核心解説
この問題は、
高齢者の掻痒症 (Pruritus in the Elderly) における薬物療法の第一選択を問うています。高齢者の掻痒症は、加齢に伴う
皮脂腺の萎縮と皮膚乾燥 (Xerosis) が主な原因であり、治療の基本は保湿ケアです。薬物療法としては、掻痒の原因となる
ヒスタミン (Histamine) の作用を抑える
抗ヒスタミン薬 (Antihistamines) が第一選択薬となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 高齢者の掻痒症では、まず保湿によるスキンケアを徹底し、それでも症状が強い場合に薬物療法が開始されます。第一選択は
抗ヒスタミン薬 であり、ヒスタミン受容体を遮断して掻痒感を軽減します。ただし、高齢者では第一世代抗ヒスタミン薬の
眠気、ふらつき、転倒リスク に十分注意し、第二世代(非鎮静性)を選択することが推奨されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
-
混同注意! ①番の
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) は、炎症や疼痛の抑制に用いられ、掻痒症の第一選択ではありません。
- ③番の
漢方薬(補中益気湯) は、高齢者の体力低下や虚弱体質に用いられることがありますが、掻痒症の第一選択ではありません。
- ④番の
抗不安薬 は、掻痒に伴う不眠や不安が強い場合に補助的に用いられることがありますが、第一選択ではありません。
- ⑤番の
ステロイド薬(内服)は、掻痒症の第一選択ではなく、湿疹や皮膚炎など炎症が強い場合に外用が主です。内服ステロイドは強い副作用のため、高齢者では慎重に適応判断されます。
関連概念の整理 (Related Concepts): 高齢者の皮膚は
バリア機能低下、皮脂分泌減少、乾燥 により掻痒が生じやすいです。鑑別診断として、
肝疾患、腎不全、糖尿病、鉄欠乏性貧血 などの全身疾患による二次性掻痒症も考慮します。看護では、
最重要! 保湿剤の適切な塗布指導(入浴後5分以内)、爪を短く保つ、掻爬による皮膚損傷(
掻破 (Excoriation))予防が重要です。
概念整理: 高齢者掻痒症の原因は主に皮膚乾燥(乾皮症)。治療の基本は保湿とスキンケア、薬物療法の第一選択は抗ヒスタミン薬。高齢者では眠気・ふらつきに注意。
一目で比較!:
| 薬剤カテゴリ | 掻痒症での位置づけ | 高齢者での注意点 |
| 抗ヒスタミン薬 | 第一選択薬 | 眠気・ふらつき(転倒リスク)に注意。第二世代推奨 |
| 保湿剤(外用) | 基本治療 | 入浴後5分以内の塗布が効果的 |
| ステロイド外用薬 | 炎症がある場合に使用 | 長期使用は皮膚萎縮に注意 |
| NSAIDs(内服) | 掻痒症には適応なし | 腎機能低下・消化管出血リスク |
看護過程ポイント:
-
アセスメント: 掻痒の部位・程度・持続時間、皮膚の乾燥状態、睡眠障害の有無、掻爬痕の有無、内服薬の確認(特に抗ヒスタミン薬服用歴)
-
看護診断:
皮膚統合性障害 (Impaired Skin Integrity)、
睡眠パターン障害 (Disturbed Sleep Pattern)
-
計画・実施: 保湿ケアの実施(入浴後・就寝前)、爪切り・手袋の着用指導、掻痒時の冷罨法(氷枕や冷却ジェルシート)の提案
-
評価: 掻痒の程度(Numerical Rating Scale等)の改善、睡眠の質の向上、皮膚損傷の有無
暗記のコツ: 「高齢者の痒み(Pruritus)は、乾燥(Xerosis)が原因 → まず保湿 → 薬は抗ヒスタミン薬(Antihistamines)」。乾燥は「Dry skin(ドライスキン)」、治療は「保湿(Moisturize)」と「抗ヒスタミン薬」の2つをセットで覚えましょう!
国試頻出ポイント: 高齢者の掻痒症では、
最重要! 薬物療法の第一選択(抗ヒスタミン薬)と、その副作用(眠気・転倒リスク)が頻出です。また、基礎疾患(肝・腎・糖尿病など)のスクリーニングも問われます。
出題パターン注意!: 「高齢者の掻痒症に対して、看護師が最初に確認すべきことは?」(例:保湿ケアの実施状況、内服薬の確認)といった状況設定問題に発展することがあります。