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栄養代謝機能障害のある患者の看護
炎症性腸疾患 (クローン病) の患者で、狭窄症状による腹痛と通過障害が出現した。この時期の栄養管理として最も適切なのはどれか。
-
1
低残渣食を摂取する
✓ 正解
-
2
低たんぱく食を摂取する
-
3
高カリウム食を摂取する
-
4
高脂肪食を摂取する
-
5
高繊維食を摂取する
解説
クローン病の狭窄症状がある場合、腸管の通過障害を悪化させないために、消化管への負担が少ない低残渣食(食物繊維の少ない食事)が推奨される。高繊維食や高脂肪食は症状を増悪させる可能性がある。
同じテーマの次の問題2型糖尿病でインスリン療法中の50歳男性。血糖コントロールは安定しているが、最近仕事が忙しく食事時間が不規則になっている。低血糖の初期症状を説明する際に、看護師が最も強調すべき内容…この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、クローン病 (Crohn's Disease) の合併症である 腸管狭窄 (Intestinal Stricture) に伴う通過障害が出現した患者に対する栄養管理の選択肢を問うています。クローン病は 炎症性腸疾患 (Inflammatory Bowel Disease, IBD) の一つで、消化管の全層にわたる慢性肉芽腫性炎症を特徴とし、腸管壁の肥厚や瘢痕化により狭窄をきたしやすいのが特徴です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
狭窄により腸管内腔が狭くなり、内容物の通過が妨げられている状態では、腸管への物理的・機械的刺激を最小限に抑えることが最優先となります。正解の 低残渣食 (Low-Residue Diet) は、食物繊維が少なく消化吸収が良いため、腸管内容量を減らし、通過障害を悪化させるリスクを低減します。残渣が少ないことで、狭窄部での嵌頓や閉塞を予防し、腹痛の軽減にもつながります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番以外の選択肢はすべて不適切です。
混同注意! ②番 低たんぱく食 (Low-Protein Diet):クローン病では炎症による消耗や栄養不良が進行しやすいため、むしろ高たんぱく食が推奨されることが多いです。狭窄症状とは直接関係ありません。
③番 高カリウム食 (High-Potassium Diet):カリウムは炎症性腸疾患で下痢などにより喪失しやすい電解質ですが、狭窄症状への栄養管理としての優先度は低く、状態に応じて調整するものです。
④番 高脂肪食 (High-Fat Diet):脂肪の消化吸収には胆汁酸と膵液が必要で、回腸病変や切除後の患者では脂肪吸収障害をきたしやすく、下痢を悪化させる可能性があります。狭窄症状の改善には寄与しません。
⑤番 高繊維食 (High-Fiber Diet):これは禁忌に近い選択肢です。 食物繊維は腸管内で膨潤し、狭窄部での物理的閉塞を引き起こす危険があります。症状を著しく増悪させるため、絶対に選択してはいけません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
クローン病の栄養管理は、病期(活動期 vs 寛解期)や病変部位、合併症の有無により大きく異なります。
- 活動期・狭窄時:腸管安静のため、経腸栄養剤(成分栄養剤)や中心静脈栄養 (TPN) が用いられることもあります。
- 寛解期:バランスの良い食事を基本としつつ、個人の不耐性食品を避けます。
- 混同注意! 狭窄症状がない場合でも、高繊維食や刺激の強い食品は腸管を刺激するため推奨されません。低残渣食はあくまで症状コントロールのための対処法の一つです。
概念整理: クローン病 は消化管全層の炎症により狭窄・瘻孔を形成しやすい。狭窄による通過障害時は 腸管への物理的負担軽減 が最優先となり、低残渣食 または成分栄養による栄養管理が基本となる。
一目で比較!:
| 病態/状態 | 推奨される食事 | 避けるべき食事 |
|---|
| 狭窄・通過障害 | 低残渣食・成分栄養 | 高繊維食・高脂肪食 |
| 活動期(炎症亢進) | 腸管安静(経腸/静脈栄養) | 経口摂取全般(特に高繊維) |
| 寛解期 | バランス食・低脂質 | 個人の不耐性食品・刺激物 |
