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栄養代謝機能障害のある患者の看護
インスリン療法中の糖尿病患者が、夕食前に血糖値を測定したところ300mg/dLであった。この患者への対応として最も適切なのはどれか。
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1
インスリン注射器と注射部位を確認するよう指示する
✓ 正解
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2
夕食の炭水化物量を半減するよう指示する
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3
すぐに医師に連絡するよう指示する
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4
運動を30分行ってから血糖値を再測定するよう指示する
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5
夕食のインスリンを追加注射するよう指示する
解説
高血糖の原因として、インスリンの打ち忘れや注射部位の異常(硬結、リポジストロフィーなど)による吸収不良が考えられる。まずは患者のインスリン注射の実施状況と注射部位を確認することが重要である。追加注射や食事調整は、原因が特定された後に医師の指示に基づいて行うべきであり、自己判断は危険である。
同じテーマの次の問題糖尿病の食事療法において、1日の総エネルギー摂取量の設定で最も適切なのはどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、インスリン療法 (Insulin Therapy) 中の糖尿病患者における 高血糖 (Hyperglycemia) 発生時の初期対応 を問うています。血糖値300mg/dLは明らかな高血糖であり、原因として最も頻度が高いのは インスリンの打ち忘れ または 注射部位の問題(硬結・リポジストロフィーなど) によるインスリン吸収不良です。看護師の役割は、まず患者の行動と身体状況をアセスメントし、安全な介入の基盤を築くことです。
1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題のテーマは「高血糖時の看護判断」です。糖尿病患者の高血糖は、インスリン不足、食事量の増加、感染、ストレス、運動不足など様々な要因で生じますが、最も基本的かつ修正可能な原因は インスリン自己管理のエラー です。注射部位の状態(硬結 (Induration) 、リポジストロフィー (Lipodystrophy) 、発赤)の確認は、インスリン吸収不良の有無を判断するための重要なアセスメント項目です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! ①番が正解です。高血糖を認めた際、まず患者に「今日の夕食前インスリンは打ちましたか?」と確認し、打った場合はその注射部位を視診・触診します。これにより、打ち忘れや吸収不良という最も可能性の高い原因を特定できます。原因が不明なまま、次の介入(追加注射や食事調整)を自己判断で行うことは危険です。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意! ②番(食事調整)と⑤番(追加注射)は、医師の指示なしに患者が自己判断で行うと、低血糖(Hypoglycemia)を引き起こす危険性があります。③番(すぐに医師連絡)も、患者の状況(打ち忘れ)が判明すれば看護師が対応できるケースであり、医師連絡はその後の判断です。④番(運動)は、高血糖時に運動をするとケトアシドーシス(DKA)を誘発するリスクがあるため、血糖値がコントロールされている状態でない限り推奨されません。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 糖尿病ケトアシドーシス (DKA) と 高血糖高浸透圧状態 (HHS) の初期症状(口渇、多飲、多尿、倦怠感など)も併せて覚えておきましょう。また、持効型インスリンと超速効型インスリンの作用時間の違いも重要です。
概念整理: 高血糖への対応フローチャート
患者の訴え or 血糖測定値高値 → ①患者への問診(インスリン注射の有無・食事内容・体調変化) → ②注射部位の確認 → ③原因特定 → ④必要に応じて医師報告・指示仰ぐ → ⑤指示に基づき介入(追加注射・食事調整・ケトン体測定など)
一目で比較!:
| 状態 | 高血糖 (Hyperglycemia) | 低血糖 (Hypoglycemia) |
| 主な原因 | インスリン不足 / 食事過多 / 感染 / ストレス | インスリン過剰 / 食事不足 / 運動過多 |
| 症状 | 口渇、多飲、多尿、倦怠感、意識障害(進行時) | 冷汗、動悸、空腹感、手指振戦、意識障害 |
