脳血管障害による右片麻痺と感覚障害がある70歳の女性患者が、リハビリテーション病棟に入院して1か月が経過した。患者は「こ… | MyMerci
MyMerci — 問題も詳しい解説もすべて無料 無料で始める
リハビリテーション看護
問題

脳血管障害による右片麻痺と感覚障害がある70歳の女性患者が、リハビリテーション病棟に入院して1か月が経過した。患者は「この腕はもう私のものではない」と発言し、麻痺側の上肢を無視する行動がみられる。この状態を表す用語として最も適切なのはどれか。

解説
身体失認(身体像の障害)は、自己の身体部位に対する認識が障害され、麻痺側の四肢を自分のものとして認識できなくなる状態である。病態失認は自分の病気や障害を認識できない状態であり、半側空間無視は障害と反対側の空間にあるものに対する注意が向けられなくなる状態である。本患者は麻痺側上肢を「私のものではない」と発言しており、身体失認に該当する。
同じテーマの次の問題脳卒中により左片麻痺と失語症を呈した65歳の男性患者が、リハビリテーション開始から2週間経過したが、訓練に対して消極的で「もう元のようには動けない」と発言することが多い。この患者の…

詳細解説

核心解説 この問題は、脳血管障害 (Cerebrovascular Accident, CVA) 後に生じる高次脳機能障害のうち、特に身体像の障害 (Disorder of Body Schema) に関する知識を問うています。患者さんの「この腕はもう私のものではない」という発言は、自己の身体部位に対する認識が障害されている典型的な症状です。この病態を正しく理解するためには、類似する高次脳機能障害(半側空間無視、病態失認、失認症、失行症)との鑑別が重要です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 患者さんの発言「この腕はもう私のものではない」は、自己の身体部位を自分のものとして認識できない状態 を指します。これは 身体失認 (Asomatognosia / Autotopagnosia) と呼ばれる高次脳機能障害です。身体失認は、身体像の障害 の一種であり、特に脳血管障害(多くは右半球損傷)後に、麻痺側の四肢(特に左上肢)を「自分のものではない」「他人の腕がくっついている」と訴える症状が特徴的です。病態としては、頭頂葉 (Parietal Lobe) の損傷が関与するとされています。看護師は、この症状を理解した上で、患者の混乱を否定せず、安全に配慮したケア(例:麻痺側への声かけ、危険のない環境調整)を提供する必要があります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - ①番 半側空間無視 (Unilateral Spatial Neglect): 混同注意! これは、障害(多くは右半球)と反対側(左側)の空間にある人や物に対して注意が向けられず、認識・反応できない状態です。患者は左側の食べ物を食べ残したり、左側からの呼びかけに反応しなかったりします。本症例のように、自己の身体部位に対する認識障害ではなく、あくまで空間への注意障害である点が異なります。 - ②番 病態失認 (Anosognosia): 混同注意! これは、自分の病気や障害(麻痺など)の存在を認識できない状態です。患者は麻痺があるにもかかわらず「私は元気だ、歩ける」と言い、リハビリに非協力的になることがあります。身体失認と合併することも多いですが、本症例では麻痺の存在を否定しているのではなく、麻痺した腕を「自分のものではない」と認識している点が異なります。 - ④番 失認症 (Agnosia): 失認症 は、感覚機能(視覚、聴覚、触覚など)は保たれているにもかかわらず、対象物を認識できない状態の総称です。身体失認(身体部位の認識障害)も失認症の一種ですが、本問題では最も具体的で適切な用語である「身体失認」を選ぶ必要があります。 - ⑤番 失行症 (Apraxia): 失行症 は、運動機能や協調運動に問題がないにもかかわらず、意図した動作や行為を遂行できない状態です。例えば「歯を磨いてください」と言われても、歯ブラシの使い方がわからないなどが該当します。身体認識の障害ではないため、本症例には該当しません。 関連概念の整理 (Related Concepts) 高次脳機能障害の鑑別は国試頻出です。以下の表で整理しておきましょう。
用語障害内容患者の言動例
身体失認自己の身体部位の認識障害「この手は私のじゃない」
病態失認病気や障害の認識障害「私はどこも悪くない」
半側空間無視反対側空間への注意障害「左側の食べ物に気づかない」
