大腸内視鏡検査後に患者から「お腹が張って痛い」と訴えがあった。看護師の対応で適切なのはどれか。 | MyMerci
排泄機能障害のある患者の看護
問題

大腸内視鏡検査後に患者から「お腹が張って痛い」と訴えがあった。看護師の対応で適切なのはどれか。

解説
大腸内視鏡検査後は、検査時に腸管内に注入した空気により腹部膨満感や腹痛が生じることが多い。まずはこのことを説明し、排ガス(おなら)を促すことで症状が軽減することがある。腸管穿孔などの合併症を否定できない場合は医師に連絡するが、まずは一般的な対応として排ガスを促す。腹部マッサージは腸管に負担をかける可能性がある。

詳細解説

核心解説 この問題は、大腸内視鏡検査 (Colonoscopy) 後の一般的な合併症と看護対応を問うています。検査後によく見られる 腹部膨満感 (Abdominal Distension) や腹痛 (Abdominal Pain) は、検査時に腸管内を広げるために注入した空気が原因であることがほとんどです。

正解の根拠 (Answer Rationale):
正解は「検査時に注入した空気が原因である可能性を説明し、排ガスを促す」です。
最重要! まずは患者さんに「これは検査で入った空気の影響でよくあることですよ」と説明し、不安を軽減します。そして、排ガス(おなら)を促す体位(例えば左側臥位や膝を胸に近づける姿勢)をとったり、歩行が許可されていれば軽く歩いたりすることで、症状が速やかに改善することが多いです。これが最も頻度が高く、かつ侵襲の少ないファーストチョイス(第一選択)の対応です。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番の鎮痛薬投与は、原因が空気によるものか、それ以外の深刻な合併症(穿孔など)かが不明な段階では行いません。痛みをマスクしてしまい、重症化を見逃すリスクがあります。
③番のすぐに医師に連絡は、一般的な空気による症状であれば過剰対応です。排ガスを促しても改善しない、あるいは痛みが増強する場合に医師へ報告します。
④番の腸管穿孔を疑って絶飲食とするのは、緊急度が高い判断です。しかし、まずはより頻度の高い空気による症状をアセスメントするのが看護の基本です。穿孔の可能性がある場合(激しい痛み、腹膜刺激症状など)はこの対応が必要です。
⑤番の腹部を強くマッサージするのは、腸管に不要な刺激を与え、かえって症状を悪化させたり、穿孔のリスクを高めたりする可能性があるため禁忌です。

関連概念の整理 (Related Concepts):
大腸内視鏡検査後の重大な合併症としては、腸管穿孔 (Intestinal Perforation)出血 (Bleeding) があります。これらを疑う所見(持続する激痛、発熱、腹膜刺激症状、血便、血圧低下など)を見逃さないための観察が同時に重要です。この問題は、「一般的な所見」と「緊急を要する所見」の優先順位を問うていると言えるでしょう。

概念整理: 大腸内視鏡検査後は、注入空気による腹部膨満が最も多い症状。看護師はまず、この良性の原因を説明し排ガスを促す。同時に、穿孔や出血などの重篤な合併症のサインを見逃さない観察眼が求められる。
一目で比較!:
症状の原因対応
注入空気(頻度が高い)説明+排ガス促し(第一選択)
腸管穿孔(緊急!)絶飲食、緊急で医師報告、手術準備

看護過程ポイント: アセスメント: 痛みの性質(部位・程度・持続時間)、バイタルサイン、腹部所見(膨満・硬さ・蠕動音)、排ガスの有無。看護診断: 「腹部不快感(注入空気に関連)」or「急性疼痛」計画: 排ガス促進、不安軽減、合併症徴候のモニタリング。
暗記のコツ: 「内視鏡=空気が入る=お腹パンパン=まずはゲップならぬおならを出す!」と覚えましょう。副作用や合併症を疑う前に、まずは「正常な反応」を考える習慣が大切です。
国試頻出ポイント: 検査後の一般的な反応と重篤な合併症の鑑別は頻出です。「最初にすべきこと」「優先順位」を問う問題は毎年のように出ます。判断に迷ったら、まずは「侵襲が少なく、患者にとって安全なこと」を選ぶのが鉄則です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario):
50代女性。大腸ポリープ切除目的で大腸内視鏡検査を実施。検査後、回復室で「お腹が張って、ずーんと痛いです。大丈夫でしょうか?」と看護師に訴えました。顔色はやや青白いですが、バイタルサインは安定しています。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察 (Observation): バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、SpO2) を測定。腹部を視診・聴診・触診し、膨満の程度、蠕動音の有無、圧痛の部位や腹膜刺激症状(Blumberg徴候:反跳痛)の有無を確認します。排ガスがでているかも尋ねます。
2. アセスメント (Assessment): バイタルサインが安定しており、痛みは「張り」を伴うもので、腹膜刺激症状がなければ、最も可能性が高いのは注入空気による症状です。しかし、ポリープ切除を行っているため、後出血や穿孔のリスクも常に念頭に置きます。
3. 介入 (Intervention): まず患者さんに「検査で入った空気の影響でよくある症状ですよ。おならを出すと楽になります」と説明し安心させます。次に、排ガスを促すために 左側臥位 をとってもらうか、許可があればトイレまで歩行を促します。
4. 報告基準 (SBAR): 排ガスを促しても1時間以上症状が改善しない、痛みが増強する、発熱や血圧低下が見られた場合 → S: 「腹部膨満と痛みが続いています」 B: 「バイタルサインは安定していますが、排ガスがみられません」 A: 「注入空気の残存も考えられますが、穿孔や後出血の可能性も否定できません」 R: 「診察をお願いします」

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
最重要! 絶対に避けるべきは、痛み止めの投与や腹部の強マッサージです。これらは症状を隠蔽したり、合併症を誘発するリスクがあります。また、患者さんの「いつもと違う」という感覚を軽視せず、常に重篤な合併症の可能性を考えて観察を続けることが安全な看護につながります。

看護プロトコル: 観察項目: 腹部症状(痛み・膨満・硬さ)、バイタルサイン、排ガス・排便の有無、出血の有無(下血、血圧低下)。記録: 患者の訴え、観察所見、行ったケア(説明内容、体位変換など)、患者の反応。
先輩看護師の一言: 「内視鏡検査後の患者さんで『お腹が痛い』と言われたら、まずは『おならは出ましたか?』と聞くクセをつけましょう。これが一番多い原因です。でも、同時に『もし穿孔だったら?』と考えて、痛みの場所や強さの変化をしっかり観察すること。この『When in doubt, check it out.(迷ったら調べる)』の精神が、患者さんを守る力になります!」

重要概念

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