| 緊急対応 | 原因特定 → 医師指示で対応 | 即時糖質補給(ブドウ糖、ジュースなど) |
看護過程ポイント: アセスメント:バイタルサイン、意識レベル、皮膚の乾燥状態、呼吸(Kussmaul呼吸の有無)、口渇の程度、尿量、ケトン体の有無。 看護診断:「高血糖リスク状態」または「非効果的健康管理(糖尿病患者のセルフケアに関連)」。 計画・介入:血糖自己測定(SMBG)の指導、インスリン注射手技・部位ローテーションの再指導、フットケア。
暗記のコツ: 「高血糖=まず『打った?』『どこに打った?』」と覚えましょう! 患者さんの行動確認が全ての基本です。
国試頻出ポイント: 糖尿病看護は毎年必出。特に「高血糖時の対応(本例)」「低血糖時の対応」「インスリン注射の指導(部位ローテーション、冷却保存、混注法)」「シックデイ・ルール」は、事例問題としてもよく出題されます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「血糖値300mg/dL、患者は『夕食前に注射しました』と答えた。あなたはどうする?」という状況設定問題へ発展します。その場合、さらに「注射部位を確認する(正解)」→「硬結を認めた(アセスメント)」→「医師に報告(次の行動)」という流れを問う問題も考えられます。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 50代男性、2型糖尿病でインスリン療法(持効型+超速効型)中の患者が定期受診のため来院。採血結果と共に持参した血糖自己測定(SMBG)記録を見ると、夕食前の血糖値が連日300mg/dL前後と高値です。患者は「毎食前にちゃんと注射してます。食事も気をつけてます。」と話します。看護師として、まず何を確認しますか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察・アセスメント「注射はどのあたりに打っていますか?」と具体的に尋ね、腹部や大腿などの注射部位を実際に見せてもらいましょう。 最重要! 皮下硬結やリポジストロフィーの有無を視診・触診します。患者が毎回同じ部位に注射していないか(部位ローテーションができているか)も確認します。
- 2報告・連携 (SBAR)医師へ報告する際は「Situation(高血糖が続いている)、Background(注射は自己管理している)、Assessment(注射部位に硬結あり、吸収不良が疑われる)、Recommendation(部位ローテーションの再指導と、硬結部位を避けた注射が必要)」の形式で伝えます。
- 3介入・指導患者と一緒に正しい注射手順と部位ローテーションの計画を立てます(例:腹部を4象限に分け、1週間ごとに順番に打つ)。硬結部位は触ると硬く、インスリンが吸収されにくいため、必ず避けるように指導します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 危険! 高血糖が続くと、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)や高血糖高浸透圧状態(HHS)に陥るリスクがあります。感染症の併発にも注意が必要です。
- 禁忌! 硬結部位への注射は絶対に避けてください。吸収不良を助長します。
- 患者の自己管理能力を否定するような言動は避け、共感的な態度で指導することが重要です。 看護プロトコル: 観察項目:血糖値(食前・食後・就寝前)、HbA1c、注射部位の状態、患者の理解度、生活習慣(食事・運動)。報告基準(SBAR):高血糖が続く、注射部位異常あり。記録のポイント:患者の訴え、看護師の観察所見(部位の状態)、指導内容、患者の反応を具体的に記録する。
先輩看護師の一言: 「患者さんは『ちゃんとやってます』と言うけど、『どこに打ってるの?』と聞くと『いつもお腹のここだよ』と答えることがよくあります。部位ローテーションって『毎日同じ場所はダメ』と理解していても、習慣化すると忘れがちなんです。優しく『一緒に注射する場所の計画を立ててみませんか?』と声をかけて、患者さんと一緒に解決策を考えるのが看護師の役目ですよ!」
- インスリン — 膵臓のβ細胞から分泌される血糖降下ホルモン。糖尿病治療に用いられる。
- リポジストロフィー — インスリン注射を同一部位に繰り返し行うことで生じる皮下脂肪組織の萎縮または肥厚。インスリン吸収を阻害する。
- 糖尿病ケトアシドーシス — インスリンが極度に不足した状態で起こる重篤な代謝性アシドーシス。高血糖、ケトン体上昇、代謝性アシドーシスを特徴とする。
- 高血糖高浸透圧状態 — 主に2型糖尿病で生じる重度の高血糖(通常600mg/dL以上)と高度の脱水を特徴とする病態。ケトアシドーシスは伴わないことが多い。
- シックデイ・ルール — 発熱や感染症など体調不良時(シックデイ)の糖尿病自己管理のルール。インスリンを自己判断で中止せず、頻回の血糖測定と水分補給が重要。
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