核心解説
この問題は、
アレルギー反応 (Allergic Reaction) の分類、特に
即時型過敏症(I型アレルギー)(Type I Hypersensitivity) の代表例を問うています。アレルギーは、発症機序と関与する免疫グロブリンや細胞によって、I型からIV型の4つに分類される(コームズ & ゲル分類, Gell and Coombs classification)ことを理解することが鍵です。
核心概念の分析 (Key Concept):
最重要! I型アレルギーは
IgE抗体 (Immunoglobulin E) が中心的な役割を果たします。抗原(アレルゲン)が体内に入ると、肥満細胞 (Mast Cell) や好塩基球 (Basophil) 表面のIgE受容体に結合。これにより細胞内から
ヒスタミン (Histamine) やロイコトリエン (Leukotriene) などの化学伝達物質が遊離され、即時的に血管透過性亢進、平滑筋収縮、気道狭窄、血圧低下などを引き起こします。代表疾患として、
アナフィラキシーショック (Anaphylactic Shock)、
アトピー性皮膚炎 (Atopic Dermatitis)、
気管支喘息 (Bronchial Asthma)、
蕁麻疹 (Urticaria)、
花粉症 (Pollinosis) などがあります。
正解の根拠 (Answer Rationale): ①番の
アナフィラキシーショック は、I型アレルギーの最も重症かつ代表的な病態です。抗原暴露後、数分から数十分以内に急激に発症し、呼吸困難、血圧低下、意識障害など全身性の症状を呈します。この発症機序はIgE依存性の肥満細胞活性化によるものです。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ②番 血清病 (Serum Sickness): 混同注意! III型アレルギー(免疫複合体型) (Type III Hypersensitivity) に分類されます。抗原抗体複合体(免疫複合体)が血管壁などに沈着し、補体を活性化することで組織障害を起こします。発症までに1〜3週間程度の潜伏期間があります。
- ③番 ツベルクリン反応 (Tuberculin Reaction): IV型アレルギー(遅延型) (Type IV Hypersensitivity) に分類されます。抗体ではなく、感作されたTリンパ球 (T Lymphocyte) が関与する細胞性免疫反応です。抗原(ツベルクリン)接種後、48〜72時間後に発赤・硬結として現れます。
- ④番 移植片拒絶反応 (Graft Rejection): 混同注意! 主に IV型アレルギー(遅延型) の機序が中心です。レシピエントのT細胞がドナー組織の主要組織適合抗原 (MHC) を異物として認識し、攻撃します。超急性拒絶反応は既存抗体によるII型アレルギー様の機序もあります。
- ⑤番 接触性皮膚炎 (Contact Dermatitis): IV型アレルギー(遅延型) に分類される代表的な疾患です。ウルシや金属(ニッケルなど)が抗原となり、感作されたT細胞が皮膚に集積し、炎症を起こします。
関連概念の整理 (Related Concepts): アレルギー分類(コームズ & ゲル分類)を整理すると、以下の通りです。
| 型 | 名称 | 関与する主な因子 | 代表疾患 |
| I型 | 即時型 (Anaphylactic Type) | IgE, 肥満細胞 | アナフィラキシー, 喘息, 蕁麻疹 |
| II型 | 細胞障害型 (Cytotoxic Type) | IgG, IgM, 補体 | 不適合輸血反応, 自己免疫性溶血性貧血 |
| III型 | 免疫複合体型 (Immune Complex Type) | 抗原抗体複合体, 補体 | 血清病, 全身性エリテマトーデス (SLE) |
| IV型 | 遅延型 (Delayed Type) | T細胞 (Tリンパ球) | ツベルクリン反応, 接触性皮膚炎, 移植片拒絶反応 |
概念整理:
即時型過敏症 (I型) は「IgEが肥満細胞に結合→ヒスタミン放出→即時発症」という流れをイメージしましょう。一方、
遅延型過敏症 (IV型) は「T細胞が活性化→炎症性サイトカイン放出→24時間以上経って発症」という違いを理解することが重要です。
一目で比較!:
混同注意! I型(即時型)vs IV型(遅延型) の発症時間を覚えましょう。I型は「数分〜数十分」、IV型は「24〜72時間」です。関与する免疫細胞(肥満細胞 vs T細胞)もセットで記憶すると混乱しません。
看護過程ポイント: 患者がアナフィラキシーを発症した場合のアセスメントは、
気道 (Airway)、
呼吸 (Breathing)、
循環 (Circulation) のABC評価が最優先です。バイタルサイン(特に
血圧低下、
SpO2低下)を頻回に観察し、直ちに
アドレナリン (Epinephrine) の筋肉内投与を準備する看護判断が求められます。
暗記のコツ: アレルギーの4型は、数字と関与する免疫因子をセットで覚えましょう。語呂合わせ:「
I(アイ)は
IgE で即時発症 → イメージは『アイ(I)で悲鳴(アナフィラキシー)』」、「
IV(フォー)は
フォー(T細胞) で遅れて発症 → イメージは『フォーで時間が経った(遅延型)』」。
国試頻出ポイント: このテーマは看護師国家試験で非常に頻出です。特に「各アレルギー型と代表疾患の組み合わせ」を正しく選択させる問題や、「ある薬剤(ペニシリン系抗生物質など)投与後のショック症状への対応」といった状況設定問題で出題されます。型の特徴(発症時間、関与物質)を理解しておけば、応用問題にも対応できます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として「I型アレルギーはどれか」と問われるだけでなく、「ペニシリン投与後、患者に呼吸困難と血圧低下が出現。考えられるアレルギー型は?」という臨床推論問題にも発展します。発症機序を理解することで、どちらのパターンにも対応できます。