エリクソンの発達段階説において、老年期(65歳以降)の発達課題とそれに伴う危機はどれか。 | MyMerci
生殖と老化
問題

エリクソンの発達段階説において、老年期(65歳以降)の発達課題とそれに伴う危機はどれか。

解説
エリクソンの発達段階説において、老年期(65歳以降)の発達課題は「統合性 対 絶望」である。自己の人生を振り返り、受け入れて統合できるか、あるいは後悔や絶望に陥るかの危機に直面する。1は乳児期、2は幼児期前期、3は若い成人期、4は壮年期の課題である。

詳細解説

核心解説 この問題は、エリクソン (Erik H. Erikson) の心理社会的発達段階説における各段階の発達課題と危機を正しく理解しているかを問うものです。老年期の心理的発達を理解する上で極めて重要な概念であり、看護師国家試験でも頻出のテーマです。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): エリクソンは人間の生涯を8つの発達段階に分け、各段階で克服すべき心理社会的な「危機」と、それを乗り越えることで獲得できる「力」があると提唱しました。老年期(65歳以降)の課題は、自らの人生を意味のあるものとして受け入れ統合する「統合性 (Integrity)」と、人生のやり直しや後悔に苛まれる「絶望 (Despair)」の間の葛藤です。この危機をうまく乗り越えることで、「英知 (Wisdom)」という力が獲得されるとされています。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は③番「統合性 (Integrity) 対 絶望 (Despair)」です。老年期にある患者さんへの看護においては、その方の人生史に敬意を払い、これまでの経験や価値観を尊重した関わりが重要です。これは単なる知識ではなく、患者さんの心理的安定と尊厳の保持に直結する看護実践の基盤となります。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): * ①番「生殖性 (Generativity) 対 停滞 (Stagnation)」: 混同注意! これは壮年期(40〜64歳)の発達課題です。次世代を育て導くことへの関心(生殖性)と、自己中心的な停滞感との葛藤を指します。 * ②番「親密性 (Intimacy) 対 孤立 (Isolation)」: これは 混同注意! 若い成人期(20〜39歳)の発達課題です。他者との深い親密な関係を築くことと、それを避け孤立することとの葛藤です。 * ④番「自主性 (Autonomy) 対 罪悪感 (Guilt)」: これは幼児期前期(2〜4歳)の発達課題です。排泄の自立など、自分の意志で行動したいという欲求と、失敗への罪悪感との葛藤です。 * ⑤番「基本的信頼 (Basic Trust) 対 基本的不信 (Basic Mistrust)」: これは 最重要! 乳児期(0〜1歳)の最初の段階で、生涯にわたる対人関係の基盤となる発達課題です。養育者からの一貫したケアを通じて、世界や他者への信頼感を獲得します。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): エリクソンの各発達段階は、老年看護学において、患者さんの行動や心理状態を理解するための枠組みとして非常に有用です。例えば、絶望の危機にある高齢者には、回想法 (Reminiscence Therapy) などの介入が有効とされています。また、他の発達理論(ピアジェ (Piaget) の認知発達理論、ハヴィガースト (Havighurst) の発達課題理論など)と混同しないように注意しましょう。 概念整理: * エリクソン発達段階(老年期:65歳〜): 発達課題 → 統合性 対 絶望 / 獲得する力 → 英知 * 他の段階との混同を防ぐために、年齢とキーワード(生殖性、親密性、基本的信頼など)をセットで暗記しましょう。 一目で比較!:
発達段階おおよその年齢発達課題(危機)
乳児期0〜1歳基本的信頼 対 基本的不信
幼児期前期2〜4歳自主性 対 罪悪感
若い成人期20〜39歳親密性 対 孤立
壮年期40〜64歳生殖性 対 停滞
老年期65歳〜統合性 対 絶望
看護過程ポイント: * アセスメント: 高齢者の語りや態度から、自己の人生をどのように捉えているかを評価します(例:「昔は良かった」「もっとこうしていれば」などの発言)。 * 看護介入: 回想法やライフレビュー(人生の振り返り)を積極的に取り入れ、患者さんの人生の肯定感(統合性)を高める支援をします。 暗記のコツ: 「年の望は合で知に!」と覚えましょう。高齢になると「絶望」するか、人生を「統合」して「英知」を得るか、という危機がある、というイメージです。 国試頻出ポイント: 各発達段階の名称と年齢の組み合わせが頻出です。特に、壮年期の「生殖性」と老年期の「統合性」は混同しやすいので注意。事例問題では「高齢の患者さんが『人生は意味がなかった』と発言した時、どのような発達課題に直面しているか」といった形で問われることがあります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド * 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 90代女性、Aさん。施設入所中。最近、夜間に眠れず、「私はもう役立たずだ」「もっと子供たちに良い教育をさせてやれば良かった」と頻繁に涙を見せるようになりました。 * 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): このAさんの発言は、エリクソンの発達段階でいう「絶望 (Despair)」の危機に直面しているサインかもしれません。看護師は、まずはAさんの話を傾聴し、その感情を否定せずに受け止めます。「そんなことないですよ」と安易に否定するのではなく、「そうお感じになられているのですね。お辛いですね」と共感を示すことが大切です。その後、施設での役割(例:テーブル拭き、花の水やり)を提案したり、家族の面会を調整したりして、自己肯定感や人生の意味を見出せるよう支援します。これにより、「統合性 (Integrity)」へと向かうプロセスを促進します。 * 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 「絶望」が強く、希死念慮(自殺願望)が疑われる場合は、ただちに医師に報告し、精神科リエゾンチームやケアマネジャーと連携して安全を確保します。回想法を行う際は、トラウマとなる記憶を想起させないよう、患者さんの状態を注意深く観察することが重要です。 先輩看護師の一言: 「エリクソンの理論は、テストに出るから覚えるものではありません。『今、この患者さんはどんな人生を歩んできて、どんな心理状態なんだろう?』と考えるための、とても便利な地図なんです。Aさんの『役立たず』という言葉の奥にある『人生の意味を見つけたい』という気持ちに気づけるかどうかが、看護の質を分けますよ!」

重要概念

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