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周産期にある人と家族の看護
問題

産褥1日目の褥婦の子宮底の触診で、子宮底が臍上2横指に触れ、軟らかく圧迫で出血量が増加した。この褥婦に最も優先すべき看護介入はどれか?

分娩経過: 経腟分娩、児体重3200g、分娩時出血量350mL、会陰切開あり。現在のバイタルサイン: 体温36.8℃、脈拍96回/分、血圧88/54mmHg。
解説
子宮底が軟らかく圧迫で出血増加するのは子宮弛緩による産後出血の徴候である。第一に子宮底輪状マッサージを実施し子宮収縮を促す。その後も出血が続く場合は医師連絡や輸液準備を行う。バイタルサイン測定はマッサージと同時に行う。
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詳細解説

核心解説 この問題は、産褥早期子宮弛緩 (Uterine Atony)による産後出血 (Postpartum Hemorrhage)に対する優先的な看護介入を問うています。子宮底が臍上に触れ、かつ軟らかい状態は、子宮筋が十分に収縮していないことを示す典型的な所見です。圧迫により出血量が増加するということは、子宮収縮が不良であるために子宮内の血管が開放されたままになっている病態を反映しています。最重要! 産後出血は産科的危機であり、迅速な対応が母体救命に直結します。この状況では、第一に物理的に子宮収縮を促す介入が必要です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 産褥子宮の回復過程では、分娩後、子宮底は臍高またはそのやや下方に触れ、硬く収縮していることが正常です。子宮底が軟らかく、触診で位置が高い(臍上)場合は、子宮弛緩 (Uterine Atony)が強く疑われます。子宮弛緩は産後出血の主要原因であり、出血性ショックへと進行する可能性があります。病態生理の理解として、子宮筋の収縮が胎盤剥離面の血管を圧迫・閉鎖するメカニズムを理解することが重要です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 子宮弛緩が疑われる場合、最優先の看護介入は子宮底輪状マッサージです。これは、子宮を収縮させて血管を圧迫し、出血を物理的にコントロールするための緊急処置です。マッサージは、子宮底を片手で支え、もう一方の手で子宮底を輪を描くように優しく、しかし確実にマッサージします。この介入により子宮が硬く収縮すれば、出血量は減少します。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - 混同注意! ①番のバイタルサイン再測定は、介入と並行して行うべき観察項目であり、優先される介入ではありません。血圧低下・脈拍増加はすでに出血性ショックの徴候を示しており、観察のみでは危機は解決しません。 - ③番の医師への緊急連絡は重要ですが、看護師が即座に開始できる唯一の介入である子宮底マッサージを実施しながら、または実施後に連絡するのが適切な手順です。 - ④番の輸液ルート確保は、医師の指示が必要な場合が多く、また看護師がまず行うべきは出血の原因を直接取り除くマッサージです。ただし、マッサージ後も出血が続く場合は、次の段階として輸液準備と医師連絡が必要です。 - ⑤番の腟内洗浄は、感染予防や悪露の観察のために行われますが、急性の産後出血に対する緊急処置ではありません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 産後出血の原因は、子宮弛緩の他に、4T(Tone: 緊張(弛緩)、Trauma: 外傷(裂傷)、Tissue: 遺残組織、Thrombin: 凝固異常)として整理されます。子宮底マッサージが無効な場合は、子宮収縮薬(オキシトシンなど)の投与、用手子宮底圧出、双合子宮圧迫などの次の介入を考慮する必要があります。バイタルサインは頻回に測定し、ショックの進行を評価します。 概念整理: 産褥子宮復古 (Involution of the Uterus) 正常:子宮底は臍高、硬い。異常:子宮底が高い(臍上)+軟らかい=子宮弛緩 (Uterine Atony)。介入の基本は子宮収縮促進。産後出血(PPH)は500mL以上(経腟分娩)を指すが、本例では出血量の増加を認めるため、早期対応が必要。 一目で比較!:
状態子宮底の高さ子宮の硬さ出血量優先介入
正常産褥臍高~臍下1横指硬い少量(悪露程度)経過観察
子宮弛緩臍上軟らかい増加・多量子宮底輪状マッサージ
