在宅で終末期を過ごす70歳の男性肺癌患者。現在、モルヒネ持続皮下注を行っているが、疼痛の訴えが増加してきた。訪問看護師が… | MyMerci
在宅療養者の状態・状況にあわせた看護
問題

在宅で終末期を過ごす70歳の男性肺癌患者。現在、モルヒネ持続皮下注を行っているが、疼痛の訴えが増加してきた。訪問看護師が最初に確認すべき項目はどれか。

解説
在宅での疼痛管理において、モルヒネの増量が必要な状況では、まず注入ポンプのトラブルや薬液の漏れ、残量不足などの機器・投与経路の問題を確認することが最優先である。これらを除外した上で、医師に疼痛増強の報告と指示を仰ぐ。

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅看護論における終末期疼痛管理 (Terminal Pain Management)医療機器安全管理 (Medical Device Safety)の優先順位を問うています。在宅疼痛緩和 (Home-based Pain Palliation)では、症状の変化に対してまず「機器・投与経路のトラブル」を除外することが基本原則です。なぜなら、これらが原因であれば、看護師の判断で即座に対処でき、不必要なオピオイド増量を防げるからです。 核心概念の分析 (Key Concept) モルヒネ持続皮下注 (Continuous Subcutaneous Morphine Infusion)は、在宅終末期がん疼痛管理の標準的な方法です。疼痛増強時、真っ先に確認すべきは「薬液が指示通り投与されているか」という物理的要因です。注入ポンプの動作不良、輸液ラインの閉塞・折れ曲がり、刺入部からの薬液漏れ、残量不足などが頻繁に発生しうるからです。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! ①番の モルヒネの残量と注入ポンプの作動状況 確認が最優先です。在宅では医療従事者が常時側にいるわけではないため、機器トラブルが疼痛コントロール不良の最大の要因となりえます。看護過程 (Nursing Process) のアセスメント段階として、まず客観的な機器・投与経路の評価を行い、問題があれば対処します。これらに異常がなければ、次に患者の病状進行を疑い、疼痛の性状・部位・強度を詳細に評価し、医師へ報告・指示を仰ぐ流れが正しい優先順位です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)患者の食事摂取量の変化:疼痛評価の間接的指標にはなりますが、緊急性・優先度は低いです。終末期には食欲不振 (Anorexia) が自然に進行するため、疼痛増強の直接的原因とは限りません。 ③ 家族の介護負担感の程度:重要なアセスメント項目ですが、疼痛という身体的苦痛への直接対応が看護師の第一義的役割です。患者の症状緩和が家族の負担軽減にも繋がります。 ④ 患者の睡眠時間の変化:疼痛による二次的な影響を評価する項目であり、原因検索としては後回しになります。 ⑤ 訪問診療医への連絡の必要性:連絡自体は必要ですが、その前に「看護師として確認し報告すべき情報」を収集しなければ、適切な指示を仰げません。まずは機器・経路の確認が先です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 混同注意! 「医師への報告」と「看護師の臨床判断」の優先順位です。看護師はまず「自分でできる評価と対応」を実施し、その上で医師の指示が必要か判断します。在宅疼痛管理の原則は、原因検索 → 対処可能なものは対処 → 必要時報告 です。 概念整理
確認段階確認項目目的
第1段階(最優先)注入ポンプ作動状況、ルート閉塞、刺入部漏れ、残量物理的・機械的原因の除外と即時対応
第2段階疼痛の性状・強度・部位・増悪因子の詳細評価病状進行や耐性形成のアセスメント
第3段階医師への報告と指示受け(レスキュー対応含む)オピオイド増量・ローテーションの判断
第4段階家族の介護負担、患者・家族の心理的ケア全人的苦痛 (Total Pain) の緩和
一目で比較!
項目機器トラブルによる疼痛病状進行による疼痛増強
特徴突然の疼痛出現・増強、注入痕の腫脹や湿潤緩徐または段階的な増強、耐性形成による効果減弱
看護対応機器・ルート確認、刺入部交換、看護師の判断で対応可疼痛評価後、医師へ報告しオピオイド増量・変更指示を受ける