概念整理: 高次脳機能障害は、損傷部位と症状を関連付けて覚えましょう。特に 頭頂葉 (Parietal Lobe) 障害では、身体失認、病態失認、半側空間無視、失行、失語など多彩な症状が出現します。問題文のキーワード「私のものではない」は身体失認の決め手です。
一目で比較!: 最重要比較! 「病態失認」と「身体失認」は混同しやすいです。病態失認は「病気の存在」を否認し、身体失認は「麻痺した部位」が自分のものと認識できない点が決定的な違いです。本症例では、麻痺を否定するのではなく、腕が自分のものではないと発言しているため身体失認です。
看護過程ポイント: アセスメント: 患者の発言内容(否認か、身体部位の否定か)を正確に観察・記録する。麻痺側の安全(ベッド柵への挟み込み、転落)に注意。看護診断 (Nursing Diagnosis): 身体像混乱 (Disturbed Body Image)転落リスク状態 (Risk for Falls)計画・介入: 患者の認識を否定せず、共感的に関わる。麻痺側の安全を確保し、危険が及ばないよう環境を整える。リハビリテーションスタッフと連携し、麻痺側への注意を促す介入(鏡療法など)を検討する。
暗記のコツ: 「身体失認 = 自分の身体が認識できない = 私のものじゃない」とセットで覚えましょう。語呂合わせ:「身体われてめない(身体失認)→ 自分の腕を他人のものと言う」。
国試頻出ポイント: 高次脳機能障害は、具体的な事例文で出題されることが多いです。問題文の「患者の言葉」を正確に読み解き、どの症状に該当するかを判断できるようにしておきましょう。特に「病態失認」「身体失認」「半側空間無視」の3つは、事例形式での出題頻度が非常に高いです。
出題パターン注意!: 単純な用語の定義問題に加え、「患者にどのような看護介入が優先されるか」といった応用問題にも発展します。例えば、身体失認の患者への対応として、麻痺側の安全確保が最優先されることを理解しておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 右片麻痺の70代女性が、リハビリ病棟でベッド上安静中です。夜勤帯に訪室すると、患者が麻痺している左上肢を「誰の手だ!どけてくれ!」と叫びながら、健常な右手でつねったり、叩いたりしている場面に遭遇しました。あなたはどのように対応しますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: まず、患者が自分自身を傷つけていないか(皮膚の損傷、打撲の有無)を確認します。次に、患者の興奮状態を落ち着かせるために、患者の視野に入る位置(右側)から、穏やかな声で話しかけます。 2. 介入: 患者の認識を否定せず、「その腕はあなたのものですよ」と事実を伝えるだけでは混乱を強める可能性があります。まずは患者の気持ちに寄り添い「気持ち悪いですよね、怖いですよね」と共感を示します。最重要! 安全を最優先に、麻痺側の上肢が患者自身で叩いたりつねったりできないように、タオルやクッションを挟む、または軽くガーゼで保護するなどの対応をします。ベッド柵と腕の間に隙間がないか確認し、挟み込みを予防します。 3. 報告と評価: 日中のリハビリテーション担当者や医師に、この症状(身体失認)と患者の安全に関する行動(自己損傷のリスク)を SBAR で報告し、ケア計画の見直しを提案します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 警告! 患者は麻痺側を自分のものと認識していないため、無意識にその部位をベッド柠にぶつけたり、健側で引っかいたりする可能性が高く、皮膚損傷や外傷のリスク が非常に高いです。また、ベッドからの転落にも注意が必要です。安易に抑制帯を使用する前に、環境調整(クッションの設置、ポジショニング)を優先しましょう。 看護プロトコル: 観察項目は「麻痺側の皮膚の状態」「患者の発言内容と行動(麻痺側への態度)」「患者の興奮レベル」。報告基準(SBAR)は「状況(S): 身体失認による興奮と自己損傷リスク」「背景(B): 脳血管障害後右片麻痺」「アセスメント(A): 麻痺側への自己攻撃行動がみられる」「提案(R): 麻痺側の保護と環境調整、必要時鎮静の検討」。
先輩看護師の一言: 「身体失認の患者さんは、自分でも何が起きているかわからず怖がっています。『違いますよ』と否定するよりも、まずは患者さんの『怖い』という気持ちを受け止めてあげてください。そして、何より安全第一!麻痺側を守ってあげるのが私たち看護師の役目です。国試でも、患者さんの言葉から症状を読み取り、次に何をすべきか(安全を守る)を考えられるようになりましょう!」

重要概念

成人看護学 800 問 · ログイン不要

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。