway, Breathing, Circulation, Dysfunction of CNS) です。選択肢2の気道 (Airway)・呼吸 (Breathing)・循環 (Circulation) の評価は、まさにこのABCDの最初の3項目であり、生命維持に直結する最も重要な評価です。これが障害されていれば数分で死に至るため、すべての処置に先立って確認しなければなりません。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
① 傷病者の健康保険証の有無: 混同注意! 平時の診療では受付で確認しますが、災害時は災害救助法が適用され、医療費は公費負担となることが多く、保険証確認は後回しで構いません。生命に関わらない事務手続きは、トリアージの後です。
③ 傷病者のアレルギーの有無: 薬剤投与の前には非常に重要な情報ですが、それはABCD評価によって生命の危機が無い、または安定化した後に確認する情報です。評価をせずに薬剤投与には至りません。
④ 傷病者の氏名と住所の確認: 身元確認も重要ですが、意識レベル(D: Dysfunction of CNS)の評価の中で同時に確認できる可能性はあるものの、まず生命維持の評価が優先されます。単独で最優先事項とはなりません。
⑤ 傷病者の家族の安否情報: 傷病者の精神的な動揺を和らげるために必要な情報ですが、身体的評価・治療の優先順位はそれよりも上です。医療者の役割はまず傷病者自身の生命を守ることです。

概念整理 災害医療におけるトリアージ(Triage)は、「最大多数の傷病者に、最善の医療を提供する」ために、治療優先順位を決定するプロセスです。START式トリアージでは、歩行、呼吸、循環、意識の順に評価し、赤(最優先治療群)・黄(待機的治療群)・緑(軽症群)・黒(死亡/救命不能群)に分類します。この問題は、最初に行う生理学的評価の根本を問うています。

国試頻出ポイント 災害看護の分野では、トリアージの原則、色分けの定義、災害サイクル(急性期・亜急性期・慢性期・静穏期)における看護師の役割が頻出です。特に、CSCATTT(Command & Control, Safety, Communication, Assessment, Triage, Treatment, Transport)や、避難所生活における深部静脈血栓症(DVT)/エコノミークラス症候群予防も合わせて学習しておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 大地震発生から1時間後、停電した病院の外来駐車場に設置された応急救護所。救護チームの看護師として、多くの負傷者が担架や徒歩で次々に搬送されてくる状況です。50代男性が「胸が痛い」と訴え、自力歩行で来ました。外見上は大きな出血や骨折はありません。あなたはこの男性に対して、まず何を確認しますか?

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): まず最重要! 本人に「大丈夫ですか?」と声をかけて反応(意識レベル)を見ます。反応があれば、次に気道を確保しながら呼吸の評価(呼吸数、深さ、努力呼吸の有無、SpO2)、そして循環の評価(橈骨動脈の脈拍の有無、脈拍数、血圧、皮膚の色調・湿潤度)を30秒以内に迅速に行います。これを「振り返る見る・聞く・感じる」の体系的な観察です。同時に、危険な外出血がないかを目視で確認します。この評価で異常があれば赤タグを付けて直ちに医師の診療に繋ぎ、安定していれば胸痛の原因検索(虚血性心疾患の疑いなど)と黄色タグで待機場所へ案内する、という判断に繋げます。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 二次災害の防止は看護師の重要な役割です。余震による落下物から身を守るため、ヘルメットや安全靴を着用し、安全な場所でトリアージを行います。自身の安全を確保できないと、傷病者を救うことはできません。
看護プロトコル 観察項目: 意識レベル(JCS/GCS)、気道の開通性、呼吸状態(数・深さ・左右差)、循環状態(脈拍・血圧・末梢冷感)、外出血の有無
報告基準(SBAR):
S (Situation): 「トリアージ中の50代男性、胸痛を訴えていますが、ABCD評価で現在は循環と呼吸は安定しています」
B (Background): 「大地震後、徒歩で来院。既往歴は不明です」
A (Assessment): 「虚血性心疾患の可能性を考え、優先的に診療が必要と思われます」
R (Recommendation): 「心電図モニターと酸素投与の指示をお願いします」
先輩看護師の一言 「災害時こそ、基本に忠実に。普段のBLS/ACLS訓練の成果が試される時です。慌ただしい状況だからこそ、『まず生命の危険を除外する』というABCDの原則を絶対に飛ばさないでください。これが、最も多くの命を救うことに繋がる、災害看護の鉄則です。」

重要概念

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