看護過程ポイント アセスメント (Assessment): まず機器・ラインを視診・触診し、アラームの有無を確認。次に患者の疼痛スケール(NRS/VAS)を用いた主観的評価と、バイタルサインや表情などの客観的評価を統合します。 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「不適切な投与計画に関連した慢性疼痛」「疼痛の悪化に関連した安楽の障害」などが考えられます。 計画 (Planning): 機器トラブルなら即時対応。病状進行なら、医師と連携しオピオイドの適正使用を計画します。 実施 (Implementation): ルート確保のし直し、レスキュー薬の投与(指示範囲内)、医師へのSBAR報告、家族への状況説明と心理的サポート。 評価 (Evaluation): 介入後に疼痛が緩和されたか、患者・家族の表情が穏やかになったかを再評価します。 暗記のコツ 「在宅疼痛増えたら、まずはポンプとルート、漏れなし残あり確認!」と覚えましょう。頭文字をとって「ポ・ル・モ・ザ(ポンプ・ルート・漏れ・残量)確認」とリズムで記憶するのも効果的です。 国試頻出ポイント 在宅看護論の疼痛管理、特に医療機器(PCAポンプ・シリンジポンプ)の安全管理は出題頻度が高いです。状況設定問題で「疼痛増強→最初の対応は?」と問われたら、機器・ルート確認が優先されることを確実に押さえてください。 出題パターン注意! 単純な知識問題だけでなく、「訪問看護師が患者宅に到着すると、家族から『昨晩から痛みが強くなり、モルヒネが効いていないようだ』と訴えがあった。まず行うべき対応は?」という事例問題で頻出します。選択肢には「医師にすぐ電話する」が含まれ、それに惑わされないようにしてください。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 「訪問看護師が肺癌終末期のAさん(70歳男性)の自宅を訪問。妻から『昨晩から痛みが強く、時々うめき声をあげている。ポンプがピーピー鳴っていたが、今は止まっている』と報告を受けた。モルヒネの残量は指示範囲内だが、刺入部周囲の皮膚が少し湿っているように見える。さて、あなたはどうする?」 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察 (Observation): まずポンプのアラーム履歴を確認し、ルートの閉塞・折れ曲がり、接続部の緩みをチェック。刺入部の湿潤は薬液漏れの可能性を示唆します。 2. アセスメント (Assessment): 機器が正常作動しているか、指示流量で投与されているか評価。刺入部の漏れがあれば、皮下組織に薬液が貯留し疼痛緩和が得られていないと判断します。 3. 対応 (Intervention): 漏れがあれば刺入部を交換し、ルートを再接続。患者に現在の疼痛をNRSで評価し、バイタルサインを測定。必要に応じて、あらかじめ指示されているレスキュー薬の使用も検討します。 4. 報告 (Report): SBAR形式で医師に「S: 疼痛増強、O: 刺入部漏れ疑いと残量○ml、A: 薬液漏れによる疼痛コントロール不良の疑い、R: 刺入部交換済み、疼痛評価と今後の指示確認」と報告します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) 最重要! 刺入部交換の際は、清潔操作を厳守し感染を予防します。漏れたモルヒネは皮膚刺激の原因となるため、清拭し保護します。在宅では、家族がアラームに気づいても対処法がわからず不安になるため、事前の指導と緊急連絡先の確認が重要です。 看護プロトコル 観察項目: 注入ポンプの作動状態・アラーム、薬液残量、ルートの閉塞・漏れ、刺入部の皮膚状態、疼痛スケール、バイタルサイン、副作用(悪心・便秘・眠気)の有無。 報告基準(SBAR): Situation(疼痛増強の状況)、Background(原疾患・投薬内容)、Assessment(機器異常か病状進行かのアセスメント結果)、Recommendation(レスキュー薬使用の可否や訪問診療の要請)。 記録のポイント: ポンプ流量・残量、確認した内容、実施した処置、その後の疼痛評価、医師への報告内容と指示をSOAP形式で明確に記録します。 家族への説明: 「ポンプのアラームは故障を知らせる大切なサインです。慌てずに、まず訪問看護師か緊急連絡先にお電話ください」と伝え、心理的不安を軽減します。 先輩看護師の一言 「在宅では、あなたが“動く看護ステーション”です!機器トラブルは現場で最もよく遭遇する問題の一つ。『痛い』の声の裏に、実は機械の小さなエラーが隠れていることも。まずは自分の目と手で確かめる姿勢が、患者さんの安楽な時間を守ることに直結します。国試対策でも、この『まず看護師が確認すべきこと』の優先順位を常に意識してくださいね。」

重要概念

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