核心解説
この問題は、
分娩第2期 (Second Stage of Labor) の遷延診断基準を問うものです。分娩第2期は、子宮口全開大(10cm)から胎児娩出までの期間を指し、この時期が異常に長引く状態を
分娩第2期遷延 (Prolonged Second Stage of Labor) と呼びます。診断基準は、経腟分娩の進行を適切に評価し、母体・胎児のリスクを管理するために重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 分娩第2期遷延の定義は、
初産婦 (Nullipara) では娩出までに3時間以上、
経産婦 (Multipara) では2時間以上を要する場合とされています。したがって、選択肢1「初産婦で娩出までに3時間以上要する場合」が正解です。この基準は、硬膜外麻酔 (Epidural Anesthesia) を使用していない場合の標準的な定義であり、使用時はさらに1時間延長(初産婦4時間、経産婦3時間)して評価することが一般的です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番が正解です。②番「初産婦で1時間以上」は短すぎます。正常な第2期の平均時間は初産婦で約1~2時間であり、1時間では遷延とは判断しません。③番「経産婦で1時間以上」も短すぎ、正常範囲内です。④番「経産婦で2時間以上」は正しい定義ですが、問題は「初産婦」について問うているため、選択肢1が優先されます(設問が初産婦か経産婦か特定していない場合、一般的な定義として両方を押さえておく必要がありますが、本問の正解は①です)。⑤番「初産婦で2時間以上」も不十分で、正しい3時間との差が重要です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
分娩第1期 (First Stage of Labor) の遷延(潜伏期・活動期)や、
分娩停止 (Arrest of Labor)(子宮口開大や胎児下降が一定時間進行しない状態)との鑑別も重要です。また、分娩第2期遷延のリスク因子(高位分娩、児頭骨盤不均衡 (CPD)、子宮収縮不全、硬膜外麻酔使用)や合併症(母体疲労、産道損傷、胎児機能不全 (Fetal Distress))も併せて理解しましょう。
概念整理:
分娩第2期遷延の定義(硬膜外麻酔なし)
| 対象 | 定義時間 |
|---|
| 初産婦 (Nullipara) | 3時間以上 |
| 経産婦 (Multipara) | 2時間以上 |
一目で比較!:
分娩進行異常の分類
| 病態 | 定義(初産婦) | 定義(経産婦) |
|---|
| 分娩第1期遷延(潜伏期) | 20時間以上 | 14時間以上 |
| 分娩第1期遷延(活動期) | 子宮口開大が1cm/時間未満 | 子宮口開大が1.2cm/時間未満 |
| 分娩第2期遷延 | 3時間以上(麻酔時4時間以上) | 2時間以上(麻酔時3時間以上) |
看護過程ポイント:
アセスメント: 分娩経過曲線(パルトグラム, Partogram)を用いた経時的な子宮口開大度・胎児下降度の評価。子宮収縮の頻度・強度・持続時間の確認。母体の疲労度・バイタルサイン・排尿状態。胎児心拍数モニタリング(CTG)による胎児機能不全の早期発見。
看護診断: 「分娩進行遅延」、「母体疲労」、「胎児危険状態のリスク」、「非効果的なコーピング(疼痛/不安関連)」。
介入: 医師への報告、輸液・酸素投与の準備、体位変換促進(側臥位、手膝位)、排尿促進行為(導尿)、分娩介助の準備。
評価: 子宮口開大・胎児下降の進行状況、胎児心拍の安定化、母体のバイタルサイン安定。
暗記のコツ: 「初産婦の第2期は3時間(さんじかん)、経産婦は2時間(にじかん)」と語呂合わせで覚えましょう。「初めては3、2回目は2」。さらに硬膜外麻酔ありなら「初めては4、2回目は3」と1時間ずつ延長。
国試頻出ポイント: 分娩第2期遷延の定義は、看護師国家試験で「母性看護学」の頻出項目です。特に「初産婦3時間、経産婦2時間」の数値は確実に暗記しましょう。併せて、分娩第1期遷延の定義や、硬膜外麻酔使用時の基準変更、胎児機能不全の評価方法(CTG波形分類)も問われやすいです。
出題パターン注意!: 単純な定義を問う形式だけでなく、事例問題で「経産婦、分娩第2期に入って2時間経過。胎児心拍に基線細変動減少、変動一過性徐脈が出現。看護師の対応として適切なのは?」のように、遷延の診断とその後の対応(医師報告、吸引分娩・鉗子分娩の準備、緊急帝王切開の準備)を組み合わせた出題が増えています。