核心解説
この問題は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患患者の
呼吸困難 (Dyspnea) を評価するための
modified Medical Research Council (mMRC) 息切れスケール の各グレードの内容を問うています。
mMRCスケールは、患者の主観的な息切れの程度を日常生活動作(ADL)の制限という観点から客観的に評価するための簡便な尺度で、
治療効果の判定や予後予測、リハビリテーションの目標設定に広く用いられます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
グレード2は「
息切れのため、自分のペースで歩くか、時々立ち止まらなければならない」と定義されています。これは「平坦な道」において、同年代の人と同じペースで歩き続けることが困難になり、速度を落とすか休憩が必要になる状態を指します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番「激しい運動をした時だけ息切れがある」:
混同注意! これは
グレード0 の定義です。日常生活には全く支障がなく、階段を駆け上がるなどの強い負荷でのみ症状が出る状態です。
②番「約100m歩く、または数分歩くと息切れのため立ち止まる」:
混同注意! これは
グレード3 の定義です。グレード2よりさらに進行し、ごく短い距離や時間で立ち止まらざるを得なくなります。
④番「息切れがひどく、家から出られない」:
混同注意! これは
グレード4 の定義です。最重症で、着替えや洗面などの軽い動作でも息切れが生じ、外出自体が困難になります。
⑤番「平坦な道を歩く時、同年代の人より息切れがある」:
混同注意! これは
グレード1 の定義です。自分のペースなら歩けるが、同じ年齢の健康な人と比べると息切れしやすい状態です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
mMRCスケール(0-4)は患者の主観的評価であるのに対し、
6分間歩行試験 (6MWT) は客観的な運動耐容能の評価法です。両者を組み合わせて総合的に評価します。また、COPDの重症度分類(GOLD分類)では、mMRCスケールと
COPD Assessment Test (CAT) スコアを組み合わせて症状評価を行います(mMRC 0-1: 症状少ない群、mMRC 2以上: 症状多い群)。
概念整理:
mMRC息切れスケール は0から4の5段階。グレードが上がるほどADL制限が強い。0: 激しい運動のみ、1: 平坦な道で同年代より息切れ、2: 自分のペースで歩く/時々立ち止まる、3: 100m程度/数分で立ち止まる、4: 家から出られない/着替えでも息切れ。
一目で比較!:
| 評価尺度 | 特徴 |
|---|
| mMRC息切れスケール | 主観的ADL制限の評価 (0-4) |
| 6分間歩行試験 (6MWT) | 客観的運動耐容能評価 (歩行距離) |
| Borgスケール | 自覚的運動強度・呼吸困難感 (0-10) |
| CATスコア | 包括的QOL評価 (0-40) |
看護過程ポイント:
アセスメント: mMRCグレード2以上で、患者のADL制限が明らか。酸素療法や呼吸リハビリテーションの適応評価に用いる。
計画: グレードに応じた活動目標設定(例: グレード2なら、歩行時の休憩挿入指導)。
実施: 患者自身に現在のグレードを説明し、自己管理を促す。
評価: 治療介入後にグレードが改善したかを確認。
暗記のコツ: 「0から4の階段をイメージ」0は「全く問題なし(0点)」→ 1は「同年代より少し息切れ(1点)」→ 2は「自分のペースで歩く(2点)」→ 3は「100mで止まる(3点)」→ 4は「家から出られない(4点)」と、数字とADL制限の程度を結びつけて覚えましょう。
国試頻出ポイント: mMRCの各グレードの定義を具体的な動作と共に問う問題は頻出。特に「グレード1(同年代より息切れ)」と「グレード2(自分のペース)」の違い、「グレード3(100mで停止)」は出題されやすい。
出題パターン注意!: 単独の定義問題だけでなく、COPDの事例問題で「この患者のmMRCグレードはいくつか?」と評価させた後、「次の看護介入として優先すべきはどれか?」と発展させるパターンが典型例。