看護過程ポイント: アセスメント:腹部症状(腹痛の部位・性状、嘔気・嘔吐、排便状況)と栄養状態(体重減少、血清アルブミン値)を評価。看護診断:栄養バランスの変化:必要量以下、または 便秘/腸閉塞リスク。計画:低残渣食の提供と摂取量の記録、症状出現時の観察。実施:食事内容の確認と指導、必要に応じた栄養補助食品の提案。評価:腹痛の軽減、排便の改善、体重維持・増加。
暗記のコツ: 「狭窄 (Stricture)」という言葉を「狭い道」とイメージしましょう。狭い道に大きな荷物(高繊維食)を通そうとすると詰まります。だから、小さな荷物(低残渣食)を選ぶ、と覚えましょう。
国試頻出ポイント: クローン病 と 潰瘍性大腸炎 (Ulcerative Colitis) の比較は頻出。特に合併症(狭窄・瘻孔 vs 中毒性巨大結腸症)と食事療法の違い(クローン病は低残渣食、潰瘍性大腸炎は状況による)はセットで覚える。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「狭窄時はどの食事か」)から、事例問題(「クローン病の患者が腹痛と嘔吐を訴えている。食事内容の確認と指導で適切なのは」)へ発展する。病態を理解した上で、根拠を持って選択できるようにしよう。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)30代女性、クローン病で通院中。最近、食事後に臍周囲の疝痛様腹痛と腹部膨満感が出現し、排便回数が減少。主治医より「狭窄が疑われるので、しばらく低残渣食に切り替えて様子を見ましょう」と指示が出ました。患者さんから「何を食べたらいいですか?サラダや果物はダメですか?」と質問がありました。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察腹痛の程度(Numerical Rating Scale)、腹部の聴診(グル音の亢進/減弱)、排便状況(最終排便、便の性状)、バイタルサイン(発熱の有無)。
- 2アセスメント食事内容の聞き取りを行い、最重要! 現在の食事が高繊維中心(例:全粒粉パン、ごぼうサラダ、納豆)でないか確認。狭窄症状の悪化要因を特定する。
- 3介入患者に低残渣食の具体例を提示(例:白米、うどん、柔らかく煮た野菜(皮をむいたジャガイモ、にんじん)、脂身の少ない魚や鶏肉)。避けるべき食品:玄米、豆類、きのこ類、海藻類、種実類、生野菜、食物繊維の多い果物(パイナップル、ドライフルーツなど)。
- 4患者教育症状が落ち着いたら、管理栄養士と相談の上で徐々に食事を戻すことを説明。自己判断で高繊維食に戻さないよう指導。症状が改善しない場合や増悪した場合は早めに受診するよう伝える。
看護プロトコル: 観察項目:食事摂取量、腹痛・腹部膨満感の程度と持続時間、嘔気・嘔吐の有無、排便回数・性状(特に狭窄が進行すると下痢状になることもある)。報告基準 (SBAR):S(状況):「クローン病の○○さん、狭窄症状が出現し低残渣食を開始しました。」B(背景):「昨日から食事後の腹痛あり。」A(アセスメント):「低残渣食に変更後、症状は軽減傾向。」R(提案):「食事内容の継続で良いか確認したい。」
先輩看護師の一言: 「クローン病の患者さんは、食事制限が続くと『何も食べられない』とストレスを感じることが多いんです。国試では『低残渣食』を選ぶのが正解ですが、現場では『じゃあ具体的に何が食べられるの?』という患者さんの疑問に答えられるよう、食品リストを頭に入れておくと安心ですよ!病態と看護を結びつけて、患者さんのQOLも考えられる看護師になりましょう!」
- クローン病 — 消化管の全層に慢性炎症をきたす原因不明の炎症性腸疾患。狭窄や瘻孔形成を合併しやすい。
- 腸管狭窄 — 腸管壁の肥厚や瘢痕化により内腔が狭くなった状態。通過障害や腹痛を引き起こす。
- 低残渣食 — 食物繊維の含有量が少なく、腸管内での残渣(消化されずに残る成分)が少ない食事。腸管への物理的刺激を減らす。
- 通過障害 — 腸管内腔の狭窄などにより、内容物の通過が妨げられる状態。イレウス(腸閉塞)の原因となる。
- 栄養管理 — 疾患の病態や治療に応じて、適切な栄養素を適切な方法で摂取・投与すること。クローン病では病期や合併症に応じた管理が重要。
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