ビタミンB1 (チアミン) の欠乏症として正しいものはどれか。 | MyMerci
代謝
問題

ビタミンB1 (チアミン) の欠乏症として正しいものはどれか。

解説
ビタミンB1 (チアミン) は糖質代謝に重要な補酵素であり、欠乏すると脚気 (心不全や末梢神経障害) やウェルニッケ脳症を引き起こす。壊血病はビタミンC欠乏症、ペラグラはナイアシン (ビタミンB3) 欠乏症、くる病はビタミンD欠乏症、巨赤芽球性貧血はビタミンB12または葉酸欠乏症である。

詳細解説

核心解説 この問題は、各種ビタミン欠乏症とその特徴的な疾患の組み合わせを問う、看護師国家試験の頻出テーマです。最重要!ビタミンは水溶性と脂溶性に分類され、それぞれが体内で特定の代謝過程に関わる補酵素として機能します。欠乏すると特徴的な症候群を呈するため、疾患名と欠乏するビタミンを正確に紐づけることが必須です。 本問の核心はビタミンB1 (チアミン: Thiamine)です。チアミンは糖質代謝 (Carbohydrate Metabolism)の重要な補酵素であり、特にピルビン酸脱水素酵素複合体やα-ケトグルタル酸脱水素酵素複合体の構成成分として、クエン酸回路 (TCA回路) へのアセチルCoAの供給に不可欠です。欠乏すると、エネルギー需要の高い神経組織や心筋に障害が生じます。 正解である脚気 (Beriberi)は、このチアミン欠乏により発症します。脚気には大きく分けて2つの病型があります。 1. **湿性脚気 (Wet Beriberi)**:高心拍出性心不全を呈し、末梢血管拡張による浮腫や呼吸困難が特徴です。 2. **乾性脚気 (Dry Beriberi)**:末梢神経障害(特に下肢の感覚障害、運動障害、腱反射低下)を主体とします。 また、チアミン欠乏は中枢神経症状としてウェルニッケ脳症 (Wernicke Encephalopathy)(意識障害、眼振、運動失調)を引き起こすことも看護では重要です。これは特にアルコール依存症患者で問題となります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
⑤ 脚気:ビタミンB1 (チアミン) 欠乏症の代表的疾患です。糖質代謝障害によるエネルギー産生低下が、心筋と神経組織に選択的な障害を引き起こします。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!各誤答は他のビタミン欠乏症との混同を防ぐために確実に区別しましょう。 ① ペラグラ (Pellagra):ナイアシン (ビタミンB3)欠乏症。3つのD(皮膚炎(Dermatitis)、下痢(Diarrhea)、認知症(Dementia))が特徴です。 ② 壊血病 (Scurvy):ビタミンC (アスコルビン酸)欠乏症。コラーゲン合成障害により、歯肉出血、皮下出血、創傷治癒遅延をきたします。 ③ 巨赤芽球性貧血 (Megaloblastic Anemia):ビタミンB12 (コバラミン)または葉酸欠乏症。DNA合成障害により赤血球の成熟が阻害されます。 ④ くる病 (Rickets):ビタミンD欠乏症。カルシウム・リンの吸収障害により骨の石灰化不全が生じ、小児では骨変形(O脚、X脚)を呈します。 関連概念の整理 (Related Concepts)
チアミン欠乏症と他のビタミンB群欠乏症の鑑別は重要です。ビタミンB2 (リボフラビン) 欠乏では口角炎・舌炎、ビタミンB6 (ピリドキシン) 欠乏では皮膚炎・末梢神経障害・免疫能低下、ビタミンB12欠乏では巨赤芽球性貧血に加えて、脊髄後索・側索の脱髄による深部感覚障害や痙性対麻痺(亜急性連合性脊髄変性症)をきたす点も押さえておきましょう。

概念整理
欠乏ビタミン欠乏症(疾患名)主な症状・病態
ビタミンB1 (チアミン)脚気 (Beriberi)心不全(湿性) / 末梢神経障害(乾性) / ウェルニッケ脳症
ナイアシン (ビタミンB3)ペラグラ (Pellagra)皮膚炎 (Dermatitis) / 下痢 (Diarrhea) / 認知症 (Dementia)
ビタミンC (アスコルビン酸)壊血病 (Scurvy)歯肉出血 / 皮下出血 / 創傷治癒遅延
ビタミンB12 / 葉酸巨赤芽球性貧血DNA合成障害による大球性貧血 / 神経症状 (B12)
ビタミンDくる病 (小児) / 骨軟化症 (成人)骨石灰化不全 / 骨変形 / 筋力低下


