寝たきりの高齢者に対する臥位での排泄介助で、誤っているのはどれか。 | MyMerci
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基本的日常生活援助技術
問題

寝たきりの高齢者に対する臥位での排泄介助で、誤っているのはどれか。

解説
便器挿入後は患者の体位を無理に固定する必要はなく、患者の安楽な体位を保持することが重要である。また、排泄を促すために上半身を少し起こすなど、体位調整を行うこともある。他の選択肢は適切な介助方法である。
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詳細解説

核心解説 この問題は、寝たきり高齢者 (Bedridden Elderly) に対する臥位での排泄介助 (Excretion Care in Supine Position)の正しい手順と、患者の安楽・尊厳・安全を考慮した看護技術の知識を問うています。排泄介助は、単なる「排泄物の処理」ではなく、患者のプライバシー (Privacy) の確保安楽な体位の保持自立支援、そして全身状態の観察という複数の側面を持つ、重要な基本的看護技術です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、「臥位での排泄介助における患者の体位管理」と「看護師の観察・配慮の優先順位」です。特に誤っている選択肢は、混同注意!「固定」という言葉に引っ張られ、患者の安全と安楽のバランスを誤って捉えている点にあります。排泄介助においては、患者の安全(転落防止)は最優先ですが、無理に体位を「固定」することは、患者の安楽を損ない、筋緊張を高めてかえって排泄を困難にする可能性があります。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢①の「便器を挿入した後は、患者の体位を仰臥位に固定する」が誤りです。便器挿入後は、患者にとって最も楽な体位を保持することが重要です。無理に固定する必要はなく、むしろ最重要! 患者の安楽と排泄しやすさを考慮し、必要に応じて上半身を少し挙上するなど、体位を微調整します。また、体位変換が必要な場合は、患者の状態を観察しながら、安全に行う必要があります。仰臥位に「固定」することは、患者の苦痛を増し、腹圧をかけにくくするため、排泄を阻害する可能性があります。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- 選択肢②(尿意や便意の有無を確認してから介助を開始する): これは適切な対応です。排泄介助の第一歩は、患者の「排泄したい」という意思を確認することです。特に認知機能が低下している高齢者では、非言語的サインも含めて確認することが重要です。
- 選択肢③(排泄中は患者の顔色や全身状態を観察する): これも適切です。排泄中は、循環動態の変動(排便時のValsalva maneuverによる血圧変動など)が起きやすいため、顔色、発汗、呼吸状態の観察は必須です。特に心疾患や脳血管障害の既往がある患者では重要です。
- 選択肢④(排泄が終了したら、陰部を清拭してから便器を引き抜く): 正しい手順です。まず陰部を清潔にし、皮膚トラブル(特に陰部のびらんや褥瘡)を予防してから便器を引き抜くことで、排泄物による汚染を最小限にします。
- 選択肢⑤(便器を挿入する際は、患者の臀部を持ち上げて挿入する): 適切な方法です。患者の腰部を無理に浮かせず、臀部を少し挙上させて便器を滑り込ませることで、患者への負担を軽減し、摩擦による皮膚損傷を防ぎます。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 臥位での排泄介助は、褥瘡予防 (Pressure Injury Prevention)転倒・転落予防 (Fall Prevention) とも密接に関連します。また、便秘の患者では、便器に座る時間が長くなりがちですが、長時間の座位は仙骨部の褥瘡リスクを高めるため、時間管理も重要です。さらに、プライバシーの保護として、カーテンや屏風の使用、ドアを閉めるなどの環境整備も忘れてはなりません。 概念整理: 排泄介助における患者の「安楽」と「安全」のバランス。
- 安全: 転落防止、体位保持の安定、皮膚損傷防止、感染予防
- 安楽: 無理な体位の固定禁止、排泄しやすい体位の調整、プライバシー保護、苦痛の最小化 一目で比較!: 臥位と車椅子/ポータブルトイレでの排泄介助の違い
項目臥位での排泄介助ポータブルトイレでの排泄介助
患者の活動性低い(寝たきり)ある程度保たれている
体位仰臥位 or 側臥位(安楽な体位を優先)座位(排泄しやすい)
主なリスク褥瘡、皮膚びらん、便器による圧迫転倒・転落(立ちくらみ)
看護師の負担高い(体位変換、便器操作)中程度(移乗介助、見守り)
看護過程ポイント:
- アセスメント: 患者の排泄パターン(頻度、性状)、認知機能、コミュニケーション能力、ADL、皮膚の状態(特に臀部・陰部)、循環動態のリスク
