高齢者の掻痒症の原因となる全身性疾患として、黄疸を伴うことが多いのはどれか。 | MyMerci
MyMerci — 問題も詳しい解説もすべて無料 無料で始める
高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
問題

高齢者の掻痒症の原因となる全身性疾患として、黄疸を伴うことが多いのはどれか。

解説
胆汁うっ滞性肝疾患では、胆汁酸が血中に蓄積し、皮膚に沈着することで強い掻痒を引き起こす。黄疸を伴うことが多く、掻痒は黄疸に先行して出現することもある。
同じテーマの次の問題80歳の女性。全身の皮膚掻痒感を訴えて来院した。皮膚に明らかな皮疹は認められない。高齢者の掻痒症の原因として最も頻度が高いものはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、高齢者の 掻痒症 (Pruritus) の原因となる全身性疾患の中で、特に 黄疸 (Jaundice) を伴うものを問うています。掻痒は皮膚疾患だけでなく、様々な全身性疾患の症状として現れることを理解することが重要です。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 胆汁うっ滞性肝疾患 (Cholestatic Liver Disease) が正解です。
胆汁うっ滞とは、肝内または肝外の胆管で胆汁の流れが障害される状態です。これにより、胆汁酸 (Bile Acids)ビリルビン (Bilirubin) が血中に蓄積します。
1. 掻痒の原因: 血中に増加した胆汁酸が皮膚に沈着し、末梢神経を刺激することで、しばしば黄疸に先行する強い掻痒を引き起こします。 2. 黄疸の合併: ビリルビンが皮膚や粘膜に沈着することで黄疸が出現します。従って、胆汁うっ滞性肝疾患は掻痒と黄疸の両方を高率に伴います。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各誤答と掻痒、黄疸の関係を見てみましょう。
- ① 甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism): 代謝亢進により皮膚が温かく湿潤し、掻痒を感じることがありますが、黄疸を伴うことは通常ありません。黄疸があれば、むしろ甲状腺機能亢進症に伴う 肝障害 を疑いますが、頻度は低いです。
- ③ 慢性腎不全 (Chronic Renal Failure): 尿毒症性物質の蓄積による 尿毒症性掻痒症 (Uremic Pruritus) は非常に頻度が高いですが、黄疸は通常伴いません。腎性貧血による蒼白(Pallor)はあっても黄疸は特徴的ではありません。
- ④ 鉄欠乏性貧血 (Iron Deficiency Anemia): 掻痒の原因となることがありますが、黄疸は通常伴いません。むしろ皮膚は蒼白になります。ただし、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)では軽度の黄疸が見られることがあるため、混同しないようにしましょう。
- ⑤ 糖尿病 (Diabetes Mellitus): 皮膚の乾燥や感染症の頻度が高く、掻痒の原因になります。また、糖尿病性腎症 による慢性腎不全を合併すると尿毒症性掻痒が加わります。しかし、糖尿病そのもので黄疸をきたすことはありません。

関連概念の整理 (Related Concepts)
高齢者の掻痒症の原因を考える際、以下のように分類して整理すると良いでしょう。
カテゴリー主な疾患・原因黄疸の有無
肝胆道系疾患胆汁うっ滞性肝疾患、閉塞性黄疸(膵頭部癌など)あり
腎疾患慢性腎不全(尿毒症)なし
内分泌代謝疾患糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症なし
血液疾患鉄欠乏性貧血、真性多血症なし
悪性腫瘍ホジキンリンパ腫、内臓悪性腫瘍(パラネオプラスティック症候群)原因臓器による
薬剤性オピオイド、抗マラリア薬など原因薬剤による


概念整理
高齢者の掻痒症の鑑別において、胆汁酸の蓄積黄疸 は肝胆道系疾患を示唆する重要な手がかりです。胆汁うっ滞では、掻痒が黄疸に先行することもあるため、黄疸がなくても胆汁うっ滞を疑う視点が重要です。

一目で比較!
疾患掻痒の機序黄疸の有無
胆汁うっ滞胆汁酸の皮膚沈着・神経刺激あり
慢性腎不全尿毒症性物質の蓄積、皮膚乾燥なし
糖尿病皮膚乾燥、末梢神経障害、感染なし


看護過程ポイント
アセスメント: 高齢者の掻痒の訴えでは、皮膚の観察に加えて、眼球結膜や皮膚の黄染(黄疸の有無)、腹部症状(右季肋部痛、灰白色便など)を必ず確認する。血液検査データ(AST, ALT, ALP, γ-GTP, T-Bil, D-Bil, BUN, Cre)を確認し、肝胆道系障害と腎障害を鑑別する。
看護介入: 掻痒に対するケア(保湿、爪切り、冷罨法、清潔ケア)とともに、原因疾患の治療(例:胆汁うっ滞に対するウルソデオキシコール酸投与)の補助を行う。
評価: 掻痒の程度(Numerical Rating Scaleなど)と黄疸の程度(ビリルビン値)の経過を評価する。