一目で比較! - 混同注意!「脚気 (Beriberi)」と「ペラグラ (Pellagra)」は名前が似ていますが、原因ビタミンと症状が全く異なります。 - 神経症状を呈するビタミン欠乏症:B1 (末梢神経・中枢神経), B12 (脊髄・末梢神経), E (脊髄小脳変性症) をセットで覚えると良いでしょう。

看護過程ポイント - アセスメント:食習慣(特に偏食、アルコール多飲、胃切除後など吸収不良のリスク因子)の聴取が重要です。症状では、倦怠感、下肢のしびれ・むくみ、動悸・息切れに着目します。 - 看護診断:栄養バランスの変化:必要量以下 / 活動耐性低下 (心不全症状に関連) / 知識不足(バランスの良い食事の重要性) - 看護介入:チアミン含有食品(豚肉、うなぎ、豆類、胚芽精米)の摂取促進。アルコール依存症患者では、チアミン注射(非経口投与)が行われる場合があります。心不全症状がある場合は安静と塩分制限の指導も併せて行います。

暗記のコツ 「B1 (ビーワン) → 1番にエネルギー (糖質代謝) → 心臓と神経が元気なくなる → 脚気」と語呂合わせで覚えましょう。 - ペラグラ:「3つのD (皮膚炎、下痢、認知症)」でナイアシン欠乏を連想。 - 壊血病:「C (コラーゲン) が壊れる」でビタミンC欠乏を連想。

国試頻出ポイント - ビタミン欠乏症の組み合わせ問題は毎年1問は出題される可能性があります。 - 単純な暗記だけでなく、「なぜその症状が出るのか」を代謝経路から理解することが、応用問題(例えば「胃切除後の貧血は?」など)への対応力を高めます。

出題パターン注意! - 「高齢者の食欲不振時にみられやすいビタミン欠乏症はどれか」といった状況設定に変化する可能性があります。ビタミンB1欠乏(脚気・ウェルニッケ脳症)と低栄養の関連は頻出事項です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
70代男性。アルコール依存症の既往あり。肺炎で入院中。経過は良好でしたが、入院5日目から見当識障害、眼球運動障害(眼振)、歩行障害が出現しました。また、両下肢に浮腫としびれ感を訴え、心拍数100回/分、血圧100/60mmHgと頻脈と低血圧を認めます。この患者さんに対して、看護師としてどのようにアセスメントし、報告・介入すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
この症例は、ウェルニッケ脳症 (Wernicke Encephalopathy)脚気心 (湿性脚気)の合併が強く疑われます。 1. 観察:バイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数、SpO2、体温)のモニタリング、意識レベル(JCS/GCS)、眼振の有無、歩行状態、浮腫の程度(体重測定含む)、尿量の確認。 2. アセスメント:アルコール多飲歴があり、入院中の糖質輸液によりチアミン需要が増加、相対的に欠乏が進行したと考えられます。神経症状(3主徴)と心不全症状が合致。 3. 報告:SBARに沿って医師へ報告。 - S (Situation): 「70代男性、肺炎入院5日目。本日より見当識障害と眼振が出現。両下肢の浮腫としびれもあります。」 - B (Background): 「アルコール依存症の既往があります。食事摂取は不良です。」 - A (Assessment): 「ウェルニッケ脳症と脚気の可能性を考えています。」 - R (Recommendation): 「チアミン製剤の静脈内投与と心エコーのオーダーをお願いします。」 4. 介入最重要!チアミン投与はブドウ糖投与に先行して行うこと。ブドウ糖を先に投与すると、残存するチアミンが消費され、症状が急激に悪化するリスクがあります。また、転倒・転落予防のための環境整備(ベッド柵、コールの手元への設置)、安静の確保、経過観察を行います。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 禁忌行為:チアミン欠乏が疑われる患者へのブドウ糖単独投与。 - 転倒予防:歩行障害・意識障害により転倒リスクが極めて高い。夜間は特に注意が必要。 - 誤嚥予防:意識障害や嚥下障害を伴う可能性があり、経口摂取時は注意深く観察する。

看護プロトコル - 観察項目:意識レベル、眼振、歩行障害、バイタルサイン(心拍数、血圧、呼吸状態)、浮腫、尿量、体重。 - 報告基準 (SBAR):意識レベルの低下や新たな神経症状の出現、血圧低下や頻脈の増悪を認めた場合は直ちに報告。 - 記録のポイント:症状出現時刻、程度、経時的変化、チアミン投与の有無と時刻、患者の反応を具体的に記録する。

先輩看護師の一言 「この問題は基礎知識ですが、現場では『あれ?この患者さん、なんか様子がおかしいな』という気づきから始まります。『いつもと違う』を感じ取る観察力と、『ビタミンB1欠乏かも?』と病態を結びつける思考力が、患者さんの命を救う早期発見・早期対応につながります。国試で覚えた知識は、必ず現場で活かせますよ!」

重要概念

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