核心解説
この問題は、
尿道カテーテル関連尿路感染症 (Catheter-Associated Urinary Tract Infection, CAUTI) の予防に関する基本的な看護ケアの知識を問うています。CAUTIは、医療関連感染 (Healthcare-Associated Infection, HAI) の中で最も頻度が高く、その予防策はガイドラインで標準化されています。
閉鎖式回路の維持と挿入部の清潔保持 が予防の二大原則です。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): CAUTI予防の基本は、①閉鎖式回路を破綻させないこと(細菌の侵入経路を作らない)、②カテーテル挿入部を清潔に保つこと、③細菌の膀胱内への逆行(逆流)を防ぐこと、の3点です。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): ⑤「カテーテル挿入部の汚染がないか毎日観察する」は、
最重要! 局所の感染兆候(発赤、腫脹、排膿、疼痛)や汚染(便や尿による汚れ)を早期に発見し、適切な処置(清拭、消毒、ガーゼ交換)を行うことで、上行性感染を予防します。観察は看護師の基本的かつ最も重要な予防介入です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①:
混同注意! 採尿バッグは常に膀胱よりも低い位置に保つのが原則です。高い位置にあると、尿が重力で膀胱内に逆流し、感染の原因となります。
- ②: 閉鎖式回路(カテーテルと採尿バッグの接続部)は、原則として開放してはいけません。回路を開放することは、細菌が侵入する最大のリスクとなります。洗浄の必要がある場合は、専用の洗浄ポートを用います。
- ③: カテーテル内のフラッシュは、閉塞(Clogging)がない限り、ルーチンに行うものではありません。フラッシュ自体が回路内圧を変化させ、感染リスクを高める可能性があります。尿量が少ない場合は、まず患者の全身状態(脱水、腎機能)をアセスメントします。
- ④:
混同注意! カテーテル交換は、感染徴候がある場合や閉塞・破損が生じた場合に行います。2週間ごとの定期的な交換は、かえって感染リスクを高めるため推奨されません。ガイドラインでは、必要な場合のみ交換するとされています。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): CAUTI予防のための「バンドル (Care Bundle)」には、カテーテル挿入の必要性の毎日評価(早期抜去)、手指衛生、挿入時の最大滅菌バリアプリコーション、閉鎖式回路の維持、挿入部の清潔保持などが含まれます。
概念整理: CAUTI予防は
閉鎖式回路の維持(回路開放禁止、バッグの低位保持、ルーチン交換禁止)と
挿入部の観察と清潔(毎日の観察と拭浄、汚染時の処置)が二大原則。
一目で比較!:
| 正しいケア | 誤ったケア |
|---|
・バッグは膀胱より低く保持 ・挿入部を毎日観察・清潔に ・閉鎖回路は開放しない ・必要時のみカテ交換 | ・バッグを高い位置に保持 ・回路を頻回に開放・洗浄 ・ルーチンでカテ交換 ・挿入部を放置 |
看護過程ポイント:
-
アセスメント: 毎日のバイタルサイン(発熱の有無)、尿の性状(混濁、沈殿物、悪臭)、挿入部の状態(発赤、腫脹、排膿)、尿量。
-
看護診断: 感染リスク状態 [尿道カテーテル留置に関連した]。
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計画・実施: ①毎日の挿入部観察と清潔保持、②閉鎖式回路の維持(バッグの位置確認、回路の固定、キンク防止)、③十分な水分摂取の促進(禁忌がない場合)、④カテーテル留置継続の必要性を毎日評価し、医師と共有。
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評価: 感染兆候が出現しない。尿培養で細菌が検出されない。
暗記のコツ: 「カテーテルは『閉じて』『低く』『清潔に』」。回路は閉鎖(開放禁止)、バッグは低位(逆流防止)、挿入部は清潔に保つ。ルーチン交換は「しない」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: CAUTI予防策は、看護技術の基本として毎年のように出題されます。特に「閉鎖式回路の維持」「バッグの位置」「挿入部の観察」は頻出。選択肢に「ルーチン交換」「頻回なフラッシュ」「回路開放洗浄」があれば、ほぼ誤答です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加えて、「術後の高齢患者に尿道カテーテルが留置されている。夜勤帯に尿量が少ない。看護師の対応として適切なのはどれか」のような状況設定問題で、フラッシュの判断、バッグの位置確認、医師への報告の優先順位が問われることがあります。