核心解説
この問題は、
活動耐性 (Activity Tolerance) の評価指標を問うています。活動耐性とは、身体活動を持続できる能力のことです。評価の基本は、活動負荷に対する身体の反応(特に心肺機能の応答)を観察することにあります。
活動に伴う酸素需要の増加に応じて、呼吸数 (Respiratory Rate) と心拍数 (Heart Rate) が上昇し、血圧 (Blood Pressure) も変動します。これらの変化を安静時と比較することで、患者の活動耐性を客観的に評価します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ③呼吸数 が最も適切です。活動に伴う身体の酸素需要増加に対して、生体はまず換気量を増やして対応します。そのため、
呼吸数の変化は活動負荷に対する最も直接的で鋭敏な指標の一つです。例えば、階段昇降や歩行後に呼吸数が安静時よりどの程度上昇し、それがどのくらいで安静時に戻るか(回復時間)を観察することで、活動耐性を評価します。看護師は「
修正Borgスケール (Modified Borg Scale)」なども併用し、呼吸困難感(自覚症状)と呼吸数(他覚的指標)を合わせて評価します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
血圧:活動耐性評価の指標の一つですが、呼吸数や心拍数ほど活動負荷に鋭敏に反応するわけではありません。急激な血圧上昇や下降は異常反応として重要ですが、軽度の活動では変動が小さいため、単独の指標としては不十分です。むしろ、
混同注意! 起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension) の評価などに用いられます。
②
体温:感染症や発熱の有無の指標であり、活動耐性の直接的評価には用いません。発熱時は代謝が亢進し活動耐性が低下しますが、活動自体の評価指標ではありません。
④
睡眠時間:休息の質や量を示す指標であり、活動耐性の評価とは直接関係しません。睡眠不足は活動耐性低下の原因にはなりますが、評価指標ではありません。
⑤
食欲:全身状態や栄養状態、心理状態の指標であり、活動耐性の評価とは直接関連しません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
活動耐性評価の重要な指標として、呼吸数と心拍数は「
バイタルサイン (Vital Signs)」の中でも特に活動負荷に反応します。また、
SpO2(経皮的酸素飽和度)の変動も重要な指標です。これらの指標と共に、
自覚症状(息切れ、疲労感、動悸)を聴取することが、看護アセスメントの基本です。活動耐性を評価する代表的な検査として、
6分間歩行試験 (6-minute walk test) があります。
概念整理:
活動耐性 (Activity Tolerance) = 活動負荷に対する心肺機能の予備能。評価指標は
呼吸数、心拍数、血圧、SpO2、自覚症状(息切れ・疲労感)。安静時値と活動後値の比較、回復時間の測定が重要。
一目で比較!:
| 指標 | 活動耐性評価での役割 | 特記事項 |
|---|
| 呼吸数 | 最も鋭敏で直接的な指標 | 活動負荷に即座に反応 |
| 心拍数 | 非常に重要な指標 | 心肺機能の予備能を反映 |
| 血圧 | 補助的指標 | 急激な変動は異常反応 |
| SpO2 | 重要な指標 | 酸素化能の低下を検出 |
| 体温・睡眠・食欲 | 間接的要因 | 活動耐性低下の原因評価に使用 |
看護過程ポイント:
-
アセスメント: 安静時バイタルサイン測定 → 活動負荷(例: 歩行、階段昇降)後すぐに再測定 → 活動中の自覚症状聴取 → 回復時間(安静時値に戻るまでの時間)の計測。
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看護診断 (Nursing Diagnosis): 「活動耐性低下 (Decreased Activity Tolerance)」が該当。
-
計画・介入: 活動と休息のバランス調整、エネルギー節約法の指導(例: 座位で行う動作、動作の優先順位付け)、環境調整。
-
評価: 活動後のバイタルサイン変動幅の減少、自覚症状の軽減、活動時間の延長。
暗記のコツ: 「活動耐性を見るなら、
呼吸(Respiratory)と
拍動(Pulse)!」と覚えましょう。活動=酸素需要増加=呼吸数と心拍数が上がる、という生理学的な流れをイメージすると、指標が自然に頭に入ります。
国試頻出ポイント: 活動耐性低下の原因(心不全、COPD、貧血、加齢、安静臥床後など)と組み合わせた出題や、具体的な活動負荷試験(例: 6分間歩行試験、シャトルウォーキングテスト)の概要、看護介入(エネルギー節約法、環境調整)に関する問題が頻出です。事例問題で、患者の活動後の症状から評価する問題もよく出ます。
出題パターン注意!: 単純な「指標はどれか」に加え、「活動耐性低下の患者に行う介入として適切なのはどれか」「活動後の呼吸数が〇〇回/分の場合の評価」など、数値や事例を含めた応用問題にも対応できるようにしておきましょう。