胸水貯留が疑われる患者のアセスメントとして、打診で得られる所見はどれか。 | MyMerci
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呼吸機能障害のある患者の看護
問題

胸水貯留が疑われる患者のアセスメントとして、打診で得られる所見はどれか。

解説
胸水が貯留した部位を打診すると、液体により音が減弱するため、濁音を呈する。鼓音は気胸などの場合に聴取され、共鳴音は正常肺の打診音である。金属音は肺の空洞性病変などで聴取されることがある。
同じテーマの次の問題呼吸困難を訴える患者のアセスメントで、呼吸補助筋の使用を評価する際に最も適切な観察部位はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、胸水貯留 (Pleural Effusion) が疑われる患者の身体アセスメント、特に打診所見に関する知識を問うています。打診 (Percussion) は、肺や胸腔内の空気・液体・固体の比率を評価するための基本的かつ重要な看護技術です。病態生理学的に、胸水が貯留すると、胸腔内の空気が液体に置き換わるため、音の伝導性が変化します。正常な含気肺では共鳴音が聴取されますが、液体は固体に近い密度を持つため、振動が減弱し、濁音 (Dullness) を呈します。この原理を理解することが、呼吸器系アセスメントの根幹です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 胸水貯留による打診所見は 最重要! 濁音 (Dullness) です。胸水は液体であり、肺胞内の空気に比べて密度が高く、音の振動を減衰させるため、打診すると鈍く短い音(濁音)が聴取されます。これは、肺炎や肺水腫など、肺実質の含気量が減少する病態でも同様の所見が得られます。胸水の量が多くなると、さらに強い抵抗感のある 絶対濁音 (Flatness) に変化することもあります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! - 気管音 (Bronchial Breath Sound)(①番): これは打診音ではなく、聴診 (Auscultation) で聴取される呼吸音の一種です。気管や太い気管支の上で聴かれる、吸気と呼気の間に切れ目のない、高調で荒い音です。胸水の有無にかかわらず、気管領域で聴取される正常所見です。 - 鼓音 (Tympany)(②番): 混同注意! これは、気胸 (Pneumothorax)大きな肺胞 (Large Bulla) など、胸腔内に異常に多くの空気が貯留した場合に聴取される、ドラムのような共鳴する音です。胸水とは正反対の病態です。 - 共鳴音 (Resonance)(④番): これは、正常な含気肺を打診した際に聴取される、低く長く響く音です。胸水のように液体が貯留すると、この音は減弱し濁音に変わります。 - 金属音 (Metallic Sound)(⑤番): これは、比較的まれな所見で、大きな空洞性病変(例:結核性空洞 (Tuberculous Cavity))や 緊張性気胸 (Tension Pneumothorax) などで聴取されることがある、金属的な高調音です。胸水とは関連が低いです。 関連概念の整理 (Related Concepts) 打診音の種類と病態をまとめると以下の通りです。
打診音性質代表的病態
共鳴音低く長い正常肺
濁音鈍く短い胸水、肺炎、肺腫瘍、肺水腫
絶対濁音非常に鈍く抵抗感あり大量胸水、無気肺
鼓音共鳴性でドラム様気胸、大きな肺胞
金属音高調で金属的緊張性気胸、大きな空洞

