こんな問題があと491問挑戦 ›
生殖と老化
加齢に伴う内分泌機能の変化で正しいのはどれか。
-
1
インスリン感受性は低下する
✓ 正解
-
2
抗利尿ホルモンの分泌は低下する
-
3
メラトニンの分泌は増加する
-
4
甲状腺ホルモンの分泌は増加する
-
5
成長ホルモンの分泌は増加する
解説
加齢に伴い成長ホルモン、甲状腺ホルモン、メラトニンの分泌は低下する。抗利尿ホルモンの分泌は加齢による大きな変化はないか、むしろ維持される。インスリン感受性は加齢により低下し、耐糖能異常や2型糖尿病の発症リスクが上昇する。
同じテーマの次の問題老化に伴う身体機能の変化として誤っているものはどれか。この問題が収録された問題集人体の構造と機能KRW 12,900
核心解説
この問題は、加齢 (Aging) に伴う内分泌機能の変化を問うています。高齢者看護や成人看護学の基本であり、加齢による生理的変化と病的変化を区別する視点が重要です。加齢は多くのホルモン分泌の低下や標的組織の反応性低下を引き起こしますが、一部のホルモンは維持されるものもあります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept)
加齢に伴い、内分泌器官の萎縮や血流低下、ホルモン受容体の感受性低下が生じます。これにより、多くのホルモン(成長ホルモン、甲状腺ホルモン、メラトニン、性ホルモンなど)の分泌は減少します。一方、抗利尿ホルモン (ADH: Antidiuretic Hormone) や副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) の分泌は加齢の影響を比較的受けにくく、むしろ維持される傾向があります。また、インスリンに関しては、分泌量自体は維持されるかやや低下するものの、標的組織のインスリン感受性 (Insulin Sensitivity) が低下することが知られています。これにより耐糖能異常や2型糖尿病の発症リスクが上昇します。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 選択肢①「インスリン感受性は低下する」が正解です。加齢により、骨格筋や脂肪組織におけるインスリン受容体の機能低下、インスリンシグナル伝達経路の変化などが生じ、同じ量のインスリンでも血糖降下作用が得られにくくなります。これをインスリン抵抗性 (Insulin Resistance) と呼び、高齢者の耐糖能異常の主因です。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各誤答の誤りを解説します。
- ②番「抗利尿ホルモンの分泌は低下する」:これは誤りです。ADHの分泌は加齢による大きな変化はなく、むしろ維持されます。ただし、腎臓のADHに対する反応性(尿濃縮能)は低下するため、高齢者は脱水や低ナトリウム血症を起こしやすくなります。
- ③番「メラトニンの分泌は増加する」:誤りです。メラトニンは松果体から分泌される睡眠ホルモンで、加齢により分泌量は顕著に減少します。これが高齢者の睡眠障害(入眠困難、中途覚醒)の一因です。
- ④番「甲状腺ホルモンの分泌は増加する」:誤りです。加齢により甲状腺の萎縮や機能低下が生じ、甲状腺ホルモン (Thyroid Hormone: T3/T4) の分泌は低下します。特に活性型T3の低下が顕著で、基礎代謝率の低下に関与します。
- ⑤番「成長ホルモンの分泌は増加する」:誤りです。成長ホルモン (GH: Growth Hormone) の分泌は加齢とともに著明に減少します。特に深い睡眠時の分泌ピークが減少し、これが筋肉量減少(サルコペニア)や骨密度低下、体脂肪増加に関与します。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
加齢変化と病的变化の鑑別が重要です。例えば、加齢による耐糖能異常(インスリン感受性低下)は生理的範囲を超えると2型糖尿病(Type 2 Diabetes Mellitus)となります。また、加齢による甲状腺機能低下と甲状腺機能低下症 (Hypothyroidism)の鑑別にはTSH検査が必要です。さらに、ADHの作用維持と腎臓の反応性低下は、高齢者に高頻度で見られる低ナトリウム血症 (Hyponatremia)の病態理解に直結します。
概念整理
| ホルモン/機能 | 加齢による変化 | 臨床的影響 |
|---|
| インスリン感受性 | 低下(インスリン抵抗性増大) | 耐糖能異常・2型糖尿病リスク上昇 |
| 抗利尿ホルモン (ADH) | 分泌は維持(腎反応性は低下) | 脱水・低ナトリウム血症リスク |
| メラトニン | 分泌低下 | 睡眠障害(入眠困難・中途覚醒) |
| 甲状腺ホルモン (T3/T4) | 分泌低下(特にT3) | 基礎代謝低下・耐寒性低下 |
| 成長ホルモン (GH) | 分泌低下(特に睡眠時) | サルコペニア・骨密度低下・体脂肪増加 |
一目で比較!
