呼吸機能の評価において、肺胞低換気を示唆する動脈血液ガス所見はどれか。 | MyMerci
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呼吸機能の障害
問題

呼吸機能の評価において、肺胞低換気を示唆する動脈血液ガス所見はどれか。

解説
肺胞低換気ではPaCO2が上昇し、それに伴い呼吸性アシドーシス(pH低下)が生じる。選択肢4はPaCO2 50mmHgと高値で、pH 7.30とアシドーシスを示しており、肺胞低換気の典型的な所見である。選択肢1は代償性の変化が疑われるが、PaCO2が48mmHgと軽度上昇しているものの、HCO3-が正常であり、急性期の肺胞低換気としては選択肢4がより明確である。
同じテーマの次の問題呼吸機能の障害において、肺胞低換気の原因となる病態はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、肺胞低換気 (Alveolar Hypoventilation) における動脈血液ガス (Arterial Blood Gas: ABG) の典型的な所見を問うています。肺胞低換気とは、何らかの原因で肺胞への換気が不十分な状態を指します。換気量の低下により、体内で産生された二酸化炭素 (CO2) が十分に排出されず、動脈血中に蓄積します。これがPaCO2の上昇(高炭酸ガス血症: Hypercapnia)です。CO2は血液中で炭酸として働くため、その蓄積は血液のpHを低下させ、最重要!呼吸性アシドーシス (Respiratory Acidosis) を引き起こします。問題文の「肺胞低換気を示唆する」とは、PaCO2が高値でpHが酸性側に傾いている所見を選ぶことを意味します。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 肺胞低換気の本質は「CO2排泄障害」です。原因としては、呼吸中枢の抑制(薬物、脳血管障害)、呼吸筋の筋力低下(ギラン・バレー症候群、筋ジストロフィー)、気道閉塞(慢性閉塞性肺疾患: COPD)、胸郭の運動制限(高度肥満、胸郭変形)などが挙げられます。病態生理の理解なくして、ABG所見の解釈はできません。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は選択肢5: pH 7.30、PaCO2 50mmHg、PaO2 60mmHg、HCO3- 26mEq/Lです。PaCO2が50mmHgと基準値(35~45mmHg)を超えて高く、pHが7.30とアシドーシス(基準値7.35~7.45)を示しています。HCO3-は26mEq/Lと正常範囲(22~26mEq/L)であり、これは腎臓による代償がまだ十分に行われていない急性期の呼吸性アシドーシスの状態を示しています。最重要!PaO2が60mmHgと低い(低酸素血症: Hypoxemia)のも、肺胞低換気による換気不足を反映しており、典型的な所見です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- 混同注意!選択肢1: すべての項目が正常範囲内であり、正常所見です。肺胞低換気はありません。
- 混同注意!選択肢2: PaCO2が48mmHgと軽度上昇、pHは7.35と正常下限です。これは正常と軽度の呼吸性アシドーシスの境界域であり、選択肢5のように明確な肺胞低換気とは言えません。HCO3-が正常で代償もまだです。
- 混同注意!選択肢3: PaCO2が28mmHgと低値でpHが7.50とアルカローシスです。これは呼吸性アルカローシス (Respiratory Alkalosis) であり、過換気(肺胞過換気: Alveolar Hyperventilation)を示唆します。過換気症候群などで見られます。
- 混同注意!選択肢4: PaCO2が32mmHgと低値でpHが7.45とアルカローシス傾向です。これも呼吸性アルカローシスに分類される所見であり、肺胞低換気とは逆です。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 肺胞低換気と混同しやすい病態に、拡散障害(間質性肺炎など)や換気血流比不均等 (V/Q mismatch)(肺塞栓症、慢性閉塞性肺疾患: COPD)があります。拡散障害では、初期には低酸素血症はあってもPaCO2は正常かむしろ低い(低炭酸ガス血症)ことが多いです(過換気による代償のため)。肺胞低換気は、低酸素血症と高炭酸ガス血症が同時に起こるという特徴を押さえておきましょう。

概念整理:
病態PaCO2pHPaO2
肺胞低換気 (Alveolar Hypoventilation)↑ (上昇)↓ (低下) 呼吸性アシドーシス↓ (低下)
肺胞過換気 (Alveolar Hyperventilation)↓ (低下)↑ (上昇) 呼吸性アルカローシス正常~上昇
正常 (Normal)35-45 mmHg7.35-7.4580-100 mmHg (room air)


