肺の弾性収縮力の低下により肺コンプライアンスが増加する疾患はどれか。 | MyMerci
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呼吸機能の障害
問題

肺の弾性収縮力の低下により肺コンプライアンスが増加する疾患はどれか。

解説
肺気腫では肺胞壁の破壊により弾性収縮力が低下し、肺が過伸展しやすくなるため肺コンプライアンスは増加する。肺線維症、無気肺、肺炎、肺水腫では肺が硬くなりコンプライアンスは低下する。
同じテーマの次の問題呼吸機能の障害において、肺胞低換気の原因となる病態はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、肺コンプライアンス (Lung Compliance) の変化を理解しているかを問うています。コンプライアンスとは、肺の「膨らみやすさ」の指標です。つまり、肺がどれだけ柔らかく伸びるかを示します。これが増加するということは、肺が「過度に伸びやすく、元に戻りにくい(弾性収縮力が低下した)」状態を意味します。 正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 正解は 肺気腫 (Pulmonary Emphysema) です。肺気腫の核心病態は、肺胞壁の破壊 (Destruction of Alveolar Walls) です。この破壊により、肺を元の大きさに戻そうとする力(弾性収縮力)が失われます。その結果、肺は風船のように過伸展しやすくなり、肺コンプライアンスは増加(上昇)します。患者さんは呼吸をするために、胸腔内圧を大きく陰圧にしなければならず、吸気に多くのエネルギーを要するようになります。 誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 肺線維症 (Pulmonary Fibrosis)は、肺胞壁が線維化(瘢痕化)して硬くなります。そのため、肺は膨らみにくくなり、コンプライアンスは低下します
混同注意! 無気肺 (Atelectasis)は、肺胞が虚脱(つぶれた)状態です。肺組織自体が虚脱により収縮しているため、膨らませるには高い圧力が必要で、コンプライアンスは低下します
肺炎 (Pneumonia)では、炎症により肺胞内に滲出液が貯留し、肺組織が硬くなります(コンプライアンス低下)。
肺水腫 (Pulmonary Edema)は、肺胞内や間質に水分が貯留するため、肺が硬く重くなり、膨らみにくくなります(コンプライアンス低下)。
つまり、①~④は全て肺が「硬く」なる病態であり、コンプライアンスは低下します。 関連概念の整理 (Related Concepts):
コンプライアンス (Compliance)エラスタンス (Elastance / 弾性抵抗) は逆数の関係です。コンプライアンスが高い=エラスタンスが低い(肺気腫)、コンプライアンスが低い=エラスタンスが高い(肺線維症)と理解しましょう。

概念整理: 肺コンプライアンスの増減
状態病態例コンプライアンス弾性収縮力
肺が硬い(膨らみにくい)肺線維症、肺炎、肺水腫、無気肺、ARDS低下 (Decreased)亢進
肺が柔らかすぎる(過伸展)肺気腫増加 (Increased)低下 (Decreased)

一目で比較!: 肺気腫 vs 肺線維症
項目肺気腫 (Emphysema)肺線維症 (Fibrosis)
病態肺胞壁の破壊肺胞壁の線維化
肺の性質過伸展性(柔らかい)硬化(硬い)
コンプライアンス増加低下
呼吸様式の特徴口すぼめ呼吸、呼気延長浅速呼吸

看護過程ポイント: アセスメント
肺気腫患者の呼吸状態をアセスメントする際、肺コンプライアンスの増加を念頭に置くと、観察項目が明確になります。例えば、聴診で呼吸音が減弱するのは、肺胞が過伸展して破壊されたためです。また、患者は吸気を開始するのに大きな努力を要するため、補助呼吸筋の使用(胸鎖乳突筋など)や、シーソー呼吸(胸郭と腹部の逆転した動き)を観察します。
暗記のコツ:
「肺気腫=弾性が切れたゴム」とイメージしましょう。ゴムの弾性がなくなると伸びっぱなしで元に戻りません(弾性収縮力低下)。伸びやすいので「膨らみやすさ=コンプライアンス」は増加です。一方、肺線維症は「石のように硬い肺」なので、膨らみにくい=コンプライアンスは低下です。
国試頻出ポイント:
この問題は、呼吸器系の「病態生理」と「検査・指標」の理解を問う典型的な問題です。単に「肺気腫はコンプライアンスが上がる」と暗記するだけでなく、なぜそうなるのか(肺胞壁の破壊による弾性収縮力低下)を説明できるようにしておきましょう。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の病態生理(肺気腫型と気管支炎型)と関連付けて出題されることも多いです。
出題パターン注意!:
「人工呼吸器管理中、肺コンプライアンスが急激に低下した。何を疑うか?」という状況設定問題に発展します。その場合、緊張性気胸、無気肺、肺炎、肺水腫などを想起できるようにしておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario):
70代男性、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪で入院。肺気腫型が主体です。医師より 非侵襲的陽圧換気療法 (NPPV) の導入が指示されました。看護師が人工呼吸器の設定を確認すると、1回換気量が高めに設定されています。
「この患者さんの肺は過伸展しやすいため、高い1回換気量は肺胞の過膨張を引き起こし、気圧外傷(例:緊張性気胸)のリスクを高めます」とアセスメントし、医師に設定の再検討を提案しました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
- 観察: NPPV装着中の患者の呼吸状態(呼吸数、SpO2、胸郭の動き、呼吸補助筋の使用)、バイタルサイン、そして最も重要なのは 呼気の延長と口すぼめ呼吸の有無です。人工呼吸器の画面では、ピーク吸気圧 (PIP) や plateau圧が高くなっていないかを確認します。肺気腫患者では、肺が過伸展しやすいため、プラトー圧の上昇は気圧外傷のリスクを示します。 - 報告(SBAR): 「医師、70代男性、COPD急性増悪の〇〇さんですが、NPPV導入後、ピーク圧が35cmH2Oまで上昇しています。患者さんは呼吸困難感を訴え、呼吸数も増加しています。気圧外傷のリスクが高いと考えられますので、設定の再調整をお願いします。」 - 介入: 指示に基づき、1回換気量を低め(6~8mL/kg 理想体重)に設定変更し、呼気時間を十分に確保します(I:E比を1:3程度に)。また、患者の 鎮静状態 を適切に評価し、患者-人工呼吸器の非同調を防ぎます。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
最重要! 肺気腫患者では、肺が過伸展しやすく、気胸 (Pneumothorax) のリスクが非常に高いです。人工呼吸器管理中は、急な胸痛、呼吸状態の悪化、SpO2低下、血圧低下、患側の呼吸音減弱に注意します。また、気管挿管や気管切開の際も、用手換気で過剰な換気を行わないように注意が必要です。
看護プロトコル:
COPD患者の呼吸管理プロトコルでは、呼気の完全な終了を確認することが重要です。吸気と呼気のサイクルを患者に合わせ、エアトラッピング(動的過膨張)を防ぎます。観察項目は、呼吸数、SpO2、心拍数、血圧、意識レベル、呼吸音、呼吸様式、そして人工呼吸器のグラフィックモニター(フロータイムカーブの呼気の流れがゼロに戻っているか)です。
先輩看護師の一言:
「肺気腫の患者さんは、ゆっくりと息を吐くことが命綱です。『吸うこと』よりも『吐くこと』に苦労しているんですよ。人工呼吸器の設定でも、『吸気時間を短く、呼気時間を長く』が鉄則。この病態生理を理解していれば、患者さんの呼吸のリズムに合わせたケアができます。国試でも、ただ答えを選ぶだけでなく、『なぜ』を考えてくださいね!」

重要概念

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