分娩第3期(胎盤娩出期)の管理において、積極的胎盤娩出法(active management of the third … | MyMerci
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周産期の異常と看護
問題

分娩第3期(胎盤娩出期)の管理において、積極的胎盤娩出法(active management of the third stage of labor)の内容に含まれないのはどれか。

解説
積極的胎盤娩出法(AMTSL)は、分娩第3期における産後出血を予防するための標準的管理法である。内容は、①子宮収縮薬(オキシトシンなど)の投与、②臍帯牽引(コントロールド・コード・トラクション)、③子宮底マッサージ、④胎盤の完全性確認である。臍帯の早期切断は含まれず、臍帯拍動が停止してから切断することが推奨される。
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詳細解説

核心解説 この問題は、分娩第3期(胎盤娩出期)の管理、特に積極的胎盤娩出法(Active Management of the Third Stage of Labor: AMTSL)の構成要素を問うています。AMTSLは、産後出血(Postpartum Hemorrhage: PPH)を予防するための標準的な介入パッケージです。このパッケージの内容を正確に理解し、「含まれないもの」を特定する必要があります。産後出血は妊産婦死亡の主要原因の一つであり、その予防は母性看護学における最重要課題です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 積極的胎盤娩出法(AMTSL)の標準的な4つの構成要素は以下の通りです。 1. 子宮収縮薬の投与(例:オキシトシン(Oxytocin)) 2. 臍帯牽引(Controlled Cord Traction) 3. 子宮底マッサージ(Uterine Massage)(胎盤娩出後) 4. 胎盤の完全性確認(胎盤・卵膜の遺残確認) 上記のうち、臍帯の早期切断(Early Cord Clamping)はAMTSLの構成要素に含まれません。現在のガイドラインでは、出生後少なくとも1分間、または臍帯拍動が停止するまで待ってから臍帯を切断する遅延臍帯切断(Delayed Cord Clamping: DCC)が推奨されています。DCCにより、新生児への鉄分供給が増加し、貧血予防に寄与します。したがって、AMTSLの一環として臍帯を早期に切断することはなく、むしろ臍帯牽引の手技自体が臍帯の状態を確認しながら行われるため、切断タイミングは別個に考慮されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - ①番(臍帯牽引): 混同注意! AMTSLの中核的要素の一つです。子宮収縮薬投与後、子宮が収縮したのを確認してから、一方の手で子宮底を固定し、他方の手で臍帯を優しく牽引して胎盤を娩出します。これを「含まない」と誤認しないように注意しましょう。 - ③番(胎盤の完全性確認): AMTSLの最終段階として必須の手順です。娩出された胎盤の母体面を確認し、小葉や卵膜の欠損がないかをチェックします。遺残胎盤(Retained Placenta)は産後出血や子宮内感染の原因となります。 - ④番(子宮底マッサージ): 胎盤が完全に娩出された後、子宮底を硬く触知するまでマッサージを行い、子宮収縮を促進し弛緩出血(Uterine Atony)を予防します。AMTSLの最終段階です。 - ⑤番(子宮収縮薬の投与): 最重要! AMTSLの最初のステップであり、最も重要な予防策です。胎児の前肩娩出後または直ちにオキシトシンを投与し、子宮を収縮させ胎盤剥離を促進します。 関連概念の整理 (Related Concepts) - 生理的胎盤娩出法(Expectant/Physiological Management): AMTSLと対比される方法で、子宮収縮薬投与や臍帯牽引を行わず、自然な子宮収縮と胎盤剥離・娩出を待つ方法です。合併症リスクの低い経産婦などに選択されることがありますが、AMTSLに比べて産後出血リスクが高いため、現在はAMTSLが標準です。 - 産後出血(PPH)のリスク因子: 弛緩子宮、産道裂傷、胎盤遺残、凝血異常(DIC)など。AMTSLは弛緩出血予防に特に効果的です。 概念整理 積極的胎盤娩出法(AMTSL)は、産後出血予防のための4つの柱からなる標準ケアです。
ステップ内容目的
1子宮収縮薬の投与子宮収縮促進、胎盤剥離促進
2臍帯牽引(Controlled Cord Traction)胎盤の安全な娩出
3子宮底マッサージ子宮収縮維持、弛緩出血予防
4胎盤完全性確認胎盤遺残の有無確認
一目で比較!
項目積極的胎盤娩出法(AMTSL)生理的胎盤娩出法
子宮収縮薬必須(第一選択)使用しない
臍帯牽引行う行わない
臍帯切断タイミング遅延(DCC推奨)遅延(DCC推奨)
産後出血リスク低い(標準)高い
