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高齢者の健康
問題

78歳の男性。糖尿病と高血圧で内服治療中。最近、妻の介護疲れからデイサービスを週2回利用している。デイサービスでは他者との交流は拒否的で、職員の誘いにも「家に帰りたい」と繰り返す。自宅ではテレビを見て過ごすことが多く、妻は「最近、食事の量も減ったし、話しかけても返事が少なくなった」と心配している。この男性に最も関連の深い概念はどれか。

解説
閉じこもりは、外出頻度が週1回未満で、かつ他者との交流が乏しい状態を指す。この事例ではデイサービスに行っているが、自宅ではほとんど外出せず、交流も拒否的であり、閉じこもりの定義に合致する。うつ状態の可能性は否定できないが、生活行動の特徴から閉じこもりが最も適切である。
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詳細解説

核心解説 この問題は、高齢者の生活行動パターン精神心理状態の鑑別を問うています。特に、「閉じこもり (Housebound)」は、身体的・精神的な理由により外出頻度が著しく低下し、週1回未満となる状態を指す定義があります。本事例では、週2回のデイサービス利用があるため、外出頻度の面からは厳密な定義(週1回未満)には合致しません。しかし、自宅ではほぼ外出せず、他者との交流を拒否し「家に帰りたい」と繰り返す行動、妻が「話しかけても返事が少ない」「食事量が減った」と訴えている点から、生活の中心が自宅に限定され、対人交流が極端に減少している状態である「閉じこもり」の概念が最も関連が深いと判断されます。特に日本の老年看護学では、デイサービス利用の有無よりも、主体的な外出や社会的交流の有無を重視するため、この事例は閉じこもりの傾向を強く示しています。 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 「閉じこもり」は、身体的な移動能力は保たれているものの、心理的・社会的要因により自宅に引きこもり、外出頻度が著しく低下した状態です。本事例の男性はデイサービスに行ける移動能力はあるものの、自宅ではTVを見て過ごし、交流を拒否しているため、この概念が最も適合します。うつ状態の可能性も考慮すべきですが、まずは行動パターンから「閉じこもり」を優先的に評価するのが適切です。 誤答の分析 (Distractor Analysis): - 混同注意!介護負担 (Caregiver burden): 妻の負担感は存在しますが、問題は「この男性に最も関連の深い概念」を問うており、主語は男性自身です。介護負担は主に介護者(妻)の概念です。 - ②老年期の適応障害 (Adjustment disorder in elderly): デイサービスへの拒否や「家に帰りたい」という発言から適応障害も疑えますが、適応障害は明確なストレス因子への反応として生じるもので、本事例の長期的な生活パターンの変化(閉じこもり)を説明するには概念の焦点が異なります。 - ④社会的孤立 (Social isolation): 交流の乏しさという点では類似しますが、社会的孤立は客観的なネットワークの欠如を指します。本事例ではデイサービスを利用しており、全くの孤立状態とは言えません。閉じこもりは行動パターンに焦点があります。 - ⑤うつ状態 (Depressive state): 食欲低下、無反応、引きこもりはうつの症状でもありますが、本事例では明確な気分の落ち込みや興味・喜びの喪失(アネドニア)の記載がなく、行動面の特徴から閉じこもりの方が直接的です。うつ状態は併存する可能性が高いため、二次的な評価対象となります。 関連概念の整理 (Related Concepts): 閉じこもりうつは高齢者で高頻度に合併します。閉じこもりがうつのリスク因子となる一方、うつ症状が閉じこもりを悪化させる双方向の関係があります。国試では、両者の鑑別ポイントとして、気分の変動の有無(うつでは日内変動がある)、楽しめる活動の有無、身体愁訴の有無が問われることが多いです。閉じこもりの予防には、外出支援(通いの場、訪問型サービス)と生きがいづくりが重要です。 概念整理: 閉じこもり (Housebound): 外出頻度が週1回未満(または極端に低下)、かつ他者との交流が乏しい状態。身体能力は保たれているが、心理的・社会的要因で自宅に留まる。予防・改善には、外出支援(デイサービス、訪問リハビリ)、社会参加促進(サロン、ボランティア)、自己効力感の向上が有効。→ うつ状態 (Depressive state) との併存に注意し、気分評価(GDSなど)も併用する。 一目で比較!:
概念定義の焦点本事例との合致度
閉じこもり外出頻度の低下 (行動パターン)高い (自宅滞在、交流拒否)
社会的孤立社会的ネットワークの欠如 (客観的状態)中程度 (デイサービスあり)
うつ状態気分の落ち込み、興味喪失 (感情・精神症状)可能性あり (二次評価)
