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周産期の異常と看護
臍帯脱出が発生した際の看護師の初期対応として正しいのはどれか。
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1
母体に腹圧をかけるよう指示する
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2
臍帯を消毒し、乾燥を防ぐためにガーゼで覆う
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3
母体の骨盤を挙上し、臍帯の圧迫を避ける
✓ 正解
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4
臍帯を子宮内に用手還納する
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5
胎児心拍数が正常であることを確認し経過観察する
解説
臍帯脱出は緊急事態であり、臍帯が圧迫され胎児への血流が途絶えると胎児機能不全に陥る。初期対応として、母体の骨盤を挙上(トレンデレンブルグ体位または膝胸位)し、重力によって児頭を移動させ臍帯への圧迫を軽減する。臍帯の用手還納は臍帯血管の攣縮を引き起こす可能性があるため禁忌である。経過観察や腹圧指示は不適切で、直ちに医師へ連絡し緊急帝王切開の準備を行う。
同じテーマの次の問題分娩第1期の遷延(遷延分娩)の定義として正しいのはどれか。この問題が収録された問題集母性看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、分娩時の緊急事態の一つである臍帯脱出 (Umbilical Cord Prolapse)発生時の、看護師がとるべき初期対応の優先順位を問うています。臍帯脱出は、破水後に臍帯が児の先進部より先に腟内や体外に脱出する状態であり、児頭と産道の間に臍帯が圧迫されることで胎児への血流が途絶え、高度な胎児機能不全 (Fetal Distress / Non-Reassuring Fetal Status, NRFS)を引き起こす可能性があります。このため、診断されたら即座に医師へ報告し、緊急帝王切開 (Emergency Cesarean Section) の準備と並行して、臍帯の圧迫を最小限にするための体位変換が最優先の看護介入となります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept): 臍帯脱出の病態は、臍帯が児頭より低い位置にあるため、子宮収縮や児の下降に伴い臍帯が圧迫され、胎児への酸素供給が絶たれることです。この圧迫を軽減するためには、重力を利用して児頭を骨盤入口から遠ざけることが最も重要です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale): ③「母体の骨盤を挙上し、臍帯の圧迫を避ける」が正解です。これは、トレンデレンブルグ体位 (Trendelenburg Position / 骨盤高位) や膝胸位 (Knee-Chest Position) をとることで、児頭を移動させ、臍帯への直接的な圧迫を解除します。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①: 母体に腹圧をかけさせると、児頭がさらに下降し臍帯の圧迫が増強されるため禁忌です。
- ②: 臍帯の消毒や乾燥防止は二次的なケアであり、初期対応ではありません。また、臍帯の乾燥を防ぐために生理食塩水で湿らせたガーゼで覆うことはありますが、消毒が優先されるわけではありません。
- ④: 混同注意!臍帯の用手還納 (Manual Replacation of the Cord) は、臍帯血管の攣縮 (Vascular Spasm) や感染を誘発する危険があるため、原則として禁忌です。
- ⑤: 経過観察は不適切です。胎児心拍数が一見正常でも、体位変換や子宮収縮のタイミングで急変する可能性が高いため、緊急処置が必要です。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 臍帯脱出のリスク因子には、骨盤位 (Breech Presentation)、横位 (Transverse Lie)、過小児 (Premature Infant)、羊水過多症 (Polyhydramnios)、経産婦などがあります。また、臍帯脱出と類似した緊急事態に混同注意!臍帯巻絡 (Nuchal Cord) がありますが、こちらは分娩第2期に児娩出時に臍帯を頸部からはずす対応がとられます。
概念整理: 臍帯脱出の対応優先順位
1. 臍帯圧迫の解除(母体の骨盤挙上・膝胸位)
2. 医師への緊急連絡
3. 緊急帝王切開の準備(母体・新生児蘇生の準備)
4. 臍帯の保護(腟内に留置・湿潤ガーゼで被覆)
一目で比較!: | 病態 | 臍帯脱出 (Prolapse) | 臍帯巻絡 (Nuchal Cord) |
