線維素溶解(線溶)系において、フィブリンを分解する酵素はどれか。 | MyMerci
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血液
問題

線維素溶解(線溶)系において、フィブリンを分解する酵素はどれか。

解説
プラスミンはフィブリンを分解し、血栓を溶解する。トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに変換する。トロンボプラスチンは凝固開始因子、トロンボキサンA2は血小板凝集促進、プロスタサイクリンは血小板凝集抑制に働く。
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詳細解説

核心解説 この問題は、血液凝固と線溶系 (Coagulation and Fibrinolysis System) における各因子の役割を問うています。特に、形成された血栓を溶解する最終段階の酵素を正しく理解することが鍵となります。最重要! 正解は プラスミン (Plasmin) です。プラスミンは、フィブリン (Fibrin) を直接分解して フィブリン分解産物 (FDPs; Fibrin Degradation Products) とし、血栓を溶解する線溶系の中心的な酵素です。プラスミンは、前駆体である プラスミノーゲン (Plasminogen) が、組織プラスミノーゲンアクチベーター (t-PA; Tissue Plasminogen Activator) などの活性化因子により変換されて生成されます。この作用を利用した治療薬が、t-PA製剤(アルテプラーゼなど)で、急性心筋梗塞や脳梗塞の血栓溶解療法に用いられます。

正解の根拠 (Answer Rationale)
プラスミンは、線溶系の最終段階でフィブリンを分解する唯一の酵素です。血管内で不必要に形成された血栓や、創傷治癒後に不要となったフィブリン塊を除去し、血管の開存性を維持する上で極めて重要な役割を果たします。つまり、「血栓を溶かす」 作用がプラスミンです。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢の作用を整理します。
トロンボキサンA2 (Thromboxane A2): 血小板凝集促進 と血管収縮作用を持ち、止血の初期段階で重要です。線溶とは逆方向の作用です。
トロンビン (Thrombin): 凝固系の中心的な酵素で、フィブリノーゲン (Fibrinogen) をフィブリン (Fibrin) に変換 します。つまり、「血栓を作る」酵素です。プラスミンとは全く逆の働きをします。
トロンボプラスチン (Thromboplastin): 組織因子 (Tissue Factor) とも呼ばれ、外因系凝固経路を開始する因子です。凝固反応の引き金を引く役割です。
プロスタサイクリン (Prostacyclin; PGI2): 血小板凝集抑制作用 と血管拡張作用を持ち、トロンボキサンA2とは拮抗的に働き、血栓の過剰形成を防ぎます。しかし、すでにできた血栓を分解する作用はありません。
プラスミン (Plasmin): 上記の通り、正解です。

関連概念の整理 (Related Concepts)
凝固系と線溶系は、生体内の止血バランス (Hemostatic Balance) を保つために密接に関連しています。凝固が亢進しすぎると血栓症(心筋梗塞、脳梗塞など)に、線溶が亢進しすぎると出血傾向(播種性血管内凝固症候群 DICの後期など)に傾きます。このバランスを理解することが、止血異常の病態を学ぶ基礎となります。また、臨床ではD-ダイマー (D-dimer) という検査値が、フィブリンがプラスミンによって分解されたことを示す特異的なマーカーとして、血栓症の診断やDICの評価に頻用されます。

概念整理: プラスミンは線溶系の最終酵素であり、フィブリン(血栓)を特異的に分解する。凝固系の最終酵素であるトロンビン(フィブリノーゲン→フィブリン)とは拮抗的な関係にある。
一目で比較!:
作用酵素/物質名機能
凝固(血栓形成)トロンビンフィブリノーゲン → フィブリン
線溶(血栓溶解)プラスミンフィブリン → FDPs/D-ダイマー
血小板凝集促進トロンボキサンA2血管収縮 + 凝集
血小板凝集抑制プロスタサイクリン血管拡張 + 凝集抑制

