核心解説
この問題は、分娩第1期または第2期における
微弱陣痛 (Uterine Inertia / Hypotonic Labor) の看護ケアを問うています。
微弱陣痛とは、子宮収縮の強さ・頻度・持続時間が不十分で、子宮口開大や児頭下降が正常に進行しない状態です。経産婦であっても、この状態が続けば分娩遷延や母体疲労、胎児機能不全のリスクが高まります。看護の基本は、医師の指示のもと
オキシトシン (Oxytocin) 点滴による陣痛促進を行うことです。ただし、
最重要! 開始前には
胎児心拍数モニタリング で胎児の状態が良好であることを必ず確認し、過強陣痛 (Tetanic Contraction) や胎児機能不全の徴候に注意しながら投与します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
⑤番が正解です。微弱陣痛に対する第一選択の治療は、医師の指示による
オキシトシン投与 (Oxytocin Administration) です。オキシトシンは子宮平滑筋に直接作用し、収縮の頻度と強度を高めます。看護師は投与前に医師の指示を確認し、投与中はバイタルサインと陣痛発来・胎児心拍数を継続的にモニタリングする必要があります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の安静指示は、微弱陣痛では陣痛をさらに弱め、分娩進行を遅延させるため不適切です。切迫早産など子宮収縮を抑制したい場合に用います。
②番の水分・栄養制限は、分娩は長時間に及ぶ持久運動です。母体のエネルギーと水分補給は不可欠であり、制限は母体疲労と脱水を招き、陣痛をさらに弱めます。
③番の胎児状態の未確認での誘発開始は、
禁忌行為です。胎児機能不全が存在する状態でオキシトシンを使用すると、胎児の状態をさらに悪化させる可能性が高いため、
胎児心拍数モニタリングは必須です。
④番の鎮静剤投与は、中枢神経を抑制し子宮収縮を弱めるため、微弱陣痛では禁忌です。母体の疲労に対しては、体位変換やリラクゼーション法、家族の付き添いなど非薬物的なケアが優先されます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
微弱陣痛と鑑別すべきは
過強陣痛 (Hypertonic Labor) です。過強陣痛は収縮が強すぎる状態で、両者は全く逆の病態です。また、分娩遷延の原因には
児頭骨盤不均衡 (Cephalopelvic Disproportion, CPD) や
胎位異常 など器質的要因がないかも評価する必要があります。
概念整理: 微弱陣痛は子宮収縮の「質と量」の不足。治療の柱はオキシトシン投与と母体の身体的・精神的サポート。過強陣痛との混同が最大の盲点。
一目で比較!:
| 項目 | 微弱陣痛 (Uterine Inertia) | 過強陣痛 (Hypertonic Labor) |
|---|
| 子宮収縮 | 弱い・頻度少ない・持続短い | 強い・頻回・持続長い(過強) |
| 陣痛間欠期の子宮弛緩 | 良好 | 不良(常に硬い) |
| 母体の症状 | 分娩進行遅延、疲労 | 激痛、子宮破裂リスク |
| 胎児への影響 | 遷延による低酸素リスク | 胎盤血流低下による高度徐脈 |
| 看護介入 | オキシトシン投与、体位変換 | 子宮収縮抑制剤、酸素投与、側臥位 |
看護過程ポイント: 【アセスメント】陣痛の頻度・持続時間・強度(触診・内診)と胎児心拍数パターンの同時評価。【看護診断】「陣痛パターンの変化」「疲労」「不安」。【計画・実施】オキシトシン投与中の陣痛モニタリングと母体のバイタルサイン・疼痛管理。【評価】子宮口開大速度と児頭下降度の進行状況。
暗記のコツ: 「微(弱)=オキシトシン」「強(過強)=抑制剤」と覚える。陣痛促進剤(オキシトシン)は「促進」、陣痛抑制剤(リトドリンなど)は「抑制」と機能で関連付ける。
国試頻出ポイント: 微弱陣痛と過強陣痛の鑑別、オキシトシン投与時の観察項目(陣痛・胎児心拍数のモニタリング必須)、および禁忌行為(胎児状態未確認での投与、鎮静剤投与)が頻出。
出題パターン注意!: 事例問題で「分娩遷延の経産婦に医師がオキシトシンを指示。看護師の優先行動は?」→「胎児心拍数を確認する」が正解になるパターンが非常に多い。知識問題(本問)→状況設定問題への発展が頻繁にある。