概念整理: 打診音は、組織の密度(空気 vs 液体 vs 固体)によって変化します。含気量が多いほど共鳴性が高く(鼓音)、液体や固体が増えるほど音は減弱し鈍くなります(濁音→絶対濁音)。胸水は「液体」の貯留であるため、「濁音」が基本所見です。
一目で比較!: 混同注意! 胸水(濁音) vs 気胸(鼓音)は、よく比較される代表的なペアです。胸部エックス線写真(Chest X-ray)では、胸水は 水平性の陰影(ダグラス嚢の鈍化)、気胸は 肺の虚脱と visceral pleural line として描出されます。画像所見と打診所見をセットで覚えると良いです。
看護過程ポイント: アセスメント: 胸水が疑われる患者のアセスメントでは、まず視診(呼吸数、呼吸パターン、胸郭の動きの左右差)、触診(声音振盪 (Tactile Fremitus)の減弱※液体は振動を伝えにくい)、打診(濁音)、聴診(呼吸音の減弱または消失)を系統的に行います。看護診断: 「非効果的呼吸パターン」や「ガス交換障害」が優先されます。介入: 医師の指示に基づき、胸腔穿刺 (Thoracentesis)胸腔ドレナージ (Chest Drainage) の準備と介助、および患者の体位管理(座位または患側を下にした側臥位)を行います。
暗記のコツ: 「水(胸水)は音を吸収する → 濁る(濁音)」と覚えましょう。「空気(気胸)は音を共鳴させる → 太鼓のように鳴る(鼓音)」です。ゴロ合わせとして「水は濁る、空気は太鼓」が有名です。
国試頻出ポイント: 打診音の種類と代表的病態の組み合わせは、ほぼ毎年どこかの科目で出題されます。特に「胸水=濁音」「気胸=鼓音」の組み合わせは超頻出です。状況設定問題(事例問題)では、「患者の呼吸状態が悪化し、打診で左胸部に濁音が聴取された。考えられる状態はどれか。」といった形で出題されます。画像所見と合わせて確実に覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「胸水の打診音は?」)から、発展して「打診で濁音が聴取された患者の看護で適切なのはどれか?」という介入問題や、「打診と聴診の所見から肺と胸腔の病態を統合的にアセスメントする」高難易度問題に注意しましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは呼吸器内科病棟の新人看護師です。70代男性、肺癌による右胸水貯留が疑われる患者が入院してきました。患者は呼吸困難感(Dyspnea)を訴え、座位を好んでいます。受け持ち看護師として、身体アセスメントの一環で打診を行います。どのような手順で実施し、何を評価しますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 準備と説明: 患者に「これから背中を軽く叩いて胸の音を聴きますね」と説明し、上半身を少し前傾させるか、側臥位になってもらいます。 2. 打診の実施: 左手中指(圧抵指 (Pleximeter))を患者の背部に密着させ、その上を右手の中指(打診指 (Plexor))で手首のスナップを利かせて2回続けて軽く打診します。左右対称に、上から下へと肋骨に沿って移動しながら打診します。 3. アセスメント: 正常であれば共鳴音が聴かれる領域で、濁音が聴取されました。さらに、声音振盪 (Tactile Fremitus) の減弱も確認します(胸水は振動を伝えにくいため)。胸水のレベルは、濁音から共鳴音に変わる境界(水平線)で推定できます。これは 最重要! ダグラス線 (Damoiseau's line) と呼ばれることもあります。 4. 報告と連携: 得られた所見(右背部で濁音あり、呼吸音減弱)を医師に SBAR で報告します。「S: 70代男性、右胸水が疑われる患者です。B: 肺癌の既往があり、呼吸困難が増強しています。A: 右背部打診で濁音を認め、呼吸音は減弱しています。SpO2は97%ですが、呼吸数が28回/分と頻呼吸です。R: 胸腔穿刺の適応判断と、酸素投与の指示をいただきたいです。」 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 禁忌: 打診は侵襲のない安全な技術ですが、肋骨骨折や皮膚の熱傷、外傷部位の打診は避けてください。 - 注意: 胸水が大量にある患者では、呼吸困難 (Dyspnea) が強く、仰臥位を取れない場合があります。無理に仰臥位にせず、座位や半座位で打診を行いましょう。 - 医療安全: 打診の結果だけで診断は確定しません。必ず聴診所見、胸部エックス線、CT、エコーなどの画像所見と合わせて総合的に判断します。 看護プロトコル: - 観察項目: 呼吸数、呼吸パターン(努力呼吸、補助呼吸筋の使用)、SpO2、胸郭の動きの左右差、打診音の変化(経時的に評価)、咳嗽の有無、喀痰の性状。 - 報告基準 (SBAR): 状況 (S) → 背景 (B) → アセスメント (A) → 提案/指示依頼 (R)。 - 記録のポイント: 打診を行った部位(例:右背部第7肋間以下)、聴取された打診音の種類(濁音)、呼吸音の性状(減弱)、患者の反応(苦痛の有無)を客観的に記載する。 先輩看護師の一言 「打診はベテラン看護師でも意外と苦手にしている技術の一つです。でも、聴診や画像に頼る前に、自分の手と耳で患者さんの身体の情報を得ることは、アセスメントの基本中の基本!最初は音の違いが分かりにくいかもしれませんが、正常な肺の共鳴音を何度も聴いて基準を身につけましょう。特に『濁音』と『鼓音』は、呼吸器の緊急度判断に直結する重要な所見です。国試でも現場でも、この2つは絶対に間違えないでくださいね!」

重要概念

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