核心解説
この問題は、
日常生活動作 (Activities of Daily Living: ADL) の評価尺度である
バーセルインデックス (Barthel Index)の構成項目を問うています。看護師国家試験では、ADL評価尺度と手段的日常生活動作 (IADL) 評価尺度の混同が頻出のポイントです。バーセルインデックスは、基本的ADL (Basic ADL: BADL) を評価するための代表的な指標であり、排泄に関する項目として「排便コントロール」と「排尿コントロール」が含まれます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は②番の「排便コントロール」です。
バーセルインデックスは、10項目(食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロール)で構成されており、
排泄の自立度を評価するために「排便コントロール」と「排尿コントロール」が含まれています。これは、患者が便意を感じてからトイレで排泄するまでの一連の動作(コントロールと処理)が自立しているかを評価するための重要な項目です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①金銭管理と⑤買い物は、
手段的日常生活動作 (Instrumental Activities of Daily Living: IADL) に分類されます。IADLは、より複雑な社会生活的な活動を指し、
老研式活動能力指標 (TMIG-IC) や
Frenchay Activities Index (FAI)などで評価されます。
混同注意! ③階段昇降と④整容(洗面、歯磨き、整髪など)は、確かにバーセルインデックスの評価項目に含まれます。しかし、問題文は「
排泄の自立度を評価する際に、バーセルインデックスで評価される項目」と限定しています。排泄の自立度に直接関係するのは「排便コントロール」と「排尿コントロール」の2項目です。階段昇降や整容は、排泄とは直接関係のないADL項目です。問題の条件を正確に読むことが重要です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ADL評価尺度とIADL評価尺度の分類を整理しましょう。
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基本的ADL (BADL) 評価尺度:
バーセルインデックス (Barthel Index)、
機能的自立度評価法 (FIM)、
Katz Index
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手段的ADL (IADL) 評価尺度:
老研式活動能力指標 (TMIG-IC)、
Frenchay Activities Index (FAI)、
LawtonのIADL尺度
バーセルインデックスは「できるADL(能力)」を評価するのに対し、FIMは「しているADL(実際の遂行状況)」と介助量を評価する点も国試ではよく比較されます。
概念整理:
バーセルインデックス (Barthel Index)は、
基本的ADL (BADL)の評価尺度です。10項目の評価項目(食事、車椅子からベッドへの移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロール)で構成され、各項目の自立度を0点、5点、10点、15点で採点し、合計点(満点100点)でADLの自立度を評価します。特に排泄関連項目は、患者の尊厳とQOLに直結するため、看護アセスメントでは重要な観点です。
一目で比較!:
| 評価尺度 | 分類 | 評価項目の例 |
|---|
| バーセルインデックス | 基本的ADL (BADL) | 食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロール |
| 老研式活動能力指標 | 手段的ADL (IADL) | 公共交通機関の利用、買い物、食事の準備、金銭管理、書類の記入、新聞を読む、健康への関心、友人訪問 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 排泄の自立度を評価する際は、バーセルインデックスの「排便コントロール」「排尿コントロール」の点数だけでなく、トイレ動作(移乗、更衣、後始末)の点数も合わせて総合的に解釈します。
看護診断: 点数が低い場合は「
排泄パターン変化 (Bowel Incontinence / Urinary Incontinence)」や「
セルフケア不足 (Toileting Self-Care Deficit)」が該当します。
計画・実施: 評価に基づき、ポータブルトイレの導入、排泄ケアのタイミング調整、環境整備(手すりの設置など)を計画します。
評価: 介入後に再度バーセルインデックスを評価し、点数が改善しているかを確認します。
暗記のコツ: バーセルインデックスは「
バ(バ)・セ(セルフケア)・イ(イ)・ン(日常生活)・デ(デキル?)・ッ(と)・ク(9)・ス(10)」と覚える方法があります。また、10項目の頭文字を「食・移・整・ト・入・歩・階・更・排・排」と覚えると良いでしょう。
国試頻出ポイント: バーセルインデックスの評価項目の具体的名称(特に「整容」が含まれること、「階段昇降」が含まれること)と、IADL尺度(老研式活動能力指標、Lawton尺度)の評価項目との混合を防ぐ問題が頻出です。また、バーセルインデックスとFIMの違いもよく問われます。
出題パターン注意!: 単純な「バーセルインデックスの評価項目はどれか」という知識問題に加えて、「脳卒中後の患者のADL評価にバーセルインデックスを用いた。この評価項目に含まれないのはどれか」という消去法の問題や、「退院支援のためにADL評価を行った結果、排便コントロールが5点だった。看護師のアセスメントとして適切なのはどれか」という応用問題も出題されます。