核心解説
この問題は、
肺塞栓症 (Pulmonary Embolism: PE) の診断に重要な「3徴候」を問うています。肺塞栓症は、
深部静脈血栓症 (Deep Vein Thrombosis: DVT) が血流に乗って肺動脈を閉塞させる病態です。閉塞により肺循環が障害され、換気血流比の不均衡が生じることで、特徴的な症状が出現します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 肺塞栓症の古典的な3徴候は、
呼吸困難 (Dyspnea)、
胸痛 (Chest Pain)、
血痰 (Hemoptysis) です。このうち、突然発症する呼吸困難と胸痛は最も頻度が高く、特徴的な症状です。⑤番の「胸痛と呼吸困難」は、この3徴候のうち2つを含んでおり、肺塞栓症を疑う上で最も重要な組み合わせです。病態生理的には、肺動脈閉塞による肺梗塞と、それに伴う胸膜刺激が胸痛を、ガス交換障害が呼吸困難を引き起こします。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番の「頭痛とめまい」は、脳血管障害や全身性の低酸素血症で生じることがありますが、肺塞栓症の初期診断における特徴的症状ではありません。
②番の「発熱と咳嗽」は、肺炎や気管支炎などの感染症で多く見られる症状です。肺塞栓症でも肺梗塞に伴う炎症で微熱が出ることはありますが、初発かつ特徴的な症状ではありません。
③番の「腹痛と嘔吐」は、消化器系の疾患を示唆する症状であり、肺塞栓症の直接的な症状とは言えません。
④番の「背部痛と血痰」は、血痰は3徴候の一つですが、背部痛は解離性大動脈瘤などの疾患でより特徴的です。肺塞栓症の胸痛は胸膜性の痛みであることが多く、背部痛が前面に出ることは稀です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
肺塞栓症の重症度分類(Massive, Submassive, Low-risk)や、診断における
D-ダイマー (D-dimer)検査、造影CTの役割も併せて学習しましょう。また、予防策としての
弾性ストッキング (Elastic Stockings) や間欠的空気圧迫装置 (IPC)、抗凝固療法の知識も国試頻出です。
概念整理: 肺塞栓症 (PE) は、静脈系(主に下肢)の血栓(DVT)が肺動脈を閉塞する疾患。3徴候は「呼吸困難」「胸痛」「血痰」。
一目で比較!:
| 疾患 | 主要症状 |
|---|
| 肺塞栓症 (PE) | 突然の呼吸困難、胸痛、血痰 |
| 急性心筋梗塞 (AMI) | 持続性胸痛、冷汗、呼吸困難 |
| 気胸 | 突然の胸痛、呼吸困難、呼吸音減弱 |
| 肺炎 | 発熱、咳嗽、喀痰、呼吸困難 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 突然発症の呼吸困難と胸痛、リスク因子(長期臥床、術後、悪性腫瘍、経口避妊薬)を確認。バイタルサイン(SpO2低下、頻呼吸、頻脈)をモニタリング。
看護診断: ガス交換障害、急性疼痛、不安。
計画・介入: 酸素投与、安静維持、疼痛緩和、医師への迅速な報告。
暗記のコツ: 「PEの3徴候=Dyspnea, Chest pain, Hemoptysis」と覚え、特に「突然の呼吸困難+胸痛」はPEを強く疑うサインとイメージしましょう。
国試頻出ポイント: 肺塞栓症の症状を問う問題は非常に頻出です。誤答選択肢には「発熱」「咳嗽」など感染症の症状が混ぜられやすいので注意。また、予防(術後早期離床、フットポンプ)もセットで出題されます。
出題パターン注意!: 「術後5日目の患者が突然呼吸困難と胸痛を訴えた」という状況設定問題で、肺塞栓症を疑うアセスメントと優先する看護介入(酸素投与、座位保持、医師への報告)を問われます。