混同注意! 「ホルモン分泌量の変化」と「標的組織の反応性(感受性)の変化」は別の概念です。加齢では両者が同時に変化することが多く、インスリンは分泌量が維持されても感受性が低下する例として代表的です。ADHは分泌が維持されても腎臓の反応性が低下するため、結果として尿濃縮能が低下します。
暗記のコツ
「高齢者のホルモンは『減る』が基本!」と覚えましょう。例外はADH(維持)とインスリン分泌(維持かやや低下)です。特に「インスリン感受性は低下する」は高齢者の糖尿病看護の基本中の基本です。語呂合わせ:「GH(ジーエイチ)もメラトニンも甲状腺も、歳とれば減るよ成長不足」。ADHは「アンチ・ディウレティック・ホルモン → 高齢でも水分調節は大事だから維持」とイメージすると良いでしょう。
国試頻出ポイント
この問題は、高齢者の生理的変化と看護介入を問う「老年看護学」の頻出テーマです。特に「高齢者の脱水予防」「糖尿病管理」「睡眠ケア」「低体温予防」などの具体的な看護介入と組み合わせて出題されます。「加齢変化の正誤」を問う問題は毎年のように出るため、各ホルモンの増減方向(増加/減少/維持)を確実に覚えておきましょう。
出題パターン注意!
「加齢変化の正しい組み合わせを選べ」という形式や、「高齢糖尿病患者の看護計画に含めるべき観察項目」という事例問題に発展します。例えば「80代女性、2型糖尿病でインスリン治療中。食事摂取量が低下し低血糖発作を起こした。看護師のアセスメントとして適切なのは?」という問題では、加齢によるインスリン感受性低下(耐糖能異常)と低血糖リスク(食欲低下・腎機能低下によるインスリン蓄積)の両方を考慮する必要があります。
臨床実践ガイド
この概念が実際の病院・在宅・施設の臨床現場でどのように適用されるかをリアルに説明します。臨床シナリオ (Clinical Scenario)
「あなたは病棟看護師です。75歳男性、2型糖尿病で内服加療中の患者さんが、肺炎で入院しました。入院時の採血でHbA1c 7.5%と高めで、医師から『高齢なのでインスリン導入は慎重に』と指示がありました。患者さんは『最近、食事の量が減ってきて、たまにフラフラするんだよね』と話しています。看護師としてどのような観察と介入が必要でしょうか?」
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! 高齢糖尿病患者では、加齢によるインスリン感受性低下(耐糖能異常)と同時に、低血糖リスク(食欲低下、腎機能低下による薬剤蓄積、自律神経反応低下)も高まります。- 1観察バイタルサイン(特に血糖値、意識レベル、冷汗・振戦などの低血糖症状)、食事摂取量、腎機能(eGFR)。
- 2アセスメント「食事量減少+フラフラ感」は低血糖の可能性を示唆。加齢によるインスリン感受性低下と、急性疾患(肺炎)によるストレスで血糖は上昇しやすいが、食事量低下による低血糖リスクも高い。
- 3報告(SBAR)「医師へ、75歳男性肺炎患者、本日朝の血糖値180mg/dL、昨夜は夕食を半分しか摂取できず、『フラフラする』と訴えあり。低血糖のリスクがあるため、血糖測定の頻度増加と必要時の補食対応について指示を仰ぎたい。」
- 4介入血糖測定の頻度を増やす(食前・食後2時間・就寝前)。低血糖時の補食(ブドウ糖やジュース)の準備と指導。医師と相談の上、内服薬の調整(特にSU薬やインスリン分泌促進薬は低血糖リスクが高いため注意)。