|---|
| 発生時期 | 主に分娩第1期・第2期初期 | 主に分娩第2期(娩出時) |
| 病態 | 臍帯が児頭より先に出る | 臍帯が胎児の頸部に巻き付く |
| 対応 | 緊急帝王切開 | 児娩出時に臍帯を頸部からはずす |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 破水後の内診時や腟内に臍帯を触知・視認したら即座にアセスメント。胎児心拍数モニターで遅発性一過性徐脈 (Late Deceleration) や変動一過性徐脈 (Variable Deceleration) を確認。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「胎児への酸素供給減少に関連する胎児損傷のリスク状態 (Risk for Fetal Injury)」
- 計画・実施: 膝胸位または骨盤高位の保持。医師へのSBAR報告(S: 臍帯脱出確認、B: 分娩経過、A: 現在の胎児心拍数、R: 緊急帝王切開準備が必要)。
- 評価: 胎児心拍数の改善・悪化の有無、母体のバイタルサイン。
暗記のコツ: 「臍帯脱出=『臍帯が逃げ出した』→ 急いで捕まえようとせず、圧迫から逃がしてあげる(骨盤を挙上する)」と覚えましょう。「還納(戻す)」は血管攣縮を起こすので絶対にやらないこと。
国試頻出ポイント: 臍帯脱出のリスク因子と初期対応(特に禁忌行為と優先順位)は、母性看護学の頻出テーマです。状況設定問題(事例問題)では、「破水後の内診で臍帯を触知した」という状況から、看護師の最初の行動を問う形で出題されることが多いです。
出題パターン注意!: 「破水後、胎児心拍数モニターで変動一過性徐脈が出現。内診したところ臍帯を触知した。看護師の最初の対応は?」という流れで、選択肢に「経過観察」「酸素投与」「体位変換」「用手還納」が並ぶ問題が典型的です。
臨床実践ガイド- 1臨床シナリオ (Clinical Scenario)「経産婦の35歳女性。陣痛開始後、自然破水。助産師が内診したところ、腟内に拍動する索状物を触知し、臍帯脱出と診断。胎児心拍数モニターは80bpmの遷延性徐脈 (Prolonged Deceleration) を示している。あなたは看護師としてどう動くべきでしょうか?」
- 2看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)最重要!まず母体に状況を説明し「赤ちゃんを守るために、このままの姿勢(膝胸位/骨盤高位)で動かないでください」と伝えます。同時に医師を緊急コールし、蘇生バッグ、吸引、新生児用の蘇生設備を準備。母体には酸素投与(10L/分、リザーバーマスク)を行い、臍帯が体外に出ている場合は、清潔なガーゼで優しく包み、腟内に押し戻さないように注意します。
- 3患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)絶対禁忌!臍帯を乾燥させないように、乾いたガーゼではなく、必ず生食で湿らせたガーゼで覆います。臍帯の用手還納は血管攣縮と胎児心拍数低下を引き起こすため絶対に行いません。母体の膀胱が充満している場合は、臍帯圧迫を軽減するために導尿を検討します。
看護プロトコル: SBAR報告例: S (Situation)「臍帯脱出を確認しました」B (Background)「経産婦、自然破水直後」A (Assessment)「胎児心拍数80bpmの遷延性徐脈」R (Recommendation)「緊急帝王切開の準備と医師の至急対応が必要です」
先輩看護師の一言: 「臍帯脱出は、一分一秒を争う本当の緊急事態です。頭が真っ白になりそうな時こそ、まずは母体の骨盤を挙上することを思い出してください。この一つの行動が、赤ちゃんの命を救う確率を大きく変えます。国試でも『最初に何をするか』を必ず押さえてくださいね!」
- 臍帯脱出 (Umbilical Cord Prolapse) — 破水後に臍帯が児の先進部より先に腟内や体外に脱出した状態。胎児への血流が途絶えるため、緊急帝王切開が必要となる。
- 膝胸位 (Knee-Chest Position) — 母体が四つん這いになり、胸部をベッドにつける体位。重力により児頭が移動し、臍帯への圧迫を軽減する。
- 胎児機能不全 (Non-Reassuring Fetal Status, NRFS) — 胎児が分娩に耐えられず、低酸素状態にあることを示す。臍帯脱出では胎児心拍数の遷延性徐脈や遅発性一過性徐脈がみられる。
- 用手還納 (Manual Replacation of the Cord) — 脱出した臍帯を用手で子宮内に戻す行為。臍帯血管の攣縮を誘発するため禁忌。
- トレンデレンブルグ体位 (Trendelenburg Position) — 頭部を低く、骨盤を高くした体位。臍帯脱出時には骨盤高位とすることで児頭を移動させ臍帯圧迫を軽減する。
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