こんな問題があと800問挑戦 ›
排泄機能障害のある患者の看護
ストーマ(人工肛門)を造設した患者への退院指導として適切なのはどれか。
-
1
装具の交換は週に1回で十分である
-
2
入浴はストーマ装具を装着したまま可能である
✓ 正解
-
3
便の性状に関わらず、食事制限は必要ない
-
4
ストーマ洗浄は毎日必ず行う必要がある
-
5
ストーマ周囲の皮膚はアルコール消毒を行う
解説
ストーマ装具は防水性があるため、装着したままの入浴が可能である。1は誤りで、ストーマ洗浄は毎日必須ではない。3は誤りで、通過障害や下痢時には食事調整が必要な場合がある。4は誤りで、装具の交換頻度は便の性状や皮膚状態により異なり、一般的には2~4日ごとである。5は誤りで、ストーマ周囲の皮膚は刺激を避けるため、アルコール消毒は行わず、ぬるま湯で優しく洗浄する。
同じテーマの次の問題前立腺全摘除術後に尿失禁が続く患者への看護として適切なのはどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、ストーマ(人工肛門)管理における退院指導の基本を問うています。ストーマとは、消化管(主に結腸や回腸)を腹部に人工的に開口させたもので、排泄物の出口となります。ストーマケアの最大の目的は、ストーマ周囲皮膚の保護と感染予防です。皮膚障害は、装具の不適合や排泄物による刺激、不適切な清掃方法によって引き起こされるため、患者さんが正しい自己ケアを習得できるように指導することが看護師の役割です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 現代のストーマ装具(面板とパウチ)は、防水性を備えています。そのため、装着したままの入浴が可能です。入浴によって装具が剥がれることはなく、むしろ、パウチに溜まった便の処理や、湯船に浸かることでリラックス効果や衛生面の向上が期待できます。患者さんのQOL(Quality of Life)向上のためにも、正しい知識として指導します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
1. 混同注意! 「装具の交換は週に1回で十分」は誤りです。装具の交換頻度は、排泄物の性状(便の硬さ、量)や、皮膚状態、使用する装具の種類によって異なりますが、一般的には2~4日ごとが目安です。皮膚に発赤やかぶれがないか確認するため、また、面板の粘着力が低下する前に交換する必要があります。
2. 「便の性状に関わらず、食事制限は必要ない」は誤りです。ストーマ造設後は、通過障害や下痢、便秘が生じることがあります。特に、術後早期やイレウス(腸閉塞)のリスクがある時期には、食物繊維の多い食品(きのこ、海藻、こんにゃくなど)や、ガスの溜まりやすい食品(豆類、炭酸飲料など)を控えるなどの食事調整が必要になる場合があります。
3. 混同注意! 「ストーマ洗浄は毎日必ず行う必要がある」は誤りです。ストーマ洗浄(灌腸)は、下行結腸またはS状結腸にストーマがある患者さんが、排便のタイミングをコントロールするために行う方法です。全員が行う必要はなく、自然排便で生活できる患者さんも多くいます。また、回腸ストーマの場合は、ほぼ常時液体状の便が排出されるため、洗浄は通常行いません。
4. 禁忌! 「ストーマ周囲の皮膚はアルコール消毒を行う」は誤りです。アルコールは皮膚を強く刺激し、かえって皮膚障害(びらん、ただれ)を引き起こす原因となります。ストーマ周囲の皮膚ケアの基本は、ぬるま湯と清潔なガーゼで優しく洗浄し、よく乾燥させることです。石鹸は、刺激の少ない弱酸性のものを使用します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ストーマケアにおいて、皮膚の状態を評価することは非常に重要です。正常なストーマ周囲皮膚は、健常な皮膚と同様の状態です。発赤(紅斑)、湿潤(ただれ)、びらん、潰瘍、真菌感染(カンジダ症)などが見られた場合は、装具の選択やケア方法を見直す必要があります。また、ストーマ自体の観察(色調:鮮紅色が正常、チアノーゼや暗紫色は血流障害のサイン)も忘れてはいけません。
概念整理: ストーマケアの目的は、皮膚の保護と排泄物の適切な処理です。装具交換、皮膚洗浄、食事指導、日常生活動作(ADL)の拡大(入浴、運動、衣服の選択)が指導内容となります。
一目で比較!:
| 項目 | 正しいケア | 誤ったケア |
| 入浴 | 装具装着のまま入浴可(防水性あり) | 装具を外して入浴(皮膚障害リスク) |
| 装具交換頻度 | 2~4日ごと(皮膚状態で調整) | 週1回(長期装着で皮膚障害リスク) |
| 皮膚洗浄 | ぬるま湯とガーゼで優しく洗浄 | アルコール消毒(刺激が強すぎる) |
看護過程ポイント: アセスメント:ストーマの色調・大きさ・高さ、周囲皮膚の状態、排泄物の性状・量・臭い、装具の適合状態。患者の自己ケア能力(手技・理解度)とセルフケア不足の有無。 看護診断:「皮膚統合性の障害(リスク状態)」「セルフケア不足(更衣・入浴)」「知識不足(ストーマケア)」。 介入:適切な装具の選択と交換方法の指導、皮膚洗浄方法の実演指導、食事・日常生活の注意点の説明。 評価:患者が正しい手技で装具交換を行えているか、皮膚に異常がないか、QOLが向上しているか。
