核心解説
この問題は、
骨格筋 (Skeletal Muscle) の微細構造と収縮メカニズムを問うています。骨格筋は横紋筋の一種であり、その収縮は「滑り説 (Sliding Filament Theory)」によって説明されます。
収縮の基本単位は筋節 (Sarcomere) で、アクチン (Actin) とミオシン (Myosin) という2種類の収縮タンパク質が関与します。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ⑤「骨格筋の収縮単位は筋節であり、アクチンとミオシンの滑り込みによって収縮が起こる」が正しい記述です。
筋節 (Sarcomere) はZ帯 (Z-disc) から次のZ帯までの区画で、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間を滑り込むことで筋節全体の長さが短縮し、筋収縮が起こります。このメカニズムを
滑り説 (Sliding Filament Theory) と呼びます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!
①番:
誤り。骨格筋の収縮にはカルシウムイオン (Ca2+) が必須です。活動電位により筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニン (Troponin) に結合し、アクチンとミオシンの結合を可能にします。ナトリウムイオン (Na+) の流入は活動電位の発生に関与しますが、収縮のトリガーとなるのはCa2+です。
②番:
誤り。骨格筋は横紋筋の一種で、
混同注意! 平滑筋 (Smooth Muscle) ではありません。骨格筋は体性運動神経(随意神経)の支配を受けます。平滑筋や心筋は自律神経の支配を受けます。
③番:
誤り。
神経筋接合部 (Neuromuscular Junction) では、運動神経終末から放出された
アセチルコリン (Acetylcholine, ACh) が、筋細胞膜(シナプス後膜)上の
ニコチン性アセチルコリン受容体 (Nicotinic ACh Receptor) に結合します。③番は正しい内容に近いですが、「受容体の種類」と「存在部位」が正確ではありません。筋細胞膜上の受容体はニコチン性であり、ムスカリン性ではありません。
④番:
誤り。骨格筋は
多数の筋線維 (Muscle Fiber) の集合体です。筋線維の長さは、筋収縮や伸展により変化します(常に一定ではありません)。
関連概念の整理 (Related Concepts):
骨格筋と心筋 (Cardiac Muscle)、平滑筋 (Smooth Muscle) の比較は国試頻出です。骨格筋と心筋は横紋筋ですが、心筋は不随意筋で自動能を持ち、ギャップ結合により同期収縮します。平滑筋は内臓の壁などに存在し、紡錘形の細胞で構成されます。
概念整理:
骨格筋の収縮メカニズム
| 構成要素 | 役割 |
|---|
| 筋節 (Sarcomere) | 収縮の基本単位。Z帯からZ帯まで |
| アクチンフィラメント (Actin) | 細いフィラメント。ミオシン結合部位を持つ |
| ミオシンフィラメント (Myosin) | 太いフィラメント。アクチンを引っ張る |
| カルシウムイオン (Ca2+) | トロポニンに結合し、収縮を開始 |
| ATP (アデノシン三リン酸) | 収縮のエネルギー源。ミオシン頭部の動きに必要 |
| 神経筋接合部 | 運動神経終末からACh放出、筋細胞膜上の受容体に結合 |
一目で比較!:
筋組織の種類比較
| 項目 | 骨格筋 | 心筋 | 平滑筋 |
|---|
| 横紋の有無 | あり (横紋筋) | あり (横紋筋) | なし |
| 神経支配 | 体性運動神経 (随意) | 自律神経 (不随意) | 自律神経 (不随意) |
| 収縮の特徴 | 強く速い収縮 | 自動能あり、不応期長い | ゆっくり持続的収縮 |
| 主な存在部位 | 体肢、体幹 | 心臓 | 血管、消化管、膀胱など |
看護過程ポイント:
筋力低下のアセスメント
-
アセスメント: 徒手筋力テスト (MMT) や握力測定で筋力を評価。筋萎縮や筋緊張の有無を観察。
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看護診断: 「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」「活動耐性低下 (Activity Intolerance)」など。
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計画・介入: 筋力維持・向上のための運動療法(ROM訓練、筋力増強訓練)の計画。ベッド上での安楽な体位調整や日常生活動作 (ADL) 支援。廃用症候群 (Disuse Syndrome) 予防。
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評価: 筋力の改善度、ADL自立度の変化を評価。
暗記のコツ: 「筋節の滑り込み」は、
「アクチンとミオシンが綱引きをするイメージ」で覚えましょう。ミオシンがアクチンを引っ張って、Z帯同士が近づくことで筋が縮むイメージです。Ca2+は「収縮の合図」、ATPは「引っ張るためのエネルギー」と覚えてください。
国試頻出ポイント: 骨格筋の収縮メカニズム(滑り説)は毎年と言っていいほど出題される核心領域です。特に「収縮に必須なイオンはCa2+」「神経伝達物質はACh」「受容体はニコチン性」の3点は確実に押さえましょう。類似疾患(重症筋無力症や筋ジストロフィーなど)との関連で出題されることもあります。
出題パターン注意!: 近年は単純な知識問題だけでなく、「骨格筋の収縮に関与しない物質はどれか」といった除外問題や、「筋収縮のエネルギー源は何か」といった応用問題、さらには事例問題(「筋力低下のある患者の看護」)に発展して出題されることがあります。単なる暗記ではなく、メカニズムを理解することが重要です。