- 5評価血糖値が安定し、低血糖症状が消失しているか確認。患者の食事摂取状況と自己管理能力を評価。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 危険所見! 血糖値70mg/dL以下または意識障害を伴う低血糖は緊急対応が必要。すぐに糖質投与(経口不能ならブドウ糖注射液の静注を医師へ要請)。
- 高齢者は低血糖に対する自律神経症状(冷汗、動悸、振戦)が出現しにくく、無自覚性低血糖 (Hypoglycemia Unawareness) になりやすい。意識障害や傾眠が最初の兆候であることもあるため、バイタルサインとともに意識レベルの観察を徹底。
- 転倒転落予防:低血糖によるふらつきは転倒リスクを高めるため、歩行介助やベッド柵の使用を検討。
- 感染対策:高血糖は感染症の重症化リスクとなるが、低血糖も免疫機能を低下させる。バランスの取れた血糖管理が必要。 看護プロトコル- 1観察項目血糖値(朝食前・毎食後・就寝前)、食事摂取量(主食・副食の摂取割合)、腎機能(BUN, Cr, eGFR)、低血糖症状の有無、意識レベル、転倒リスク。
- 2報告基準(SBAR)S(状況:低血糖症状の有無、血糖値)、B(背景:加齢変化、腎機能、食事量)、A(アセスメント:低血糖/高血糖リスクの評価)、R(Recommendation:血糖測定頻度増加、補食準備、薬剤調整の相談)。
- 3記録のポイント血糖値、食事摂取量、低血糖症状の有無、対応内容(補食の種類と量、医師報告内容と指示)、患者の反応。
- 4家族への説明の留意点「お父様は高齢で、お薬の効き方が変わることがあります。食事が少なかったり、いつもと様子が違うと感じたら、早めに看護師や医師にお知らせください。低血糖のサイン(冷や汗、ぼんやりする、動悸など)を説明したパンフレットをお渡しします。」
先輩看護師の一言
「高齢者の糖尿病ケアで一番怖いのは『低血糖』です。低血糖は脳に不可逆的なダメージを与える可能性があり、転倒による骨折も引き起こします。国試では『高齢者はインスリン感受性が低下するから高血糖になりやすい』という知識が問われますが、現場では『高齢者は低血糖にもなりやすい』という両面を必ず意識してください。『年だから仕方ない』で済ませず、食事量の変化、腎機能、薬剤の種類を総合的にアセスメントできる看護師になりましょう!」
- インスリン感受性 — 標的組織(骨格筋、脂肪組織、肝臓)がインスリンに対してどの程度反応するかを示す指標。加齢により低下し、インスリン抵抗性が生じる。
- 抗利尿ホルモン — 視床下部で合成され下垂体後葉から分泌されるホルモン。腎臓での水再吸収を促進する。加齢では分泌は維持されるが、腎臓の反応性は低下する。
- メラトニン — 松果体から分泌されるホルモンで、睡眠・覚醒リズム(サーカディアンリズム)を調節する。加齢により分泌量が顕著に減少する。
- 成長ホルモン — 下垂体前葉から分泌され、タンパク質合成促進、脂肪分解、骨成長を促進するホルモン。加齢により分泌が低下し、サルコペニアや骨密度低下の一因となる。
- 甲状腺ホルモン (T3/T4) — 甲状腺から分泌され、全身の代謝を亢進させるホルモン。加齢により分泌が低下し、特に活性型T3の低下が顕著で、基礎代謝率低下に関与する。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。