核心解説
この問題は、
神経線維の分類 (Classification of Nerve Fibers) における形態と機能の関係を問うています。神経線維は、その直径と伝導速度に基づいてA、B、C線維に分類され、さらにA線維はAα、Aβ、Aγ、Aδの4つの亜型に細分されます。この分類を理解することは、
神経伝達速度 (Nerve Conduction Velocity) の生理学的メカニズムと、感覚や運動の臨床評価に直結するため、看護師国家試験でも頻出のテーマです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は
③番: Aα線維 (Aα Fibers) です。Aα線維は直径が約12~20μmと最も太く、髄鞘に覆われているため、伝導速度は70~120m/sと最も速くなります。この太さと有髄性が、跳躍伝導 (Saltatory Conduction) による高速伝導を可能にしています。Aα線維は主に
骨格筋の運動指令を伝える遠心性線維 (Efferent Fibers) と、筋紡錘からの固有感覚(深部感覚)を伝える求心性線維 (Afferent Fibers) を担っており、迅速な運動制御に不可欠です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:
B線維 (B Fibers) は直径が約3μm程度と細く、伝導速度は3~15m/sと遅いです。主に
自律神経系の節前線維 (Preganglionic Autonomic Fibers) であり、骨格筋の運動とは無関係です。
混同注意! B線維も有髄線維ですが、A線維より細いため、伝導速度は劣ります。
②番:
C線維 (C Fibers) は直径が0.2~1.5μmと最も細く、無髄線維 (Unmyelinated Fibers) であるため、伝導速度は0.5~2m/sと最も遅くなります。主に
痛覚(特に遅い痛み)や温度覚、自律神経の節後線維 を伝えます。
④番:
Aδ線維 (Aδ Fibers) は直径2~5μm、伝導速度は12~30m/sです。有髄ですがAα線維より細いため、伝導速度は中程度です。主に
鋭い痛覚(速い痛み)や冷覚 を伝えます。
⑤番:
Aβ線維 (Aβ Fibers) は直径5~12μm、伝導速度は30~70m/sで、Aαに次いで太く速い線維です。主に
触覚や圧覚、振動覚 などの識別性触覚を伝えます。
概念整理: 神経線維は「直径が太いほど、また髄鞘があるほど、伝導速度が速い」という原則があります。A線維群(Aα、Aβ、Aγ、Aδ)はすべて有髄線維で、直径が最も太いAαが最速、次いでAβ、Aδの順となります。B線維も有髄ですが細く、C線維は無髄で最遅です。
一目で比較!:
| 線維の種類 | 髄鞘 | 直径 (μm) | 伝導速度 (m/s) | 主な機能 |
|---|
| Aα | 有髄 | 12-20 (最大) | 70-120 (最速) | 骨格筋運動 / 固有感覚 |
| Aβ | 有髄 | 5-12 | 30-70 | 触覚 / 圧覚 |
| Aδ | 有髄 | 2-5 | 12-30 | 鋭い痛覚 / 冷覚 |
| B | 有髄 | 約3 | 3-15 | 自律神経節前線維 |
| C | 無髄 | 0.2-1.5 (最小) | 0.5-2 (最遅) | 遅い痛覚 / 温度覚 / 自律神経節後線維 |
暗記のコツ: 「Aα(アルファ)はエース(Ace)のA!一番太くて速い!」と覚えましょう。また、痛覚には2種類あること(Aδ線維による鋭い速い痛みと、C線維による鈍い遅い痛み)は、
疼痛アセスメント (Pain Assessment) の基礎となるので、あわせて記憶しておきましょう。
国試頻出ポイント: 神経線維の直径と伝導速度の大小関係を直接問う問題、または特定の感覚(痛覚、触覚)や運動機能をどの線維が担っているかを問う問題として出題されます。特に「最も速いもの」「最も遅いもの」「痛覚に関与する線維」は頻出です。
出題パターン注意!: 単純な「直径が最大のものはどれか」という知識問題に加え、状況設定問題では「糖尿病患者の末梢神経障害で最初に障害されるのはどの線維か?」(多くの場合、最も細いC線維やAδ線維から障害される)といった応用問題に発展することがあります。