暗記のコツ: ストーマケアのキーワードは「優しく」と「防水」です。皮膚は「優しく」洗い、装具は「防水」なので入浴できます。「アルコール消毒」と「週1回交換」は絶対に誤り!と覚えてください。
国試頻出ポイント: ストーマの種類(コロストミー、イレオストミー、ウロストミー)の違い、装具の種類(ワンピース式、ツーピース式)の特徴、皮膚障害の原因とケア、食事・入浴・運動の制限と注意点、社会資源(ストーマ用装具の給付、訪問看護)が頻出です。
出題パターン注意!: 事例問題として「退院前の最終確認で、患者さんが『お風呂はどうすればいいですか?』と質問した場面」や、「ストーマ周囲に発赤が出現した患者さんのアセスメントとケアの優先順位を問う問題」が出題されます。
臨床実践ガイド
実際の病棟では、ストーマ造設後、創が安定する術後数日からストーマケアの指導が始まります。看護師は患者さんと一緒に鏡を見ながら、装具の交換手順を説明・実演します。最初は患者さんが戸惑うことも多いため、「慣れるまでは一緒にやりましょう」と声をかけ、成功体験を積み重ねられるよう支援します。臨床シナリオ (Clinical Scenario)
60代女性。S状結腸がんに対し、ハルトマン手術を施行。下行結腸に単孔式コロストミーを造設。術後7日目。全身状態は安定し、退院指導を開始することになりました。患者さんは「家に帰ってちゃんと自分でできるか不安です。特に、お風呂はどうしたらいいんですか?」と看護師に相談してきました。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察・アセスメントまず、患者さんのストーマの状態(色調・高さ・周囲皮膚)と、現在使用している装具の適合状態を確認します。患者さんの手指の動きや視力をアセスメントし、自己ケアの困難さの有無も評価します。
- 2指導・介入「ストーマ装具は防水ですから、付けたままのお風呂に入れますよ。むしろ、湯船に浸かるとリラックスできますし、汗や汚れも落ちて清潔になります。」と説明します。入浴の具体的な手順として、
* 入浴前にパウチ内の便をトイレに捨てる。
* 装具は装着したまま入浴する(面板のフィルターに水が入らないよう注意)。
* 石鹸は刺激の少ないものを使用し、面板の周囲は優しく洗う。
* 入浴後は清潔なタオルで優しく押さえるように水分を拭き取り、皮膚をしっかり乾燥させる。
* 装具の剥がれが心配な場合は、防水テープで縁を補強する方法も紹介する。3. 報告・評価:指導後、患者さんに「ご自身でできそうですか?」と不安の程度を確認します。必要に応じて、実際に一緒に手順を再確認したり、退院後に訪問看護を導入するか検討します。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
* 最重要! 装具を外した状態での入浴は、皮膚への直接刺激や排泄物による汚染リスクが高まるため避けるよう指導します。
* 入浴後は皮膚を十分に乾燥させることが、装具の密着と皮膚障害予防に重要です。
* 面板のフィルターが濡れると機能しなくなるため、フィルター部分を水に浸さないように注意します。
* もし、ストーマ周囲に発赤やかゆみ、ただれなどの皮膚障害が出現した場合は、自己判断せずにすぐに医療機関に相談するよう伝えます。 看護プロトコル: 観察項目:ストーマの色調(暗紫色は壊死の危険)、周囲皮膚(発赤・湿潤・びらん・潰瘍・真菌感染)、排泄物の性状(水様・泥状・有形)と量、装具の漏れの有無。報告基準(SBAR):S(状況)「○○さんのストーマ周囲に発赤が出現しました」、B(背景)「術後7日目、退院指導中です」、A(アセスメント)「装具の不適合による接触皮膚炎の可能性があります」、R(提案)「皮膚保護剤の変更や、皮膚科へのコンサルテーションが必要か相談したいです」。
先輩看護師の一言:「ストーマケアの指導で一番大事なのは、患者さんに『これで大丈夫』という自信を持ってもらうことです。国試では『正しい手技』や『禁忌事項』が問われますが、現場では患者さんの不安に寄り添い、一緒に解決策を考えることが何より大切です。装具交換の手順を完璧に覚えるよりも、『この皮膚の状態は何が原因か?どう改善するか?』を考えられる看護師になりましょう!」
- ストーマ — 消化管や尿路を人工的に体表に開口させたもの。人工肛門(コロストミー)や人工膀胱(ウロストミー)がある。
- 装具 (Ostomy Appliance / Pouch) — 排泄物を溜めるパウチと皮膚に貼り付ける面板からなる医療機器。防水性があり、入浴時も装着可能。
- 皮膚障害 (Peristomal Skin Complication) — ストーマ周囲の皮膚に生じる発赤、湿潤、びらん、潰瘍などの合併症。主な原因は排泄物の漏れや装具の不適合、不適切な洗浄。
- ストーマ洗浄 (Colostomy Irrigation) — 下行結腸・S状結腸ストーマに温水を注入し、排便を促す方法。排便習慣の調節に有効だが、全員が行うものではない。
- セルフケア不足 (Self-Care Deficit) — ストーマ造設後の患者が、自身のストーマケア(装具交換、皮膚洗浄、排泄物処理)を自力で行えない状態。看護診断の一つ。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。