看護過程ポイント: アセスメント: 子宮底の高さ、硬さ、出血量(パッド交換頻度)、バイタルサイン(特に血圧・脈拍・呼吸数)、意識レベル、顔色・皮膚の冷感。 看護診断: 「出血リスク状態」「子宮復古遅延リスク状態」「体液量減少リスク状態」。 計画: 子宮収縮促進と出血の早期発見。 実施: 子宮底輪状マッサージ、バイタルサイン頻回測定、出血量の定量的評価(パッド重量測定など)。 評価: 子宮が硬く収縮したか、出血量が減少したか、バイタルサインが安定化したか。 暗記のコツ: 「産後の子宮は『硬く』『臍高』が正常。『軟らかく』『臍上』は弛緩のサイン。まずはマッサージ!」と覚えましょう。また、産後出血の原因4T(Tone, Trauma, Tissue, Thrombin)は「トーン(子宮の緊張)が第一」と覚えると優先順位が分かります。 国試頻出ポイント: 産褥期の異常に関する問題は毎年出題されます。特に、子宮復古の観察方法(触診の位置・硬さ)と異常時の対応(子宮底輪状マッサージ)は必須です。事例問題では、バイタルサインや出血量とともに、看護師が最初に行うべき処置を問われます。 出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「産褥1日目の褥婦のバイタルサインが...」といった状況設定問題へ発展します。この問題では、子宮弛緩に対する介入の優先順位を理解しているかが問われています。応用問題では、子宮底マッサージ後も出血が続く場合の次の一手(医師連絡、輸液、子宮収縮薬投与)を問う形式も考えられます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは産科病棟の新人看護師です。産褥1日目のAさん(30歳、初産)の午後のラウンドで、悪露の状態を確認するためにパッド交換を促しました。Aさんが「何かお腹が張って気持ち悪いです」と訴え、パッドを見ると血液で満たされていました。子宮底を触診すると、臍上2横指に触れ、軟らかく、圧迫するとさらに出血量が増えました。バイタルサインは血圧88/54mmHg、脈拍96回/分。この時、あなたはどうしますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察: 子宮底の位置・硬さ、出血量の増加、バイタルサイン(ショックの兆候)を確認。 2. アセスメント: 子宮弛緩による産後出血と判断。出血性ショックへの移行リスクを認識。 3. 報告: 子宮底マッサージを実施しながら(または直後)、他の看護師に応援を依頼し、医師への連絡を準備。SBAR(Situation: 産褥1日目、子宮弛緩、出血増加、血圧低下。Background: 経腟分娩、出血量350mL。Assessment: 子宮弛緩によるPPH疑い。Recommendation: 直ちに診察と処方オーダーが必要)で報告。 4. 介入: 最優先で子宮底輪状マッサージを開始。その後、指示があれば輸液ルート確保、酸素投与、子宮収縮薬(オキシトシン)投与を準備。 5. 評価: マッサージ後、子宮が硬くなり出血が減少したか確認。バイタルサインを5分ごとに再測定。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 注意! 子宮底マッサージは過度に強く行わない(子宮内反症のリスク)。出血量が持続する場合は、用手子宮底圧出や双合子宮圧迫などの医師の処置が必要。感染予防のため、腟内洗浄は医師の指示のもとで行う。母体の意識レベルと全身状態の観察を怠らない。 看護プロトコル: 観察項目: 子宮底の高さ・硬さ(30分ごと)、悪露の性状・量(パッド交換時)、バイタルサイン(1時間ごと、異常時は頻回)。報告基準: 子宮底が臍上で軟らかい、出血量が1時間にパッド1枚以上、血圧低下・脈拍増加。記録: 子宮底の状態、マッサージの実施時間と効果、出血量(パッド重量または視覚的評価)、バイタルサイン、医師への報告内容と指示内容。家族説明: 「子宮の戻りが少し遅れているので、お腹のマッサージをしますね。出血が落ち着くように一緒に頑張りましょう。」と安心感を与える声かけ。 先輩看護師の一言: 「産後の出血は一瞬で母体の状態が悪くなることがあります。だからこそ、『子宮が軟らかい』というサインを見逃さないで!マッサージは看護師が最初にできる命を救う介入です。バイタルサインだけ見て慌てるのではなく、まず手を動かして子宮を硬くすること。これが産科看護の基本中の基本です!」

重要概念

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