MyMerci › 過去問 › 脳・神経機能障害のある患者の看護
こんな問題があと800問 挑戦 ›
脳・神経機能障害のある患者の看護
くも膜下出血後の患者に生じやすい合併症で、発症後3~14日目に注意が必要なものはどれか。
患者は意識清明であるが、突然の激しい頭痛で発症し、CTでクモ膜下腔に高吸収域を認めた。
1
脳内出血
2
硬膜下血腫
3
脳ヘルニア
4
遅発性脳血管攣縮
✓ 正解
5
正常圧水頭症
解説
くも膜下出血後、3~14日目に最も注意すべき合併症は遅発性脳血管攣縮である。これは脳血管が収縮し、脳虚血を引き起こす。脳ヘルニアは急性期、正常圧水頭症は慢性期に生じることが多い。
同じテーマの次の問題 脳卒中後の患者に対する意識レベルの評価で、JCS(Japan Coma Scale)とGCS(Glasgow Coma Scale)の特徴について正しい記述はどれか。 この問題が収録された問題集 成人看護学 KRW 12,900
核心解説
この問題は、くも膜下出血 (Subarachnoid Hemorrhage, SAH) 後の時間経過に伴う合併症の発生時期を問うています。SAHは脳動脈瘤破裂が最多の原因で、発症後の経過は「急性期」「亜急性期」「慢性期」に分けられ、各期で注意すべき病態が異なります。本問では「発症後3~14日目」というキーワードが、遅発性脳血管攣縮 (Delayed Cerebral Vasospasm) の好発時期と完全に一致するため、これを正解とします。
1. 核心概念の分析 (Key Concept)
SAH後の病態は、血液成分(特にオキシヘモグロビン)が脳血管周囲に付着し、平滑筋収縮や炎症反応を誘発する ことで進行します。この過程で生じる遅発性脳血管攣縮は、発症後3~4日目から始まり、7~10日目にピークを迎え、14日目頃まで持続します。結果として、脳灌流圧が低下し、遅発性脳虚血 (Delayed Cerebral Ischemia, DCI) を引き起こすため、厳重なモニタリングと予防的治療が必要です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は④の 最重要! 遅発性脳血管攣縮 (Delayed Cerebral Vasospasm) です。発症後3~14日目は脳血管攣縮のリスクが最も高く、意識レベルの低下や新たな神経症状(片麻痺、失語など)が出現するため、看護師は経皮的脳酸素飽和度モニタリングや神経学的観察(意識レベル、瞳孔、運動機能)を頻回に行い、異常の早期発見 が求められます。治療にはカルシウム拮抗薬(ニカルジピンなど)の持続静注や、血管拡張療法が行われます。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 混同注意! 脳内出血:SAH自体がクモ膜下腔の出血であり、脳実質内出血は発症時または急性期に合併することがありますが、3~14日目に特異的に生じるものではありません。
② 硬膜下血腫:主に頭部外傷後に生じる病態で、SAHとの直接的な関連は薄く、本問のタイミングでは合併症として想定されません。
③ 混同注意! 脳ヘルニア:これはSAH急性期(発症後24~48時間以内)に、急激な頭蓋内圧亢進により生じる致死的合併症であり、3~14日目に注意するものではありません。発症早期の厳重な血圧管理と頭位管理が予防の鍵です。
⑤ 正常圧水頭症:これはSAH慢性期(発症後数週間~数ヶ月後)に生じる合併症で、症状として歩行障害、認知機能低下、尿失禁(Hakim三徴)が特徴です。シャント手術が必要となる場合があります。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
SAH後合併症は時間経過で覚えると整理しやすいです。
時期 主な合併症 看護上の注意点
急性期 (0~3日) 再破裂、脳ヘルニア 絶対安静、血圧管理(収縮期血圧140mmHg以下目標)、鎮静
亜急性期 (3~14日) 遅発性脳血管攣縮 神経症状モニタリング、カルシウム拮抗薬投与、輸液管理(hypervolemia, hemodilution, hypertension: Triple H療法)
慢性期 (14日以降) 正常圧水頭症 歩行・認知機能評価、シャント術の適応判断
概念整理 : くも膜下出血 (SAH) 後の合併症は、病態の進行段階に応じて異なります。亜急性期の遅発性脳血管攣縮は、血管平滑筋の収縮と炎症による血管狭窄 が主因であり、脳虚血を予防するための観察と治療が看護の核心です。
一目で比較! : 脳ヘルニア(急性期・致死的・瞳孔不同・除硬直) vs 遅発性脳血管攣縮(亜急性期・可逆的だが要注意・意識変容・片麻痺) vs 正常圧水頭症(慢性期・三徴候・シャント治療)。
看護過程ポイント : アセスメントではGCS(Glasgow Coma Scale)やJapan Coma Scale、瞳孔径・対光反射、四肢麻痺の有無を頻回に確認。看護診断は「脳組織灌流低下リスク」や「非効果的脳組織灌流」が優先。計画にはバイタルサインと神経サインの定期観察、医師への報告基準(例:意識レベル2段階低下、新たな神経症状出現)の明確化を含めます。
