核心解説
この問題は、
化学療法 (Chemotherapy) を受ける患者における
感染予防策 (Infection Prevention)のタイミングと内容を問うています。化学療法の主な副作用として
骨髄抑制 (Myelosuppression)、特に好中球減少 (Neutropenia) があり、これにより感染リスクが著しく上昇します。看護師は、この病態生理を理解した上で、発症前から予防的に介入することが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ①
白血球数 (WBC count) が低下する前からマスク着用を指導するが正解です。化学療法による好中球減少は、投与後
7~14日目 にナディア(最低値)を迎えます。そのため、
感染リスクが高まる前に予防策を開始することが原則です。マスク着用は飛沫感染や空気感染を予防する基本的な感染対策であり、患者自身の意識づけにもなります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ②
混同注意! 入浴禁止は適切ではありません。清潔保持は感染予防に重要であり、状態が許せば入浴を推奨します。ただし、体温上昇や疲労に注意が必要です。入浴を一律に禁止する必要はありません。
- ③ 生野菜の摂取は、食中毒のリスクを高めるため推奨しません。好中球減少時には、
加熱調理された食品を安全な食事として指導します。生もの(サラダ、刺身、ナチュラルチーズなど)は避けるよう指導します。
- ④ 予防的な抗菌薬内服は、耐性菌 (Drug-resistant bacteria) の問題や、正常細菌叢の乱れによる二次感染(真菌感染など)のリスクがあるため、原則として行いません。感染徴候が出現した場合に、医師の判断で治療的に開始されます。
- ⑤ 手洗い励行は非常に重要ですが、「白血球数が低下したら」ではなく、
治療開始前から継続して実施するよう指導すべきです。タイミングとして適切ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
化学療法中の感染予防策は、標準予防策 (Standard Precautions) に加え、好中球減少時の注意点を理解することが鍵です。好中球数が
500/mm³ 未満 になると重症感染症のリスクが急増します。隔離予防策(個室管理、無菌的病室)の適応や、発熱時の対応(好中球減少性発熱:Febrile Neutropenia, FN)も併せて学習しましょう。
概念整理: 化学療法 →
骨髄抑制(特に好中球減少) → 感染リスク上昇。予防策は「低下する前」から開始し、清潔保持・マスク着用・加熱食指導・面会制限などを行う。
一目で比較!:
| 予防策 | 適切な時期 | 理由 |
| マスク着用 | 治療開始時から | 飛沫・空気感染予防の基本 |
| 手洗い励行 | 治療開始時から | 接触感染予防の基本、継続が重要 |
| 食事指導 | 治療開始時から | 加熱食推奨、生もの禁止(食中毒予防) |
| 入浴 | 状態に応じて許可 | 清潔保持は推奨、疲労や体温に注意 |
看護過程ポイント:
-
アセスメント: 治療スケジュール、WBC・好中球数(特にナディアの時期)、感染徴候(発熱、咳嗽、口腔内潰瘍、皮膚の発赤)を評価。
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看護診断: 「感染リスク状態 (Risk for Infection)」が最優先。
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計画・実施: バイタルサイン測定、マスク・手洗い指導、食事指導、口腔ケア、環境整備。必要時、隔離や面会制限を検討。
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評価: 感染徴候の有無、患者のセルフケア行動の遵守状況を評価。
暗記のコツ: 「
チーム・マスク・手洗い・加熱食!」 化学療法の感染予防は「治療前からチームで」取り組む。マスク着用と手洗い、加熱した食事をセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント: 化学療法の副作用とその看護は毎年出題されます。特に、感染予防策の「タイミング」(低下前から開始する)と「内容」(生もの禁止、予防的抗菌薬はしない)は必須です。また、好中球減少性発熱 (FN) の緊急対応(血液培養採取、広域抗菌薬投与)も頻出です。
出題パターン注意!: 「白血球数が2000/mm³まで低下した患者への指導」という具体的な状況設定問題で、「生野菜サラダの摂取を避けるよう指導する」という選択肢の正誤を問う形で出題されることが多いです。数値が提示されても慌てず、感染リスクが高い状態であることをアセスメントしましょう。