看護学のコア解説
この問題は、小児期の
ホジキンリンパ腫 (Hodgkin lymphoma)の最も特徴的な身体的所見(フィジカルアセスメント所見)について問うています。ホジキンリンパ腫は、リンパ系組織に発生する悪性腫瘍であり、特に
リード・シュテルンベルグ細胞 (Reed-Sternberg cell)という特徴的な巨大細胞の存在が診断の決め手となります。
重要概念の分析 (Key Concept)
ホジキンリンパ腫の臨床的な特徴は、
無痛性のリンパ節腫脹 (Painless lymphadenopathy)です。小児では特に、
頸部 (Cervical)や
縦隔 (Mediastinal)のリンパ節が侵されやすいことが知られています。この腫脹は通常、硬く、ゴムのような感触で、可動性がありますが、時間の経過とともに周囲組織と癒着することもあります。発熱、寝汗、体重減少(B症状と呼ばれる)を伴うこともあります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
ここがポイント! 選択肢④「頸部および胸部領域の無痛性の腫大したリンパ節」は、ホジキンリンパ腫の
古典的かつ最も頻度の高い初発症状です。診断のための生検は、この腫大したリンパ節から行われます。小児の腫瘍性疾患では、痛みの有無が重要な鑑別点となることが多く、無痛性であることが悪性リンパ腫の特徴の一つです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①「四肢の点状出血(ペテキエ)と紫斑(パープラ)」:これは
血小板減少症 (Thrombocytopenia)を示唆する所見です。急性白血病など骨髄機能が侵される疾患や、播種性血管内凝固症候群(DIC)などで見られます。ホジキンリンパ腫の直接的な特徴ではありません。
混同注意! ②「黄疸と灰白色便を伴う肝腫大」:これは
閉塞性黄疸 (Obstructive jaundice)を示唆し、胆道系の疾患(胆道閉鎖症、胆石など)や肝門部の腫瘍による胆管圧迫で見られます。ホジキンリンパ腫が肝臓に浸潤することはありますが、初発症状として典型的ではありません。
混同注意! ③「腹水を伴う両下肢の浮腫」:これは
門脈圧亢進症 (Portal hypertension)や
うっ血性心不全 (Congestive heart failure)、低アルブミン血症(ネフローゼ症候群、肝硬変など)で見られる所見です。ホジキンリンパ腫では、腫大した縦隔リンパ節が上大静脈を圧迫して上大静脈症候群を起こすことはありますが、下肢浮腫と腹水の組み合わせは典型的ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ホジキンリンパ腫は、Ann Arbor病期分類でステージングされ、治療方針が決定されます。治療は化学療法と放射線療法の組み合わせが中心です。看護師は、治療に伴う骨髄抑制(感染、出血、貧血)、悪心・嘔吐、脱毛、放射線皮膚炎などの副作用管理、そして小児患者と家族への心理社会的サポートが重要な役割となります。
概念のまとめ
・ホジキンリンパ腫の特徴的初発症状:
無痛性の頸部・縦隔リンパ節腫脹。
・診断の決め手:生検によるリード・シュテルンベルグ細胞の確認。
・随伴症状:発熱、寝汗、体重減少(B症状)。
・小児腫瘍のアセスメント:
痛みの有無は重要な鑑別点。
一目で比較!
| 疾患 | 特徴的なリンパ節腫脹 | その他の主要所見 |
|---|
| ホジキンリンパ腫 | 無痛性、頸部・縦隔 | B症状(発熱、寝汗、体重減少) |
| 非ホジキンリンパ腫 | 無痛性、全身性(腹部なども) | 進行が早い、B症状もあり |
| 急性リンパ性白血病 | リンパ節腫脹(有痛性もあり) | 骨痛、貧血、出血傾向、発熱 |
| 化膿性リンパ節炎 | 有痛性、発赤・熱感を伴う | 発熱、局所の圧痛 |
解剖生理と薬理のポイント
リンパ系は免疫機能と体液平衡に関与します。ホジキンリンパ腫はリンパ節内のBリンパ球が癌化したものと考えられています。治療で使用されるABVD療法(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)は、DNAに作用して癌細胞の増殖を阻害しますが、それぞれ心毒性、肺毒性、神経毒性、強い悪心・嘔吐などの副作用があります。
暗記のコツとゴロ合わせ
「ホジキンは
無痛で
首から」
・「無痛」:痛みがないリンパ節腫脹。
・「首から」:頸部リンパ節が好発部位。
国試頻出ポイント
小児のホジキンリンパ腫では、「無痛性リンパ節腫脹」がほぼ確実に出題されます。また、「B症状(発熱、寝汗、体重減少)」も合わせて覚え、病期分類と関連付けて理解しておきましょう。治療による骨髄抑制(感染予防、出血対策)に関する看護ケアも頻出です。
国試出題パターンの変化に注意!
同じ「小児のリンパ節腫脹」というテーマでも、化膿性リンパ節炎(有痛性・発赤熱感)や伝染性単核球症(発熱・咽頭痛を伴う)などとの鑑別を問う問題が出ることがあります。症状の「質」(痛みの有無、全身症状の有無)に注目して区別できるようにしましょう。