長期臥床患者の安楽を保つための関節可動域訓練の目的で正しいのはどれか。 | MyMerci
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問題

長期臥床患者の安楽を保つための関節可動域訓練の目的で正しいのはどれか。

解説
関節可動域訓練の主な目的は、関節拘縮の予防と筋緊張の軽減であり、患者の安楽を保つために重要である。筋力増強や心肺機能向上は訓練の副次的な効果であるが、主目的ではない。骨粗鬆症の治療や褥瘡の治癒促進は直接的な目的ではない。
同じテーマの次の問題患者の安楽を確保するための体位変換の目的として適切でないのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、長期臥床患者に対する関節可動域訓練 (Range of Motion Exercise, ROM訓練)主たる目的を理解しているかを問うものです。
核心概念の分析 (Key Concept): 関節可動域訓練は、関節が動かせる範囲(可動域)を維持・改善するための受動的または能動的な運動です。長期臥床により関節が動かされない状態が続くと、関節包や靭帯、腱が短縮・硬化し、関節拘縮 (Joint Contracture)が生じます。ROM訓練の最も重要な目的は、この関節拘縮を予防し、関節の柔軟性を保つことであり、患者の安楽と日常生活動作(ADL)の維持に直結します。
正解の根拠 (Answer Rationale): ④番「関節拘縮の予防」が正解です。関節拘縮は不可逆的な変化を起こす前に予防することが極めて重要であり、ROM訓練は最も基本的で効果的な予防策です。特に、寝たきりの高齢者や神経疾患(例:脳血管障害 (Cerebrovascular Accident, CVA))の患者では、麻痺側の関節拘縮予防が看護の優先課題となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①番「心肺機能の向上」: 混同注意! これはROM訓練の直接的な目的ではなく、全身の有酸素運動や離床活動によって主に得られる効果です。ROM訓練は関節とその周囲の軟部組織に焦点を当てています。
②番「筋力の増強」: 混同注意! 筋力増強には筋力増強訓練(レジスタンス運動)が必要です。ROM訓練は関節の動きを維持することが主目的であり、能動的に行っても筋力増強効果は限定的です。
③番「骨粗鬆症の治療」: 骨粗鬆症(Osteoporosis)の治療には、薬物療法(ビスホスホネート製剤など)と体重をかける運動(荷重運動)が有効とされます。ROM訓練は非荷重運動であり、骨密度増加への直接的な治療効果は期待できません。
⑤番「褥瘡の治癒促進」: 混同注意! 褥瘡(Pressure Ulcer)の治癒促進には、除圧・体位変換・栄養管理(特にたんぱく質)が中心です。ROM訓練は間接的に血行を促進する可能性はありますが、褥瘡治癒を直接促進する目的で実施されるものではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts):
訓練の種類主目的代表的な実施方法
関節可動域訓練 (ROM)関節拘縮予防・可動域維持他動的・自動介助的・自動的関節運動
筋力増強訓練筋力増強・筋萎縮予防抵抗運動(ダンベル、チューブ)、等尺性運動
持久力訓練心肺機能向上・全身持久力向上歩行、エルゴメーター、自転車こぎ
概念整理: 長期臥床による廃用症候群(Disuse Syndrome)の予防が看護の大きな役割です。廃用症候群には、筋萎縮、関節拘縮、骨粗鬆症、心肺機能低下、褥瘡、深部静脈血栓症(DVT)などが含まれます。ROM訓練は、これらのうち関節拘縮の予防に特化した介入と捉えましょう。
一目で比較!: 混同注意! 筋力増強訓練 vs ROM訓練: 「力を込める」か「関節を動かす」かの違い。どちらもリハビリテーション看護では重要ですが、目的が異なります。
看護過程ポイント: - アセスメント (Assessment): 関節の可動域制限の有無、疼痛の有無、筋力、患者の協力の可否を評価します。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「身体可動性障害(Impaired Physical Mobility)」や「セルフケア不足(Self-Care Deficit)」が該当します。 - 計画・実施 (Planning/Implementation): 疼痛がない範囲で、一日1~2回、各関節を生理的可動域内でゆっくりと動かします。特に肩関節、股関節、膝関節、足関節は拘縮が生じやすいため重点的に関節運動を実施します。 - 評価 (Evaluation): 関節可動域が維持されているか、拘縮の発生がないかを定期的に評価します。