暗記のコツ
胆汁詰まる(うっ滞)と、黄色い(黄疸)成分とかゆい(掻痒)成分が両方とも体に回る」と覚えましょう。「黄疸+掻痒=胆汁うっ滞を疑う」は国試の鉄則です。

国試頻出ポイント
全身性疾患に伴う掻痒症は頻出テーマです。特に「黄疸を伴う掻痒」と「黄疸を伴わない掻痒」の原因疾患を対比して出題されることが多いです。慢性腎不全では黄疸がないのに掻痒が強い、という点がポイントです。

出題パターン注意!
単純な知識問題に加えて、「高齢男性、全身の強い掻痒を訴えている。眼球結膜に黄染を認める。考えられる疾患はどれか。」といった状況設定問題(事例問題)で出題される可能性があります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80歳女性、訪問看護ステーションに通う要介護2の高齢者。訪問看護師が「1週前から全身がかゆくて眠れない」と訴えている。皮膚を観察すると、乾燥と多数の掻爬痕が見られる。眼球結膜を観察したところ、軽度の黄染を認めた。また、2週前から尿の色が濃くなり、便の色が薄くなっていると家族から情報を得た。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察 (Observation): バイタルサイン、意識レベル、皮膚の状態(皮疹、黄染、乾燥、掻爬痕の有無と程度)、眼球結膜の黄染、腹部の視診・触診(肝腫大、圧痛の有無)、尿と便の性状(尿色、便色)を確認。内服薬の確認(特に最近追加された薬剤はないか)。
2. アセスメント (Assessment): 黄疸+掻痒+灰白色便の三徴から、閉塞性黄疸(肝外胆汁うっ滞) が強く疑われる。高齢者では悪性腫瘍(膵頭部癌、胆管癌など)による閉塞の可能性が高いため、緊急性が高いと判断する。
3. 報告 (Report - SBAR): 最重要! 訪問看護師は速やかに担当医またはケアマネジャーに報告する。
- S (状況): 「訪問先の○○様、1週間前からの全身掻痒と、2週間前からの尿の濃染、便の色調低下があります。」 - B (背景): 「80歳女性、要介護2。既往歴は特記事項なし。」 - A (アセスメント): 「眼球結膜に黄染を認め、閉塞性黄疸を疑います。悪性腫瘍の可能性も考え、早急な精査が必要と考えます。」 - R (提案): 「至急、かかりつけ医を受診し、血液検査と腹部超音波検査を受けるよう調整をお願いします。」 4. 介入 (Intervention): 医師の指示のもと、掻痒に対しては、保湿剤の塗布、爪を短く切る、掻爬を避けるよう指導(二次感染予防)。痒みが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服が検討される。
5. 評価 (Evaluation): 受診後の診断結果(血液検査、画像検査)を確認し、治療計画(内視鏡的胆管ステント留置術、手術など)に応じた看護ケアを提供する。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 転倒予防: 高齢者は掻痒による不眠で夜間に覚醒し、トイレに行く際にふらつくことがある。ベッド周囲の整理整頓と夜間の足元灯の設置を指導する。
- 感染予防: 掻爬による皮膚の二次感染(蜂窩織炎など)に注意する。清潔を保ち、掻爬痕に化膿兆候がないか観察する。
- 悪性腫瘍の可能性への心理的ケア: 黄疸の原因精査のため入院が必要になった場合、患者と家族の不安に寄り添い、説明の場に同席するなど精神的なサポートを行う。

看護プロトコル
観察項目: バイタルサイン、皮膚の色調と黄疸の程度(経皮的ビリルビン測定器があれば測定)、掻痒の程度(NRS 0-10)、掻爬痕の数・大きさ・感染徴候、尿量と尿色、便色と便の性状、腹部症状(腹痛、腹部膨満)、血液検査データ(肝胆道系酵素、ビリルビン分画、アンモニア)
報告基準(SBAR): 黄疸の出現または増悪、激しい掻痒による不眠や皮膚損傷の悪化、腹部症状の出現(特に激しい腹痛は急性胆管炎の可能性あり)
記録のポイント: 掻痒の訴えがあった時間と程度、皮膚所見(黄染の部位と程度、掻爬痕の状態)、行ったケアの内容と患者の反応、医師への報告内容と指示内容

先輩看護師の一言
「かゆみって、患者さんにとっては本当に辛い症状なんです。特に高齢者は皮膚が乾燥しやすいから、まずは保湿ケアを徹底しましょう!でも、『いつもと違うかゆみ』や『黄疸があるかゆみ』は、体の中からのSOSサインです。『ただの乾燥かな?』で終わらせずに、全身状態と検査データを必ずチェックする習慣をつけてくださいね。国試でも臨床でも、この視点があなたを守り、患者さんを救います!」

重要概念

老年看護学 416 問 · ログイン不要

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。