核心解説
この問題は、
一次止血 (Primary Hemostasis) における血小板の核心的な役割を問うています。止血機構は大きく一次止血と二次止血に分けられます。一次止血は、血管損傷直後に
血小板血栓 (Platelet Plug) を形成して出血を一時的に止めるプロセスであり、この過程で最も重要な血小板の機能は
血小板凝集能 (Platelet Aggregation) です。血管内皮が損傷すると、露出したコラーゲンに血小板が粘着(Adhesion)し、活性化された血小板から放出される
トロンボキサンA2 (Thromboxane A2) や
ADP などの化学伝達物質により、周囲の血小板同士が凝集(Aggregation)して血小板血栓を形成します。この
最重要! 血小板凝集能の異常は、血小板無力症などの出血性疾患の原因となります。
正解の根拠 (Answer Rationale): 一次止血の本質は、
血小板同士が凝集して血栓を形成することです。選択肢⑤の「血小板凝集能」が、この過程を直接的に担う機能であり、正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①の「抗原提示能」は、
樹状細胞 (Dendritic Cells) や
マクロファージ (Macrophages) などの白血球の機能です。②の「酸素運搬能」は
赤血球 (Red Blood Cells) の機能です。③の「貪食能」は好中球やマクロファージなどの白血球の機能です。④の「抗体産生能」は
B細胞 (B Cells) が分化した
形質細胞 (Plasma Cells) の機能です。これらはすべて血小板とは異なる血球成分の機能であり、誤答です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
一次止血と二次止血の違いを整理しましょう。一次止血は血小板血栓による止血で、二次止血は
血液凝固カスケード (Coagulation Cascade) による
フィブリン血栓 (Fibrin Clot) の形成です。また、血小板粘着能(コラーゲンへの付着)も一次止血には重要ですが、問題文は「凝集」に焦点を当てています。
フォン・ヴィレブランド因子 (von Willebrand Factor, vWF) は血小板の粘着に必須の因子であり、その欠乏は
フォン・ヴィレブランド病 (von Willebrand Disease) を引き起こします。
概念整理: 止血機構は、
血管収縮 →
一次止血(血小板血栓) →
二次止血(フィブリン血栓) →
線溶系 の順に進行します。一次止血のキーワードは「血小板粘着」「血小板凝集」「血小板放出反応」です。
一目で比較!:
| 血球成分 | 主な機能 |
|---|
| 血小板 | 一次止血(粘着・凝集・放出)、血栓形成、血管修復 |
| 赤血球 | 酸素運搬、二酸化炭素運搬 |
| 白血球(好中球、マクロファージなど) | 貪食能、抗原提示能、免疫応答 |
| リンパ球(B細胞) | 抗体産生能(形質細胞へ分化) |
看護過程ポイント:
アセスメント:血小板減少や機能異常がある患者では、皮下出血斑(紫斑)、歯肉出血、鼻出血などの出血症状を観察します。抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)内服中の患者は、止血機能が低下しているため、観血的処置前の休薬の確認が重要です。
介入:出血リスクが高い患者には、転倒・転落予防、歯ブラシは軟らかいものを使用するなどの指導を行います。
暗記のコツ: 「一次止血は『血小板が板(プレート)になって栓をする』」と覚えましょう。血小板の英名「Platelet(小さな板)」がそのイメージに合致します。二次止血は「フィブリン(糊)でネット(網)を張る」と覚えると区別しやすいです。
国試頻出ポイント: 血球成分の機能を問う問題は、国試で毎年のように出題される基本中の基本です。特に、血小板、赤血球、白血球の三大血球の機能は完全に区別できるようにしておきましょう。また、抗血小板薬と抗凝固薬の違い(それぞれ一次止血と二次止血に作用)も関連問題としてよく出題されます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として「血小板の機能はどれか」という形で出題されるほか、状況設定問題で「抗血小板薬を内服中の患者が転倒し頭部打撲。看護師の観察項目として適切なのはどれか」という形で、知識を臨床応用させる問題にも発展します。