暗記のコツ: 「ROM訓練の目的は Range(可動域)の Optimization(最適化)と Maintenance(維持)」と覚えましょう。筋力や心肺機能は「ついでに得られる効果」と理解しておくと、誤答に惑わされません。
国試頻出ポイント: この問題は「目的」を直接問う典型的なパターンです。類似問題として、「廃用症候群の予防策」や「関節拘縮の予防法」という形で出題されることも多いです。また、脳血管障害 (CVA)大腿骨頸部骨折の患者の看護計画の一部として、ROM訓練の目的と実施上の注意(特に股関節の外転制限など)が問われることもあります。
出題パターン注意!: 単純な「目的」の知識問題から、事例問題に発展することがあります。「70代女性、左片麻痺の患者。寝たきり状態。看護計画にROM訓練を追加する目的は?」という形で、具体的な患者背景に応じて正しい目的を選択させる問題に注意しましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代男性、脳梗塞 (Cerebral Infarction)後の右片麻痺で長期臥床中。ベッド上での生活が続き、右肩関節と右股関節の可動域制限が進行しつつあります。担当看護師が、今日からROM訓練を開始することになりました。患者は「痛いのは嫌だ」とやや不安な様子です。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察 (Observation): まず、訓練前に関節の状態(発赤、腫脹、熱感の有無)、筋緊張、疼痛の有無と程度を評価します。特に麻痺側(右側)は肩関節亜脱臼(Shoulder Subluxation)のリスクが高いため、注意深く観察します。 2. アセスメント (Assessment): 「痛み」の原因が、単なる拘縮によるものか、炎症や脱臼が疑われるかをアセスメントします。急な疼痛や腫脹があれば訓練は中止し、医師へ報告します。 3. 報告 (Reporting): 訓練開始前に、医師や理学療法士(PT)と訓練の範囲(どの関節を、どの程度まで動かすか)を確認しておくことが重要です。 4. 介入 (Intervention): 患者に「最初はゆっくり、気持ち良い範囲で行いますね」と声をかけ、不安を軽減します。他動的に、痛みを感じない範囲(無痛域)で、各関節を生理的可動域の範囲内でゆっくりと動かします。特に右肩関節は外転・屈曲・外旋を、右股関節は伸展・外転を、右足関節は背屈・底屈を重点的に行います。 5. 評価 (Evaluation): 訓練後の関節の状態(可動域が改善したか、疼痛の有無)を再評価し、記録します。「痛みが強くなった」「関節が腫れてきた」などの異常があれば、訓練計画の見直しが必要です。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 禁忌/注意: 関節に急性炎症(熱感、発赤、腫脹)がある場合、骨折直後、悪性腫瘍の骨転移がある場合は訓練を禁忌とします。 - 最重要! 麻痺側の関節は支持組織(靭帯や関節包)が脆弱なため、過度な伸展や牽引を避け、関節を保護しながら行います。特に肩関節は肩関節亜脱臼を誘発しないよう注意が必要です。 - 疼痛が強い場合は無理に行わず、鎮痛薬の使用や訓練方法(温罨法の併用など)を検討します。 - 混同注意! 関節可動域訓練と筋力増強訓練は目的が異なります。ROM訓練中に「力を入れて」と指示するのは誤りです。 看護プロトコル: - 観察項目: 訓練前後のバイタルサイン(特に心拍数と血圧の変動)、関節可動域(角度計を使用)、疼痛(NRSやフェイススケール)、関節周囲の皮膚状態。 - 報告基準(SBAR): Situation(状況): 患者、右片麻痺の関節可動域訓練中に右肩に疼痛出現。 Background(背景): 脳梗塞後3週、長期臥床。 Assessment(評価): 右肩関節外転時に強い痛みあり、亜脱臼の可能性。 Recommendation(提案): 訓練の一時中止と、医師による診察を依頼。 - 記録のポイント: 実施した関節名、可動域(例:右肩関節屈曲 90度まで可能)、疼痛の有無(例:NRS 2/10)、患者の反応(例:「気持ちいい」)、訓練時間。
先輩看護師の一言: 「ROM訓練は『動かすこと』が目的ではありません。『患者さんの身体を守り、将来の動きの可能性を広げること』が目的です。患者さんの『痛い』のサインを見逃さず、優しく、しかし確実に関節を動かすこと。これが看護のプロの技です。国試でも、ただ『予防』と覚えるのではなく、『なぜ予防しなければならないか』を考えてみてください。その思考が現場で患者さんのQOLを守る力になります!」

重要概念

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