核心解説
この問題は、
臍帯脱出 (Umbilical Cord Prolapse) のリスク因子を正しく理解しているかを問うています。臍帯脱出は、破水後に臍帯が児の先進部よりも先に腟内に脱出する緊急事態で、臍帯圧迫による胎児仮死を引き起こす可能性があります。そのため、リスク因子を正確に把握し、予防と早期発見に努めることが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は
③ 過期産 (Post-term Pregnancy) です。過期産は、胎盤機能不全や羊水過少をきたしやすいですが、臍帯脱出の直接的なリスク因子とはなりません。むしろ、児頭が大きくなることで骨盤との不均衡を生じやすく、分娩進行に影響を与えることはあっても、臍帯脱出の発生頻度を高める因子ではないとされています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 横位 (Transverse Lie):
混同注意! 胎位異常では、児の先進部が骨盤入口部に緊密に接しないため、臍帯が脱出しやすくなります。横位は臍帯脱出の代表的なリスク因子です。
② 羊水過多 (Polyhydramnios): 羊水量が多いと、破水時に大量の羊水が急速に流出し、その勢いで臍帯が腟内に押し出されるリスクが高まります。
④ 低出生体重児 (Low Birth Weight Infant): 児が小さいと、先進部と骨盤との間に空間が生じやすく、臍帯が脱出しやすくなります。
⑤ 骨盤位 (Breech Presentation): 骨盤位も胎位異常の一つであり、児の臀部や足が先進部となるため、骨盤入口部との密着性が悪く、臍帯脱出のリスクが高まります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
臍帯脱出のその他のリスク因子として、
多胎妊娠 (Multiple Pregnancy)、
早産 (Preterm Labor)、
低位胎盤 (Low-lying Placenta)、
臍帯付着異常 (Abnormal Cord Insertion) なども挙げられます。また、人工破膜 (Artificial Rupture of Membranes) の際にも発生リスクが高まるため、手技後は必ず胎児心拍数の確認が必要です。
概念整理: 臍帯脱出のリスク因子は「胎児と骨盤の間に隙間ができる」という病態で捉える。胎位異常(骨盤位・横位)、児が小さい(低出生体重児・早産)、羊水が多い(羊水過多・多胎)、破水の勢いが強い(人工破膜)がキーワード。過期産はこれらに該当しない。
一目で比較!:
| リスク因子 | 病態メカニズム | 頻出度 |
| 骨盤位・横位 | 先進部の密着不良 | 高 |
| 低出生体重児 | 児が小さい | 高 |
| 羊水過多 | 破水時の羊水流出が強い | 中 |
| 過期産 | リスク因子ではない | - |
看護過程ポイント:
アセスメント:リスク因子を持つ妊婦の破水後は、胎児心拍数モニタリングと内診時の臍帯触知に注意する。**看護診断**:「胎児交換能低下リスク (Risk for Impaired Fetal Gas Exchange)」。**計画**:臍帯脱出時は、ただちに骨盤高位または膝胸位をとらせ、臍帯の拍動を確認しながら医師に報告する。
暗記のコツ: 「臍帯が脱出しやすい = 児の頭と骨盤の間にスキマがある」とイメージ。過期産は逆に児頭が大きく、スキマができにくいと覚えましょう。
国試頻出ポイント: リスク因子の組合せ問題、または「臍帯脱出が疑われる時の看護師の初期対応(骨盤高位・膝胸位、臍帯の還納禁止など)」とセットで出題されることが多いです。
出題パターン注意!: 「リスク因子を選べ」という問題の他に、「このリスク因子を持つ妊婦の破水時、看護師が優先的に観察すべきことは?」といった状況設定問題に発展します。単純暗記ではなく、病態と看護介入を結びつけて理解しましょう。