核心解説
この問題は、女性ホルモンである
プロゲステロン (Progesterone) の生理作用に関する基礎知識を問うています。プロゲステロンは主に排卵後の黄体(Corpus Luteum)から分泌され、妊娠の維持に不可欠なホルモンです。その作用を、エストロゲン(Estrogen)やプロラクチン(Prolactin)の作用と正確に区別することが求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! プロゲステロンの主要な作用の一つは、
子宮内膜を増殖期から分泌期へと変化させることです。エストロゲンが子宮内膜を厚く増殖させる(増殖期)のに対し、プロゲステロンはその内膜をさらに成熟させ、受精卵の着床に適した状態(分泌期)に整えます。この作用により、子宮内膜は栄養分に富んだ柔らかい状態となり、妊娠の成立と維持が可能になります。選択肢①「子宮内膜の分泌期への変化」は、このプロゲステロンの代表的な作用です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
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②番(子宮筋の収縮促進): これは主に
エストロゲン (Estrogen) と
オキシトシン (Oxytocin) の作用です。プロゲステロンは逆に、子宮筋の収縮を抑制し、妊娠を維持する働きがあります。
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③番(乳汁産生の促進): これは
プロラクチン (Prolactin) の主な作用です。プロゲステロンは乳腺の腺房(Acinus)を発達させる(乳汁分泌準備)作用はありますが、乳汁産生そのものを促進するのはプロラクチンです。
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④番(腟粘膜の角化促進): これは
エストロゲン (Estrogen) の作用です。エストロゲンは腟粘膜を厚くし、角化を促進します。プロゲステロンは腟粘膜の剥離を促進する傾向があります。
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⑤番(卵管の蠕動運動亢進): これは
エストロゲン (Estrogen) の作用です。エストロゲンは卵管の蠕動運動を亢進させ、卵子の輸送を促進します。プロゲステロンはこの蠕動運動を抑制する作用があります。
概念整理:
女性ホルモンの作用比較(プロゲステロン vs エストロゲン)
| 作用部位 | エストロゲン (Estrogen) | プロゲステロン (Progesterone) |
| 子宮内膜 | 増殖期への変化(厚くする) | 分泌期への変化(着床準備) |
| 子宮筋 | 収縮促進 | 収縮抑制(妊娠維持) |
| 卵管 | 蠕動運動亢進 | 蠕動運動抑制 |
| 腟粘膜 | 角化促進 | 剥離促進 |
| 乳腺 | 乳管発達 | 腺房発達 |
| 体温 | 特に影響なし | 基礎体温を上昇させる(高温相) |
一目で比較!:
プロゲステロン = “妊娠を守るホルモン”(子宮収縮抑制、分泌期への移行)。
エストロゲン = “女性らしさを作るホルモン”(子宮増殖、二次性徴発現)。
看護過程ポイント: 月経周期のアセスメントでは、基礎体温の二相性(低温相/高温相)を確認します。高温相(プロゲステロン分泌期)が十分に続かない場合は黄体機能不全(Luteal Phase Defect)が疑われ、不妊の原因となる可能性があります。
暗記のコツ: 「プロゲステロン = プロ(妊娠を)ゲットするロン」と覚えましょう。妊娠を成立・維持するために、子宮内膜を着床しやすい分泌期に変え、子宮の収縮を抑えるのです。
国試頻出ポイント: エストロゲンとプロゲステロンの作用の違いは、ほぼ毎年何らかの形で出題されます。特に子宮内膜(増殖期 vs 分泌期)や基礎体温への影響は、月経周期の理解と共に確実に押さえましょう。
出題パターン注意!: 「排卵後の高温相はどのホルモンの影響か」「経口避妊薬(ピル)の成分として含まれるホルモンはどれか」など、応用問題に発展します。