在宅療養中の膀胱留置カテーテル挿入患者に発熱と混濁尿が認められた。訪問看護師が最初に行うべき対応はどれか。 | MyMerci
在宅における医療管理を必要とする人と看護
問題

在宅療養中の膀胱留置カテーテル挿入患者に発熱と混濁尿が認められた。訪問看護師が最初に行うべき対応はどれか。

解説
発熱と混濁尿は尿路感染症を示唆する所見である。在宅ではまず尿培養検査を採取し、原因菌と薬剤感受性を確認した上で、医師に連絡して適切な治療方針を決定する必要がある。カテーテルの抜去や洗浄は医師の指示のもとで行う。

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅療養中の膀胱留置カテーテル管理カテーテル関連尿路感染症 (Catheter-Associated Urinary Tract Infection: CAUTI) が疑われる場合の看護師の初期対応と判断を問うています。最重要! 看護師が医師の指示なく独自に治療を開始することは保健師助産師看護師法で禁じられた医行為にあたります。異常の早期発見、客観的情報の収集、迅速な報告が看護師の役割の核心です。 核心概念の分析 (Key Concept) 膀胱留置カテーテルは尿路感染症の最大のリスク因子です。発熱と混濁尿は尿路感染症 (Urinary Tract Infection: UTI) の典型的な臨床症状であり、在宅であっても医療関連感染として対応する必要があります。訪問看護師 (Home-Visit Nurse) は、患者の状態変化を最初に発見する立場として、客観的なデータ(バイタルサイン、尿の性状、全身状態)を収集し、医師へ報告する役割を担います。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 選択肢3「尿培養検査と医師への連絡を行う」が正解です。発熱と混濁尿という感染徴候を認めた場合、原因菌の同定と薬剤感受性の確認は適切な抗菌薬選択のために不可欠です。看護師は、医師の指示のもとで尿培養検体を適切に採取し、得られた客観的所見(バイタルサイン、尿の性状、全身状態の変化)と併せてSBAR(状況・背景・アセスメント・提案)を用いて医師に報告します。これは、在宅看護論における医療安全と看護判断の基本です。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! 各選択肢がなぜ誤りなのか、看護実践上の根拠とともに理解しましょう。 ① 水分摂取量を制限する: 尿路感染症時には、尿量を増やして菌を洗い流すために水分摂取を促すのが原則であり、禁忌です。 ② 抗菌薬の内服を開始する: 抗菌薬投与は医師による処方が必須です。看護師が独自に判断して内服を開始することは、法的に許されない医行為です。 ④ カテーテルをただちに抜去する: カテーテル抜去も医行為です。尿閉のリスク評価や代替手段の検討なしに、看護師の独断で抜去してはなりません。 ⑤ カテーテルを生理食塩水で洗浄する: 閉塞予防目的のルーチンな洗浄は推奨されておらず、感染が疑われる状況での不用意な洗浄は、菌を上行させ菌血症 (Bacteremia) のリスクを高めるため禁忌です。これも医師の指示が必要です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 医療関連感染 (Healthcare-Associated Infection) としてのCAUTI予防策、在宅における感染管理の原則(スタンダードプリコーション、手指衛生、閉鎖式排尿バッグの管理)、高齢者の非定型的感染徴候(発熱が目立たず、食欲不振や活動性低下のみの場合もある)も併せて復習しましょう。
概念整理
項目膀胱留置カテーテル管理の重要ポイント
感染徴候発熱、混濁尿、悪臭尿、カテーテル挿入部の発赤・腫脹・疼痛
看護師の役割早期発見、客観的情報収集(バイタルサイン、尿性状)、医師への報告(SBAR)
禁止行為看護師の独断による抗菌薬投与、カテーテル抜去・洗浄、水分制限
予防策早期抜去の検討、適切なカテーテル固定、閉鎖式排尿システムの維持、清潔操作

一目で比較!
判断看護師が単独で実施可能医師の指示が必要(医行為)
できること尿の性状観察、バイタルサイン測定、医師への報告、検体採取の準備と実施(指示の下で)抗菌薬投与、カテーテル抜去、カテーテル洗浄、点滴の開始・速度変更
法的根拠保健師助産師看護師法 第5条(看護師の業務)保健師助産師看護師法 第31条(医師の指示)、医師法 第17条