看護過程ポイント - アセスメント: 分娩経過、子宮収縮状態、出血量、バイタルサイン(血圧・脈拍)、胎盤娩出の兆候(臍帯延長、子宮底の形状変化)。リスク因子(巨大児、遷延分娩、多胎など)を事前に評価。 - 看護診断: 「出血リスク状態(Risk for Bleeding)」関連因子:分娩第3期、弛緩子宮、胎盤遺残の可能性。 - 計画・実施: AMTSLの各ステップをタイミングよく正確に実施。特にオキシトシン投与は指示を確認し、投与後は子宮収縮状態を頻回に観察。臍帯牽引は急激に行わず、子宮底固定と連動させる。 - 評価: 胎盤が完全に娩出されたか、子宮底は硬く触知できるか、出血量は正常範囲か(正常500mL未満)、バイタルサインは安定しているか。 暗記のコツ 「積極的胎盤娩出法(AMTSL)」の4要素は、「薬・引っ張り・揉み・確認」(薬剤投与・臍帯牽引・子宮底マッサージ・完全性確認)と覚えましょう。これに「臍帯の早期切断」は含まれない!とセットで暗記すると間違えません。 国試頻出ポイント - AMTSLの構成要素を「含まれる/含まれない」で問う形式は頻出。 - 臍帯切断のタイミング(早期 vs 遅延)とその根拠(新生児貧血予防)も合わせて出題されやすい。 - 産後出血の予防策としてAMTSLが標準であることを理解した上で、弛緩出血の看護介入(子宮底マッサージ、輸液、輸血準備)と関連付けて学習すると良い。 出題パターン注意! 単純な知識問題(選択肢からAMTSLに含まれないものを選ぶ)に加え、事例問題で「分娩第3期の経過中に出血が増加した。看護師の対応として適切なのはどれか」という形で、AMTSLの各ステップの実践的な優先順位や、異常時の対応(子宮収縮薬追加投与、バイタルサイン測定、医師報告のタイミング)が問われることがあります。事例では、まずバイタルサインと出血量をアセスメントし、子宮収縮状態を確認、医師へ報告するという流れを押さえましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 分娩第3期は、産後出血のハイリスク局面です。看護師は、タイムラインに沿った積極的介入と継続的な観察が求められます。 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 初産婦のAさん(28歳)。経腟分娩にて体重3200gの男児を娩出。児の全身状態良好。前肩娩出後、直ちにオキシトシン10単位を筋注(または点滴ラインより投与)。子宮底の硬さを確認し、臍帯拍動が停止したのを確認した後、臍帯クランプ切断。片手で子宮底を固定しながら、他方の手で臍帯を優しく牽引し、胎盤を娩出。娩出後、子宮底を硬く触知できるまでマッサージし、出血量を評価(パッドやリネンの重さで計測)。胎盤の母体面を確認し、小葉や卵膜の欠損がないことを確認しました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) - 観察: 子宮底の高さと硬さ、腟出血の性状と量(持続的か間欠的か、凝血塊の有無)、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)、膀胱の充満状態(膀胱充満は子宮収縮を阻害)、全身状態(顔色、口渇、冷感、意識レベル)。 - アセスメント: 子宮底が軟らかく(doughy)、多量の出血があれば弛緩出血(Uterine Atony)を強く疑う。出血量が500mLを超えた、またはバイタルサインが不安定な場合は産後出血(PPH)と判断。 - 報告(SBAR): 「S(状況): Aさん、分娩第3期経過中、胎盤娩出後に子宮底が軟らかく、赤色の出血が持続しています。推定出血量は〇〇mLです。A(背景): 初産、児体重3200g、オキシトシン投与済み。B(アセスメント): 弛緩出血の可能性が高いと考えます。R(提案): 子宮底マッサージの継続と、医師の診察、必要に応じて追加の子宮収縮薬投与を提案します。」 - 介入: 子宮底マッサージ(手掌で子宮底を把持し、硬くなるまで円を描くようにマッサージ)。導尿(膀胱充満があれば)。医師の指示に基づき、追加のオキシトシンやメチルエルゴメトリン(Methylergometrine)の投与、輸液(乳酸リンゲル液など)の開始。止血困難な場合は両手圧迫法(Bimanual Compression)やバルーンタンポナーデ(Bakri Balloon)の準備。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) - 最重要!弛緩出血は急速に進行するため、観察頻度は分娩後2時間は15分毎、その後6時間は30分毎が標準。 - 子宮底マッサージは強すぎないように注意(子宮内反症のリスク)。 - 臍帯牽引は子宮収縮を確認してから行う。収縮していない状態での牽引は臍帯断裂や子宮内反症のリスク。 - 胎盤遺残が疑われる場合は、用手剥離(Manual Removal)の準備と医師の到着を待つ。 - 感染対策:清潔野の維持、手洗いの徹底。 看護プロトコル - 観察項目: 出血量(パッド重量測定)、子宮底(位置・硬さ)、バイタルサイン(血圧・脈拍・体温)、子宮収縮痛(後陣痛)、膀胱充満度。 - 報告基準(SBAR): 出血量500mL超、子宮底軟、血圧低下(収縮期90mmHg未満)、頻脈(100bpm超)、凝血塊の持続的排出、バイタルサイン不安定。 - 記録: 分娩第3期の経過時間(胎児娩出~胎盤娩出)、子宮収縮薬の投与量と時間、臍帯切断のタイミング(DCC実施の有無)、胎盤の状態(重量・サイズ・完全性)、総出血量、バイタルサインの経時的変化、看護介入内容とその反応。 先輩看護師の一言 「分娩第3期は、『何もなければ終わる』ではなく、『いつ急変してもおかしくない』局面です!AMTSLの手順は、一つ一つの動作に意味があります。『なぜ子宮収縮薬を先に投与するのか』『なぜ臍帯拍動が止まるまで切らないのか』を考えながら実践すると、根拠を持ったケアができます。そして、異常を感じたらためらわずに先輩や医師を呼びましょう。産後出血は、『気づいた時には手遅れ』になり得るからこそ、予防と早期発見が看護師の腕の見せどころです!」

重要概念

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