看護過程ポイント: 血栓溶解療法(t-PAなど)を実施する患者では、出血のリスクが極めて高い。観察では、穿刺部位の出血・血腫、皮下出血、歯肉出血、血尿、タール便、頭蓋内出血の徴候(意識レベル低下、頭痛、嘔吐)を注意深く観察する。看護診断としては「出血リスク状態」が優先される。
暗記のコツ: 「トロンビンは血栓を作る(ビン=瓶に詰めるイメージ)、プラスミンは血栓を溶かす(プラス=+で分解、ミル=水に溶かすイメージ)」と覚えましょう。または、t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)の「PA」を「プラスミン・アクチベーター」と連想するのも有効です。
国試頻出ポイント: この問題は、血液凝固と線溶の基本的な知識を問う頻出問題です。特に、トロンビンとプラスミンの機能の対比、およびトロンボキサンA2とプロスタサイクリンの対比は毎年どこかで出題される可能性があります。単純暗記ではなく、止血機構全体の流れの中で各物質の位置づけを理解しておきましょう。
出題パターン注意!: この知識は、「播種性血管内凝固症候群 (DIC)」の病態や、「血栓溶解療法中の看護」、「抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル)と抗凝固薬(ワルファリン、ヘパリン)の作用機序の違い」など、より複雑な状況設定問題へと発展します。基本をしっかり押さえておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド この知識は、以下のような臨床場面で直接的に活かされます。 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは循環器病棟に勤務する看護師です。75歳の男性患者が、急性心筋梗塞 (AMI) の診断で緊急入院し、血栓溶解療法(t-PA製剤)が開始されました。治療開始2時間後、患者の穿刺部位から止血が得られにくく、皮下出血が拡大しているのに気づきました。また、患者が「少し頭が痛い」と訴えています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察 (Assessment): 直ちに バイタルサイン (Vital Signs)意識レベル (Level of Consciousness; JCS/GCS)、瞳孔の大きさと対光反射を確認します。頭痛と意識レベルの変化は、頭蓋内出血 (Intracranial Hemorrhage) の最も危険な徴候です。併せて、他の出血徴候(歯肉、尿、便、皮膚)も全身観察します。 2. 報告 (Report - SBAR): 医師に以下の内容を緊急報告します。
- S (Situation): 「t-PA投与中の〇〇様ですが、頭痛を訴え、穿刺部位の止血が不良です。」
- B (Background): 「75歳男性、AMI発症後t-PA投与開始から2時間経過。」
- A (Assessment): 「意識レベルはJCS I-1で清明ですが、頭痛と出血傾向から頭蓋内出血の可能性を疑います。」
- R (Recommendation): 「直ちに 頭部CT の準備と、血液検査(凝固系、血算)をオーダーしていただけますか。」 3. 介入 (Intervention): 医師の指示に基づき、t-PAの投与を直ちに中止 します。頭部CT検査の準備(バイタルサイン測定、酸素投与、静脈路確保の確認)を行います。患者と家族に、出血のリスクと検査の必要性を説明し、不安の軽減に努めます。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 最重要! 血栓溶解療法中の患者は、わずかな外傷でも重篤な出血を引き起こす可能性があります。観血的処置(注射、採血、導尿など)は最小限にし、やむを得ない場合は止血に十分な時間をかけます。
- 転倒・転落による頭部外傷は致命的です。患者にはベッド上安静を徹底し、ナースコールの使用を促します。
- 急変時(意識消失、痙攣など)に備え、救急カート (Crash Cart)吸引器 の準備を確認しておきます。 看護プロトコル: 観察項目:バイタルサイン(特に血圧と脈拍)、意識レベル、神経学的所見(麻痺の有無、言語障害)、全身の出血徴候(皮膚、粘膜、尿、便、喀痰)、穿刺部の状態。記録のポイント:出血の種類、部位、範囲、量を具体的に記録する。特に 頭痛の訴え は軽視せず、必ず記録に残す。
先輩看護師の一言: 「この問題で問われている『プラスミン』という言葉は、普段の業務で直接口にすることは少ないかもしれません。でも、t-PAという薬が患者さんの体内で『プラスミン』を活性化して血栓を溶かしている、というイメージが頭にあれば、『頭痛=脳出血かも!』とすぐに危険を察知できるんです。国試の知識は、ぜひ患者さんの安全を守るための武器にしてくださいね!」

重要概念

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