看護過程ポイント アセスメント: 発熱(体温、熱型)、尿の性状(色、混濁度、臭気)、排尿時痛の有無、全身状態(食事摂取量、活動性、意識状態)、脱水徴候の有無を包括的に評価します。高齢者の場合、発熱が明らかでないこともあるため注意が必要です。
看護診断: 「カテーテル関連尿路感染症に関連した体温調節機能の障害」「感染防御機能の低下に関連した感染リスク状態」が候補となります。
計画: 医師の指示のもと、尿培養検体の採取と抗菌薬投与の準備を行います。同時に、解熱・脱水予防のための水分摂取促進と全身状態の観察計画を立案します。
実施: 清潔操作での中間尿採取またはカテーテル採尿ポートからの検体採取。医師の指示に基づく抗菌薬投与の管理。患者・家族への水分摂取の必要性の説明と励行。
評価: 介入後の解熱状況、尿性状の改善、全身状態の回復を評価し、新たな異常があれば再度医師へ報告します。
暗記のコツ 在宅での「感染疑い」場面では、看護師の対応の原則は「“みる・とる・つたえる”(観察・検体採取・報告)」です。「自分で治療しようとしない」をキーワードに、法的根拠とセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント 在宅看護論、基礎看護学(感染管理、看護の法的責任)、成人看護学(泌尿器疾患、感染症)の複合領域として頻出です。特に、看護師の判断と医行為の範囲を問う問題は、状況設定問題として繰り返し出題されています。
出題パターン注意! 本問のような「最初に行うべき対応」を問う問題は、優先順位の判断が問われます。緊急性のアセスメント(敗血症リスク)と法的な行動範囲を常にセットで考えられるようにしておきましょう。事例問題では、認知症のある高齢者や意思疎通が難しい患者のケースで、より高度な観察力と臨床判断が求められます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 「80代女性、脳梗塞後遺症のため膀胱留置カテーテルを長期留置中。本日の訪問看護時、体温38.2度、尿は強い混濁と悪臭を認めました。本人は『なんだかだるい』と話し、いつもより傾眠傾向にあります。さて、あなたはどのように対応しますか?」 この場合、まずバイタルサインの詳細な評価(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)と全身状態の観察を行い、全身性炎症反応症候群 (SIRS) や敗血症への進行がないかを迅速にアセスメントします。傾眠傾向は高齢者の重症感染症における重要なサインです。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 観察 → アセスメント → 報告 → 介入 → 評価の流れで動きます。まず最重要! なのは、全身状態の悪化(血圧低下、脈拍上昇、意識レベル低下)がないかの評価です。敗血症が疑われる場合は、緊急搬送も視野に入れた対応が必要です。状態が安定していれば、清潔操作で尿培養を採取し、医師へSBAR形式で報告(S: 発熱と意識レベル低下、B: 長期カテーテル留置中、A: CAUTI疑い、R: 尿培養提出と治療方針の確認)します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) 混同注意! 訪問看護の現場では、検体採取から検査機関への搬送まで時間がかかることがあります。適切な検体保存方法(冷蔵保存など)を確認し、細菌の増殖による誤った結果を防ぐことが重要です。また、高齢者は非定型的な症状(食欲不振、転倒、せん妄)のみが出現することも多く、微熱でも過小評価しないこと。家族への観察ポイント(発熱、尿の濁り、食事量、活気)の指導も在宅管理には欠かせません。
看護プロトコル 観察項目: 体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2・意識レベル(GCS/JCS)、尿の色・混濁度・臭気・量、カテーテル挿入部の皮膚状態、疼痛・違和感の有無、食事・水分摂取量
報告基準(SBAR): S(38度以上の発熱と混濁尿)、B(長期カテーテル留置中、基礎疾患)、A(CAUTIの疑い、敗血症のリスク)、R(尿培養提出の指示確認、抗菌薬処方の要否)を簡潔に伝えます。
記録のポイント: 客観的事実(数値、観察した性状)と看護師のアセスメント、実施したケアと医師への報告内容・指示を時系列で正確に記録します。
先輩看護師の一言 「在宅では、患者さんの“いつもの様子”を知っている皆さんの『何か変だ』という直感が、重症化を防ぐ最大の武器です。機械がなくても、五感をフルに使って観察し、得た情報を根拠に医師へつなぐことが、看護師にしかできない在宅医療の要です。自分の判断で治療しようとせず、必ず“つなぐ”ことを忘れずにね!」

重要概念

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。