- 看護診断: 「排泄パターンの変調」「セルフケア deficit:排泄」「皮膚統合性のリスク状態」
- 計画: 患者の安楽な体位の確保、観察項目(顔色、発汗、便の性状など)の明確化、プライバシー保護の環境整備
- 実施: 患者のサインを見逃さないタイミングでの声かけ、安全な体位変換技術、清潔ケアの徹底
- 評価: 患者が安楽に排泄できたか、皮膚トラブルの有無、排泄パターンの変化 暗記のコツ: 「排泄介助の鉄則は『固定しない、観察する、清潔にする』」と覚えましょう。特に「固定しない」は、患者の安楽と尊厳を守る基本です。 国試頻出ポイント: 排泄介助は、基礎看護技術の分野で頻出です。特に「誤っているのはどれか」という形式で、体位管理(固定する/しない)、観察の優先順位、清潔ケアの手順などが出題されます。状況設定問題(事例問題)では、認知症の高齢者や心不全の患者など、疾患特性を考慮した排泄介助の工夫を問われることが多いです。 出題パターン注意!: 単純な手順の暗記から、「患者が『トイレに行きたい』と言えない認知症高齢者への対応」や「心不全患者で排泄中に呼吸困難が出現した場合の対応」といった、より複雑な臨床判断を問う状況設定問題に発展することが予想されます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは地域包括ケア病棟に勤務する看護師です。85歳の女性、A氏は、大腿骨頸部骨折の術後、安静度がベッド上安静からギャッジアップ30度まで許可されました。A氏は軽度の認知症があり、排泄の意思表示が不明瞭な時があります。夜間、A氏が落ち着かず、ベッド柵を触っている様子が見られました。あなたはA氏に「トイレに行きたいですか?」と声をかけると、A氏は首を振り「行かない」と答えました。しかし、その後も落ち着きがなく、表情をしかめています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察 (Observation): まず、A氏の全身状態を観察します。バイタルサイン(特に血圧と脈拍)、顔色、発汗の有無、腹部の膨満感の有無を確認します。また、A氏の非言語的サイン(落ち着きのなさ、表情のしかめ面)に注目します。 2. アセスメント (Assessment): A氏は「行かない」と言葉では否定していますが、非言語的サインは「排泄したい」可能性を示しています。認知症がある場合、言葉と実際の感覚が一致しないことがあります。また、術後の安静による腸蠕動の低下や、鎮痛薬の影響による便秘の可能性も考慮します。 3. 報告 (Report / SBAR): 医師や先輩看護師に「A氏が落ち着かず、排泄の可能性が疑われるが、本人が否定している。バイタルサインに異常はない。」と状況を共有します。 4. 介入 (Intervention): 最重要! A氏に再度優しく声をかけ、「少しだけお尻を持ち上げてみましょうね」と促し、臥位での排泄介助を試みます。便器挿入後は、無理に固定せず、A氏が最も楽な体位(この場合はギャッジアップ30度)を保持します。排泄中は顔色と全身状態を観察し、プライバシーを守るためにカーテンを閉めます。 5. 評価 (Evaluation): 排泄が終了したら、陰部を清拭し、便器を引き抜きます。皮膚の状態(発赤やびらんの有無)を確認し、A氏の表情が落ち着いたか、安楽に排泄できたかを評価します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 禁忌:便器挿入後の無理な体位固定。これは患者の苦痛と筋緊張を高め、かえって排泄を阻害します。
- 転倒・転落リスク:臥位であっても、患者が急に起き上がろうとすることがあるため、ベッド柵の高さと患者の状態を常に確認します。
- 皮膚トラブル予防:便器の縁による仙骨部や大腿部の圧迫・摩擦に注意します。長時間の便器留置は避け、必要に応じて臀部に保護シートを当てることも検討します。 看護プロトコル:
- 観察項目: バイタルサイン、顔色、発汗、腹部の状態、皮膚の状態(仙骨部、臀部、陰部)、排泄物の性状(量、色、臭い、硬さ)
- 報告基準(SBAR): Situation(患者の状態・状況)、Background(既往歴・術後経過)、Assessment(非言語的サインを含むアセスメント)、Recommendation(医師への指示確認・指示内容の明確化)
- 記録のポイント: 介助開始時刻、排泄の有無、排泄物の性状、患者の反応(表情、発言)、皮膚の状態、実施したケアの内容 先輩看護師の一言: 「寝たきりの患者さんの排泄ケアで大切なのは、『言葉』だけじゃなく『サイン』を読むことです。『行かない』と言っていても、落ち着きがなかったり、表情をしかめていたりするのは、何か伝えたいサインかもしれません。優しく声をかけ、タイミングを逃さずケアすることが、患者さんの尊厳と安楽を守る看護です!国試でも、『患者の訴え』だけでなく、『観察した所見』から看護を考えるクセをつけましょう!」

重要概念

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