一目で比較!: 肺胞低換気 vs 拡散障害
項目肺胞低換気拡散障害
ABGパターンPaCO2↑ PaO2↓ pH↓PaO2↓ (早期) PaCO2正常または↓ pH正常または↑
原因疾患例COPD急性増悪 薬物過量 筋疾患間質性肺炎 肺線維症


看護過程ポイント: 肺胞低換気の患者を看護する際、アセスメントでは呼吸数・リズム(浅く・遅い呼吸)、チアノーゼ、意識レベルの変化(CO2ナルコーシス: 傾眠、昏迷)を観察します。看護診断としては「非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern)」や「ガス交換障害 (Impaired Gas Exchange)」が考えられます。介入では、原因に応じた呼吸理学療法、体位管理(ファウラー位など)、必要時の非侵襲的陽圧換気 (NPPV) の導入補助、医師への報告基準(PaCO2上昇、意識レベル低下)の理解が重要です。

暗記のコツ: 「肺胞低換気 = CO2がたまる」と覚えましょう。PaCO2が高い = CO2が体にたまっている状態です。そしてCO2は酸性物質なので、pHは下がる(アシドーシス)。このセットで覚えれば、他の所見と混同しません。「低換気だからCO2高い、酸素低い、酸性」とストーリーで覚えるのがコツです。

国試頻出ポイント: 動脈血液ガス (ABG) の解釈は毎年必ず出題されます。特に「呼吸性アシドーシスと代謝性アシドーシスの鑑別」「呼吸性アシドーシスの代償反応」は頻出です。問題では、pH・PaCO2・HCO3-の3つの値を必ずチェックする習慣をつけましょう。PaCO2が異常なら呼吸性、HCO3-が異常なら代謝性が第一歩です。

出題パターン注意!: 近年は単純なABG所見の選択だけでなく、「COPD患者の意識レベル低下時に見られるABGは?」や「術後の無気肺で予想されるABGは?」など、具体的な臨床状況と組み合わせた問題が増えています。原因疾患とABG所見を結びつけて学習しておくと良いでしょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 「65歳男性、COPD増悪で入院。入院時、呼吸数は24回/分と頻呼吸で、SpO2 88%(room air)。胸部聴診では両側肺野に軽度のwheezeあり。意識は清明だが、少し疲れた様子。医師の指示で酸素療法(2L/分 鼻カニューラ)開始後、3時間後の再評価で、患者は『眠くて仕方ない』と訴え、呼びかけに反応が鈍くなってきました。SpO2は96%に改善しています。あなたは何を疑い、どのような行動をとりますか?」 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要!このシナリオは、CO2ナルコーシス(CO2 Narcosis: 高二酸化炭素血症による意識障害)の発生を強く疑います。酸素投与により低酸素血症が改善し、低酸素による呼吸ドライブが解除された結果、呼吸数が減少し、CO2がさらに蓄積した可能性があります。
観察: 呼吸数・リズムの確認(浅く遅くなっていないか)、意識レベル(JCS・GCS)、血圧・脈拍、瞳孔の大きさ、顔面の紅潮、手指の振戦(羽ばたき振戦: Asterixis)。
アセスメント: SpO2が改善しているにもかかわらず意識レベルが低下しているということは、低酸素血症以外の原因(高炭酸ガス血症)を考える。「SpO2が良いから安心」は危険な思い込みです。
報告 (SBAR): 「S: COPD患者の〇〇さん、酸素2L開始後、SpO2は96%に改善したが、意識レベルがJCS I-3からII-10に低下。呼吸数は16回/分と減少傾向。B: 肺胞低換気によるCO2ナルコーシスを疑う。A: 動脈血液ガス (ABG) の測定と、医師の評価を依頼したい。R: 酸素流量を直ちに減量する必要があるかもしれません。」 ④ 介入: 医師の指示のもと、酸素流量を減らす(低酸素血症を許容する範囲で)、または非侵襲的陽圧換気 (NPPV: BiPAP) の準備をする。
- 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): COPD患者への高濃度酸素は禁忌です。呼吸中枢が低酸素に依存している患者(hypoxic drive)では、高濃度酸素が呼吸抑制を引き起こします。酸素投与は「必要最小限」で、目標SpO2を88-92%に設定することが一般的です。また、鎮静薬の使用は呼吸抑制を増強させるため、慎重に判断する必要があります。
看護プロトコル: ABG採取時は、ヘパリン処理された注射器を用い、気泡を完全に除去し、氷冷して速やかに検査に提出します。観察項目は、呼吸数・リズム・努力、SpO2、意識レベル、血圧を最低1時間ごとに記録します。報告基準は、意識レベル低下(GCSで2点以上の低下)、呼吸数

重要概念

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