核心解説
この問題は、糖尿病患者における
シックデイ(Sick Day)管理の基本を問うています。シックデイとは、感染症や発熱、嘔吐・下痢などの体調不良時を指し、この時期は生体にとって大きなストレスとなります。そのため、
ストレスホルモン(カテコラミン・コルチゾール)の分泌が亢進し、血糖値が上昇しやすくなります。同時に、食欲不振による摂食不足と発熱や下痢による脱水が重なり、
最重要! 糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic Ketoacidosis: DKA)や
高血糖高浸透圧状態(Hyperosmolar Hyperglycemic State: HHS)のリスクが著しく高まります。よって、シックデイ時の管理原則は、「水分補給の励行」「血糖測定の頻回実施」「自己判断での内服薬・インスリンの中止禁止」「早期の医療機関受診」です。本問の正解は、この中の「水分を十分に摂取するよう促す」となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
①
正解 発熱や嘔吐・下痢による脱水を予防・是正し、高血糖に伴う浸透圧利尿による水分喪失を補うために、
水分(経口補水液やスポーツドリンクなど)の十分な摂取が最も重要です。これはDKA/HHS予防の第一歩です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②
混同注意! 症状が軽くても、高血糖やケトーシスが進行している可能性があります。自己判断せず、
早めに医療機関へ連絡・受診することが推奨されます。
③ 経口糖尿病薬は、状況によっては副作用(特にSGLT2阻害薬によるeuglycemic DKA)のリスクや低血糖のリスクが変わるため、
医師の指示に従い調整が必要です。通常通り服用して良いとは限りません。
④ シックデイ時こそ、血糖変動を把握するために
頻回(2~4時間毎)の血糖測定が必須です。測定を不要とするのは誤りです。
⑤
危険な誤り! インスリン依存状態(1型糖尿病など)では、食事が摂れなくてもインスリンは必要です。ケトン体生成を抑制するために、
基礎インスリンは中止せず減量するなど医師の指示に従う必要があります。自己判断での中止はDKAを誘発します。
概念整理: シックデイ管理の三大原則:①こまめな水分補給、②頻回な血糖測定、③自己判断での服薬/インスリン中止禁止。体調不良時のストレスは血糖を上昇させることを必ず理解しましょう。
一目で比較!:
| 状態 | 血糖値 | 水分摂取 | インスリン | 医療機関受診 |
|---|
| 通常時 | 目標範囲 | 適宜 | 処方通り | 定期受診 |
| シックデイ時 | 上昇傾向 | 積極的補給 | 自己判断中止禁止・医師指示に従う | 早めに連絡/受診 |
看護過程ポイント: 【アセスメント】発熱の有無、嘔吐・下痢の程度、経口摂取量、尿量、血糖値、ケトン体の有無を評価。【計画】患者・家族へのシックデイルールの事前教育、緊急時の連絡先確認。【実施】症状出現時の具体的な行動(水分補給量、血糖測定頻度、インスリン調整の指示)を指導。【評価】指導内容の理解度、実際のシックデイ時の行動を確認。
暗記のコツ: 「シックデイは血糖アップ!水分ガブガブ、血糖チクチク、クスリはストップしない!」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 糖尿病患者へのシックデイ指導は頻出テーマです。特に「水分摂取の推奨」と「自己判断での薬剤中止の禁止」はセットで出題されます。また、1型糖尿病ではDKA予防のために基礎インスリンを必ず継続する点が重要です。
出題パターン注意!: 事例問題で「糖尿病患者が風邪をひき、食欲不振で食事が摂れていない。どのような電話相談を行うか?」という形式で出題されることがあります。知識問題だけでなく、状況に応じた具体的な指導内容を問われるので、原理原則を理解しておきましょう。