内分泌機能障害のある患者の看護
問題
甲状腺機能低下症の患者の看護で注意すべき症状はどれか。
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1
頻脈性不整脈
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2
発汗過多
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3
体温上昇
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4
粘液水腫性昏睡
✓ 正解
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5
眼球突出
解説
甲状腺機能低下症が重症化すると、意識障害、低体温、徐脈、呼吸不全などを特徴とする粘液水腫性昏睡をきたすことがあり、生命の危険があるため注意が必要である。頻脈、発汗過多、眼球突出は甲状腺機能亢進症の症状である。
詳細解説
核心解説
この問題は、甲状腺機能低下症 (Hypothyroidism)の病態生理と、最重要!生命を脅かす合併症である粘液水腫性昏睡 (Myxedema Coma)の理解を問うています。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン (T3, T4) の分泌が低下することで、全身の代謝が低下する病態です。したがって、代謝が亢進する甲状腺機能亢進症(頻脈、発汗、体温上昇、眼球突出など)の症状とは逆の症状が出現することを押さえる必要があります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、甲状腺機能低下症の重症化サインを看護師が早期に発見できるかどうかです。甲状腺ホルモン低下により、基礎代謝率 (Basal Metabolic Rate, BMR)が著しく低下し、体温調節中枢の機能も低下します。これにより、生命維持に必要な臓器機能が全般的に低下し、最重症例では昏睡状態に至ります。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は④番、粘液水腫性昏睡 (Myxedema Coma)です。これは甲状腺機能低下症の致死的合併症であり、低体温(
臨床シナリオ
臨床実践ガイド
- 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは内科病棟の看護師です。70歳女性、甲状腺機能低下症でレボチロキシンを内服中。先週から感冒症状があり、本日、家族が呼びかけに反応しないため救急搬送されました。来院時、体温34.5℃、血圧80/40mmHg、脈拍48回/分、SpO2 88%(室内気)。顔面と四肢に非圧痕性浮腫(粘液水腫)を認め、意識レベルはJCS III-100(痛み刺激で開眼するが、すぐに閉じる)です。
- 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察: 直ちにバイタルサイン(深部体温含む)、意識レベル、心電図モニター(徐脈、ST変化の有無)、呼吸状態(換気量、呼吸パターン)を評価します。低体温、徐脈、低血圧、意識障害の4徴候は粘液水腫性昏睡を示唆します。
2. 報告 (SBAR): 「S(状況): 70代女性、甲状腺機能低下症の患者さんが意識障害で搬送されました。B(背景): 最近感冒症状があり、内服が中断していた可能性があります。A(アセスメント): 低体温と徐脈、意識障害から粘液水腫性昏睡が疑われます。R(提案): 緊急の甲状腺ホルモン補充と、復温、呼吸循環管理の指示を仰ぎます。」
3. 介入: 医師の指示のもと、気道確保・酸素投与(場合により人工呼吸器管理)、静脈路確保、緩徐な復温(毛布や強制空気加温装置を使用し、1時間に0.5℃を超えない速度で)、輸液(低血圧に対する乳酸リンゲル液など)、甲状腺ホルモン(レボチロキシン)の静脈内投与(経口不可能なため)を行います。
- 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 最重要!急激な復温は血管拡張による相対的低容量性ショックを誘発するため禁忌です。また、甲状腺ホルモン補充は心筋の酸素需要を急増させるため、狭心症や心筋梗塞を誘発するリスクがあります。心電図モニターで虚血性変化を注意深く観察します。
看護プロトコル: 粘液水腫性昏睡が疑われる場合の観察項目は、1) 深部体温(膀胱温・食道温が望ましい)、2) 心電図モニター(徐脈、QT延長、ST変化)、3) 意識レベル(GCS or JCS)、4) 動脈血ガス分析(低換気による高二酸化炭素血症の有無)、5) 血液検査(TSH, FT4, コルチゾール、電解質)です。
先輩看護師の一言: 「甲状腺機能低下症の患者さんが『なんだか元気がないな』『寒がっているな』という時は、まずバイタルサイン、特に体温と脈拍をチェックしてね!低体温が進行すると、意識もどんどん落ちて危険な状態になります。『いつもと違う』という感覚を大事に、早めに医師に報告することが患者さんの命を救います。国試では『亢進症と低下症の症状の対比』が本当に良く出るから、セットでしっかり覚えておこうね!」
重要概念
- 甲状腺機能低下症 — 甲状腺ホルモン (T3, T4) の分泌が低下する病態。全身の代謝が低下し、徐脈、低体温、便秘、無気力などの症状が出現する。
- 粘液水腫性昏睡 — 甲状腺機能低下症の致死的合併症。低体温、徐脈、低血圧、意識障害、呼吸抑制を特徴とし、緊急対応が必要。
- 低体温 — 深部体温が35℃未満の状態。粘液水腫性昏睡では、代謝低下により熱産生が不十分となり、体温調節中枢の機能も低下するため生じる。
- 甲状腺機能亢進症 — 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病態。頻脈、発汗過多、体重減少、眼球突出など、代謝亢進症状が特徴。
- バセドウ病 — 甲状腺機能亢進症の代表的疾患。自己免疫機序により甲状腺刺激抗体 (TSAb) が産生され、甲状腺がびまん性に腫大し、ホルモンを過剰分泌する。
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