暗記のコツ : 「SAH後3~14日は『攣縮の日々』」と語呂合わせで覚えましょう。数字の「3~14」を「さん(3)・いち(1)・し(4)」→「さんいつしゅく」→「散逸収縮」と連想するのも効果的です。
国試頻出ポイント : SAH後の合併症とその発生時期の組み合わせは、ほぼ毎年出題される重要テーマです。特に「遅発性脳血管攣縮は発症後何日目に注意するか?」という形で頻出します。事例問題では、患者の経過日数に注目して、適切な観察項目や看護介入を選択できるようにしておきましょう。
出題パターン注意! : 単純知識問題(例:「SAH後3~14日に注意すべき合併症は?」)に加え、状況設定問題(例:「SAH発症後7日目の患者に、突然の意識レベル低下と右片麻痺が出現。まず行うべき観察は?」)で応用力が問われます。病態と看護を結びつけて理解することが合格の鍵です。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario) 50代女性、SAH(脳動脈瘤クリッピング術後)でICU入院中。発症後8日目。これまで意識清明(JCS 0)で経過していましたが、夜間の巡視で看護師が「いつもより受け答えが遅く、左腕の挙上が不十分」と気づきました。モニター上のバイタルサインは安定しています。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 最重要! 観察:まず意識レベル(JCS/GCS)を再評価し、瞳孔径・対光反射、四肢の筋力・感覚、言語機能を確認します。同時にバイタルサイン(特に血圧変動)と経皮的脳酸素飽和度(rSO2)をチェックします。 2. アセスメント:SAH後8日目であることから、遅発性脳血管攣縮 による脳虚血の発症を強く疑います。意識レベルの低下や局所神経症状の出現は、DCIの警告サインです。 3. 報告:医師にSBAR(Situation:発症後8日目、新たな意識低下と左片麻痺出現。Background:SAH術後。Assessment:遅発性脳血管攣縮の可能性が高い。Recommendation:緊急CT angiographyと治療開始の検討を依頼)で報告します。 4. 介入:医師の指示に基づき、カルシウム拮抗薬の持続静注を開始、輸液量を増量し血圧維持(収縮期血圧140~160mmHg目標) を図ります。酸素投与も準備します。 5. 評価:神経症状の改善(例:左腕挙上が可能になる)または悪化の有無を継時的に評価し、治療効果を判定します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) - 転倒・転落リスク :神経症状出現時はベッド柵を常時上げ、患者をベッド上で安静に保ちます。 - 誤嚥予防:意識レベル低下に伴い嚥下機能が低下するため、経口摂取を中止し、必要に応じて経鼻胃管を挿入します。 - 家族への説明:急変の可能性と治療方針を分かりやすく伝え、心理的サポートを提供します。
看護プロトコル : ICUでは1時間ごとの神経学的観察(意識レベル、瞳孔、運動機能)と、バイタルサイン(特に血圧)の継続モニタリングが標準プロトコルです。報告は「意識レベルがJCS 0からII-10に低下、左片麻痺出現」など具体的数値で行います。記録には症状出現時刻、経過、対応内容を詳細に記載します。
先輩看護師の一言 : 「SAH後の患者さんは、発症後3~14日目は特に『静かな敵』である血管攣縮に注意が必要です。患者さんが『なんか変』と訴える小さなサインを見逃さず、すぐに報告・対応できる看護師が、脳梗塞を防ぐ最前線のプロです。国試ではこのタイムラインを絶対に覚えてくださいね!」
遅発性脳血管攣縮 (Delayed Cerebral Vasospasm) — くも膜下出血後3~14日目に好発する脳血管の可逆的収縮。オキシヘモグロビンによる平滑筋収縮と炎症が原因で、脳虚血を引き起こす。くも膜下出血 (Subarachnoid Hemorrhage) — クモ膜と軟膜の間(クモ膜下腔)への出血。脳動脈瘤破裂が最多で、突然の激しい頭痛(雷鳴様頭痛)と意識障害を特徴とする。遅発性脳虚血 (Delayed Cerebral Ischemia, DCI) — 遅発性脳血管攣縮によって脳血流が低下し、神経症状が出現する状態。SAH後死亡・後遺症の主要因。Triple H療法 (Hypervolemia, Hemodilution, Hypertension) — 遅発性脳血管攣縮に対する治療法の一つ。循環血液量増加、血液希釈、血圧上昇により脳灌流を改善する。現在はエビデンスの再評価が進む。正常圧水頭症 (Normal Pressure Hydrocephalus) — SAH慢性期の合併症。脳室拡大とHakim三徴(歩行障害、認知症、尿失禁)を呈し、シャント術で改善する。
同じテーマの問題
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。