核心解説
この問題は、
静止膜電位 (Resting Membrane Potential) の維持に最も重要なイオンとその濃度勾配を問う、生理学の基本中の基本です。
最重要! 静止膜電位は、主に
カリウムイオン (K+) の細胞内外の濃度勾配によって維持されています。細胞膜には常時開いている
K+ リークチャネル (K+ Leak Channel) が多数存在し、このチャネルを通じて、高濃度の細胞内から低濃度の細胞外へK+が流出します。この正電荷(K+)の流出により、細胞内が相対的に負に帯電し、-70mV前後の静止膜電位が形成・維持されます。このK+の濃度勾配(細胞内高濃度、細胞外低濃度)は、
Na+/K+ ATPアーゼ (Na+/K+ Pump) の能動輸送によって維持されています。このポンプは、細胞内へK+を、細胞外へNa+をそれぞれ能動輸送します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢4の
カリウムイオン (K+) - 細胞内高濃度、細胞外低濃度が正解です。静止膜電位の形成において、膜の透過性が最も高いイオンはK+であり、その濃度勾配に従ったK+の流出が膜電位の大部分を決定します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②番の塩化物イオン(Cl-)や⑤番のカルシウムイオン(Ca2+)は静止膜電位の主な決定因子ではありません。
混同注意! ③番のナトリウムイオン(Na+)は、細胞外高濃度・細胞内低濃度であり、活動電位の脱分極に関与しますが、静止膜電位の維持における透過性は低いため誤りです。
混同注意! ①番の水素イオン(H+)はpH調整に関わりますが、静止膜電位の主役ではありません。⑤番のカルシウムイオン(Ca2+)は、細胞内の濃度が非常に低く(細胞外高濃度)、細胞内情報伝達や筋収縮に重要です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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最重要! Na+/K+ ATPアーゼ: 3つのNa+を細胞外へ、2つのK+を細胞内へ能動輸送します。このポンプの働きにより、K+の細胞内高濃度、Na+の細胞外高濃度が維持されます。
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活動電位 (Action Potential): 脱分極は電位依存性Na+チャネルの開口によるNa+の急激な細胞内流入で起こり、再分極は電位依存性K+チャネルの開口によるK+の細胞外流出で起こります。静止膜電位の知識は活動電位を理解するための必須の前提です。
概念整理
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静止膜電位 (Resting Membrane Potential): -70mV前後。細胞内が負、細胞外が正。
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主な決定因子: K+の濃度勾配(細胞内高→細胞外低)とK+チャネル(リークチャネル)の透過性。
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濃度勾配維持機構: Na+/K+ ATPアーゼ(能動輸送)。
一目で比較!
| イオン | 細胞内濃度 | 細胞外濃度 | 静止膜電位への関与 |
|---|
| K+ | 高い (140mM) | 低い (5mM) | 最重要! 流出により膜電位を形成 |
| Na+ | 低い (15mM) | 高い (150mM) | 透過性低い。活動電位の脱分極に関与 |
| Ca2+ | 極めて低い (0.0001mM) | 高い (2mM) | 透過性低い。細胞内情報伝達、筋収縮に関与 |
看護過程ポイント
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アセスメント: 電解質異常(特に高K+血症、低K+血症)は、静止膜電位の異常を引き起こし、筋力低下や不整脈、神経伝導障害の原因となるため、
血清K+値のモニタリングは必須です。
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看護診断: 「電解質バランス異常のリスク状態」などが考えられます。
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計画・実施: 高K+血症時には、K+含有輸液の制限や、グルコース・インスリン療法の準備・実施が必要です。低K+血症時には、K+補充のための輸液管理を行います。
暗記のコツ
「
K(カリウム)は細胞の内側(インサイド)」と覚えましょう。Na+(ナトリウム)は細胞の外側(アウトサイド)です。Na+/K+ポンプは、この「内K・外Na」の状態を維持するために働いています。
国試頻出ポイント
- 静止膜電位の値(-70mV前後)と、活動電位(脱分極・再分極)との違いを問う問題。
- K+とNa+の濃度勾配の組み合わせを選択させる問題。
- 電解質異常(特にK+異常)と心電図変化(T波增高、U波出現など)を関連付ける問題。