看護学のコア解説
この問題は、
経尿道的切除術 (TURP) 後の患者に対する、
持続的膀胱洗浄 (Continuous Bladder Irrigation: CBI) 管理における優先度の高い看護介入を問うています。TURPは前立腺肥大症の治療法ですが、術後は出血や血塊による膀胱閉塞のリスクが高いため、
ここがポイント! 看護師は
尿の色調と性状の観察、および洗浄液の流量調節を最優先で行う必要があります。
重要概念の分析 (Key Concept)
TURP後は、切除面からの出血が持続します。三腔式カテーテルとCBIの目的は、膀胱内に血塊が形成されるのを防ぎ、カテーテルが開存した状態を維持することです。洗浄液の流量は、流出する尿(実際は尿と洗浄液の混合液)の色によって調整します。鮮紅色や血塊が多い場合は洗浄速度を上げ、ほぼ無色透明に近づけば速度を落とします。この観察と調整は、
膀胱内圧の上昇、激しい疼痛、さらには腎機能障害につながる膀胱閉塞を予防するための最も重要な介入です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢①が正解です。CBI管理下では、
「流出液が淡いピンク色または透明であること」を維持することが目標です。これは、出血がコントロールされている証拠であり、血塊形成のリスクが低い状態です。看護師は継続的にこの色調を評価し、必要に応じて医師の指示の下、または標準的なプロトコルに基づいて洗浄速度を調整します。これは患者の安全(閉塞予防)に直結するため、最優先の介入です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②の
骨盤底筋トレーニング (Kegel exercises)は、尿失禁の予防・改善に有効ですが、術直後(特にカテーテル留置中)は行いません。カテーテル抜去後のリハビリテーションとして指導されることが一般的です。
③の「激痛時のみの鎮痛薬投与」は、
疼痛管理 (Pain management)の原則に反します。術後の疼痛は適切にコントロールすべきであり、依存を恐れて疼痛を我慢させることは、患者のQOL低下や早期離床の妨げになります。
④の「12時間以内のカテーテル抜去」は、TURP後の標準的な管理とは異なります。カテーテルは通常、出血が落ち着き、尿の色調が改善するまで(通常24〜72時間)留置されます。早期抜去は再出血や尿閉のリスクを高めます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
TURP後の合併症には、
出血 (Hemorrhage)、
膀胱痙攣 (Bladder spasm)、
TUR症候群 (TUR syndrome)(灌流液の過剰吸収による低ナトリウム血症など)があります。CBI管理中は、
「流入量」と「流出量」のバランスも重要です。流出量が著しく少ない場合は、カテーテルの閉塞を疑います。
概念のまとめ
TURP後のCBI管理の優先目標は「血塊による膀胱閉塞の予防」。そのために、尿の色調(淡ピンク~透明)を維持するための洗浄液流量調節が最優先の看護介入となる。
一目で比較!
| 介入 | TURP直後の適否 | 理由 |
|---|
| 尿色観察・洗浄速度調節 | 適切(最優先) | 閉塞・出血の早期発見・予防に直結 |
| Kegel体操の実施 | 不適切 | カテーテル留置中は行わない。抜去後の指導事項。 |
| 疼痛時の鎮痛薬投与 | 不適切な方針 | 疼痛は予防的・定期的に管理すべき。 |
| 早期カテーテル抜去 | 禁忌 | 再出血・尿閉のリスクを高める。 |
解剖生理と薬理のポイント
・前立腺は尿道を取り囲むため、その切除後は尿道粘膜が損傷し出血しやすい。
・三腔式カテーテル:一腔はバルーン(固定用)、一腔は洗浄液流入用、一腔は流出用。
・膀胱洗浄液は通常、滅菌生理食塩液が使用される。
暗記のコツとゴロ合わせ
「TURPのCBI、色見て調節が命!」「色(尿の色)」を観察して「調節(洗浄速度)」することが、患者の命(安全)につながる、と覚えましょう。
国試頻出ポイント
TURP後の看護では、「CBIの管理目的と方法」「合併症(TUR症候群、出血、膀胱痙攣)の観察ポイント」「カテーテル抜去後の排尿指導」が頻出です。特にCBIでは「尿の色調による洗浄速度の調節」はほぼ確実に出題される核心です。
国試出題パターンの変化に注意!
「どの観察が最も優先か?」という直接的な問い方だけでなく、「尿が鮮紅色で血塊が多い場合、看護師が最初にとるべき行動は?」(例:洗浄速度を上げる、医師に報告する)など、状況判断を求める応用問題として出題されることもあります。