看護過程ポイント: - アセスメント: 外出頻度(週1回未満か)、外出の障壁(身体的/心理的/環境的)、他者交流の有無、気分評価(うつ尺度GDS-15)、日常生活動作 (ADL)、活動範囲(自宅内/庭先/近所)。 - 看護診断: 「非効果的健康維持パターン」「社会的交流の減少リスク状態」または「気分変調リスク状態」。 - 計画: 段階的な外出目標設定(例: 週1回玄関先まで、週2回デイサービス継続)、本人のペースに合わせた支援、妻への介護負担軽減策(レスパイトケア)の提案。 - 実施: 訪問看護での傾聴と生活リズムの調整、デイサービス職員との情報共有(誘い方の工夫)、地域包括支援センターとの連携(通いの場の紹介)。 - 評価: 外出頻度の変化、自発的な発語や表情の改善、妻の主観的負担感の変化。 暗記のコツ: 「閉じこもり」は「外に出ないこと」で、「家に閉じこもる」というイメージそのものです。一方、「社会的孤立」は「周りに誰もいない状態」と覚えましょう。事例では「デイサービスに行っているが、自宅ではこもっている」→閉じこもり、という流れで判断します。 国試頻出ポイント: 高齢者の閉じこもりは、フレイル (Frailty) やロコモティブシンドローム (Locomotive Syndrome) のリスク因子として頻出です。また、介護予防の観点から、通いの場(サロン、体操教室)への参加促進や、訪問型サービスの活用が介入ポイントとして問われます。令和6年介護保険法改正では、地域包括ケアシステムの深化に向けて、閉じこもり予防のための住民主体の通いの場の充実が重点項目となっています。 出題パターン注意!: 単純な概念の定義問題から、事例問題(本問のような状況設定)で「最も関連の深い概念はどれか」と問われるパターンが主流です。また、「閉じこもり高齢者への看護介入として適切なのはどれか」という形で、具体的な介入方法(例: 段階的な外出支援、訪問リハビリの導入、地域サロンへの勧奨)が問われることもあります。特に、うつ状態と閉じこもりの鑑別は頻出事項です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 訪問看護ステーションに勤務するあなた。78歳男性、糖尿病と高血圧で内服治療中、妻と二人暮らし。週2回デイサービスを利用しているが、最近「家に帰りたい」と繰り返し、職員の誘いに乗らず、自宅ではテレビを見て過ごすことが多い。妻から「最近、食事量が減った。話しかけても返事が少なくなった」と相談を受けた。あなたは訪問看護でこの男性をどのようにアセスメントし、支援を提案しますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察: 訪問時、バイタルサイン (Vital Signs) 測定、体重変化、食事摂取状況(3日間の食事記録)、活動範囲(居間から動けるか)、表情や発語の頻度、うつ症状のスクリーニング(GDS-15を使用)。最重要! まずは身体的な異常(低栄養、脱水、感染症)の有無を確認。 2. アセスメント: デイサービスには行けるが自宅では閉じこもり傾向。妻の介護負担感が高い。食欲低下は閉じこもりに伴う活動量低下や気分の落ち込みが関連している可能性。うつ状態の併発リスクあり。 3. 報告 (SBAR): 「S(状況): 78歳男性、閉じこもり傾向。S(背景): 週2回デイサービス利用中、自宅では交流乏しい。A(アセスメント): 閉じこもりとうつ状態の合併を疑う。R(提案): デイサービスの利用頻度増加や、訪問リハビリの導入、地域包括支援センターとの連携を検討したい。」 4. 介入: 本人には「無理のない範囲で一緒に散歩しませんか?」と誘導。妻には「お一人で抱え込まず、レスパイトケア(ショートステイなど)を利用してみませんか?」と提案。ケアマネジャーと連携し、通いの場(地域サロン、体操教室)の情報提供。 5. 評価: 1ヶ月後の訪問で、外出頻度(週1回以上の自発的な外出)、食事量の変化、妻の負担感の変化(改善傾向)を確認。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 要注意! 食欲低下が進行すると、低栄養や脱水によるフレイル (Frailty) の悪化、転倒リスク増加につながる。体重減少(1ヶ月で5%以上)は要注意。 - うつ状態が疑われる場合、希死念慮の有無を必ず確認(「死にたいと思ったことはありますか?」と直接質問)。 - 妻の介護負担が限界に達すると、虐待や共倒れのリスク。妻の健康状態(睡眠、血圧、腰痛など)も定期的に評価。 - 薬剤の副作用(糖尿病治療薬による低血糖、降圧薬による低血圧)によるふらつきや転倒にも注意。 看護プロトコル: 観察項目(バイタルサイン、体重、食事摂取量、活動範囲、表情、発語、GDS-15得点)を訪問看護記録に毎回記載。報告基準は「GDS-15得点が6点以上(うつ状態疑い)」「体重が1ヶ月で3%以上減少」「妻から『もう無理』という発言があった場合」を目安に。記録はSOAP形式で、主観的データ(S: 本人の訴え、妻の訴え)と客観的データ(O: バイタルサイン、体重、GDS得点、活動観察)を明確に分ける。 先輩看護師の一言: 「高齢者の閉じこもりは、『ただの老化』と思われがちですが、うつやフレイルのサインです!『最近、外に出なくなったな』『テレビばかり見ているな』と思ったら、必ずGDSや体重、食事量をチェックして。『家に帰りたい』は『ここが嫌だ』という意思表示かもしれません。本人のペースを尊重しながら、『外に出る楽しみ』を一緒に見つけてあげてください。それが看護師の役割です!」

重要概念

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